梨香×夏希のダブルアタック! 1
「なぁ……梨香さん」
「? ……何ですか?兄さん」
「今日は気温高いよな」
「最高で27度まで上がります」
「……暑いんだけど……」
驚くほど晴れた土曜の昼下がり――
まだ5月だということを忘れさせるような、春の陽射し。
特にやることもなくソファーの上でだらだらしていた俺は――
――梨香に抱きつかれていた。
「でも私は幸せです」
「うん、でも俺は暑いんだ」
「兄さんは嬉しくないですか?」
「いや、別に嬉しくな――イ、イヤーウレシイナ!! 梨香サンニクッツカレテ幸セダナー!!」
梨香が俺の顔を胸で挟み込もうとしてきた。
こうまで大きいと窒息死レベルだ。
「うふふ、そうですか兄さん♪」
「ふぅ……そういえば、何で朝から掃除してたんだ?」
梨香は今日、朝からリビングや自身の部屋の掃除をしていた。
(俺の部屋まで掃除していた)
「フフフ……実はですね……今日、お友達が来るんです!!」
「…………」
「…………」
「……お、おぉ……」
「な、何ですかそのローリアクション!? そこは、『い、妹の友達だと!? 男か? 男なのか!?』でしょう!?」
「いや、お前男子嫌いじゃなかったっけ」
「クラスの男子なんて欲望剥き出しの野獣です!!」
「……ほら、やっぱり」
「うぅ……もう少し心配してくれても……」
「男なのか~もしかして男なのか~」
「気持ちがこもってないです!!」
ピーンポーンッ
「あ、梨香の友達じゃないか?」
「そうですね。はーい、今行きまーす」
よし、行ったな……
じゃあ、男の俺は部屋にでも戻って……
「こんにちは、梨香ちゃんのお兄さん!」
リビングに梨香と共に入って来たのは、ツインテールの可愛らしい美少女だった。梨香に負けず劣らず男子受けが良さそうだ。
胸は梨香ほどではないが、それでも加那よりは大きいかな? と思う。
薄い生地のTシャツにミニスカートが、元気そうな印象を与える。
「あ、あぁ、こんにちは」
「兄さん、紹介します。友達の夏希ちゃんです」
「あぁ、この前梨香を買い物に誘ってくれた……」
「あら? お兄さん私のこと知ってるの? うわぁ~夏希嬉しいな~」
「じゃあ梨香、俺は邪魔にならないように部屋行ってるから――」
ガシッ、
両腕を、梨香と夏希に掴まれた。
「「おにいさ~ん、逃がしませんよ~!!」」
――あぁ、俺の優雅な休日を返してくれ……