夕闇に迫る影ッ! 4
季節は春ですね(もう初夏に近いけど)。
更新遅れて申し訳ありません。『新しい環境に馴れるのは大変でした』と言う理由(を装った言い訳)で書くのが遅くなりました……
でも物語はまだ終わりません!!
長い目で見てくだされば(そして楽しんでくだされば)幸いです。
『ずっと見てました。
貴方の事が好きでした。それは今でも変わりません。
貴方が私を助けてくれたその日から、私は貴方を想い続けた。
でも貴方は振り向いてくれない。
そればかりか遠くへ行ってしまう……
貴方の周りに写るのは、私ではなく汚い雌ばかり……
貴方の隣にいるのが私じゃ無いなら、
貴方が私から遠ざかってしまうなら、
――奪ってしまおうと決意しました。
もう……我慢しなくて良いよね……?』
「なんだ、これ……?」
恋文なんて貰ったことないから、良くはわからないが、『奪ってしまおう』だの『我慢しない』だのと、明らかにおかしい文が入り交じっている。
「もしかして、脅迫状か……?」
自分が何かしたかと思いを巡らすが、何も心当たりが無い。
「兄さん……」
いつの間にか文面を覗いていた梨香。
「梨香、なんか脅迫染みたもの貰っ――」
「何ですかこの『貴方が私を助けてくれたその日から』って!! 私の預かり知らないところでどんな破廉恥な行為を――!!」
「――たっぽいっていつもの梨香さんだー」
「私と言うものがありながら他の女と……兄さん、私寝とられには耐性がありません!!」
「寝とられて無いから安心し……いやそもそもお前と婚約した覚えは無いからな!?」
「あら兄さん、良いじゃ無いですかぁこれから事実になるんですから」
「変態梨香さんが久しぶりに登場した、ヤバい、俺の貞操がヤバい」
「じゃあこんな手紙送りつけてきた邪魔な雌豚にとられる前に、兄さんと既成事実を作ってしまいましょう!」
「アレーバーサークリカサンマダゴケンザイデシタカー」
命の危機より先に貞操の危機な俺だった。
――物陰からそっとこちらを覗く影は、そのやり取りをじっと見つめていた……