買い物とツンデレ? 6――そして妹。
目が、覚める――
最初に飛び込んで来たのは、現代風のLED蛍光灯。
次にファンシーな縫いぐるみの数々。
俺の部屋に似ている……でも違う。
造りは同じだが、ここは妹の――梨香の部屋だ。
そうだ! 梨香!
俺は梨香に襲われて……
「梨――っ!! ……何だよ、これ……」
身体を起こそうとしたが、四肢が上がらない。
俺は――
ベッドの上に、繋がれていた。
両手両足を手錠にかけられ、動かす度にじゃらじゃらと音をたてる。
――ガチャ。
「起きましたか、兄さん」
扉を開けて、梨香が入って来た。
「り、梨香! これはどう言うことだ!」
「私が繋いだんですよ」
「どうして……」
と、梨香がベッドに上がり、俺に跨がるように腹の上に座った。
「だって、兄さん行っちゃったじゃないですか。他の女のところに」
「それは、お前が友達と遊ぶって言うから……」
「兄さんが取られると思って行きませんでした」
「だって、友達との関係も大事だろ?」
「私より、他の女を選んだんですね……」
「ちょ、ちょっと待て、加那とはそんな関係じゃないぞ!!」
「いいんですよ、隠さなくて」
「いや、隠してないから!!」
「でも、もう兄さんがどこかへ行くことはないんです。これからは私がずっと一緒に居てあげますからっ!!」
「いや、トイレとか風呂とかどうすんだよっ! 外せよ!!」
「外しませんよっ!!」
「……梨香……」
泣いていた。
あのいつも笑って元気な顔に、涙が一粒流れていた。
「だって、外したら兄さん行っちゃうでしょう? あの女のところに! 私を捨てて、行っちゃうでしょう!?」
「違うよ梨香、加那とは……」
「嫌です、兄さんが私の前から居なくなるなんて!! そんなの考えられない!! いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやっっ!!」
「だから違うって!!」
「……まだ言うんですか!? ――ああ、もうあの女に毒され始めているんですね。兄さんをこんなにするなんて許せない! 必ずあの女を殺して見せます! 早く戻してあげますからねっ待ってて下さい兄さんっ!!」
「おい、正気に――!」
バキッ!!
しめた! 老朽化したベッドの柱が、手錠越しに激しく揺らしたために壊れた!
そのまま自由になった手を使って、梨香を巻き込み身体を反転させる。
「止めて、離して下さい兄さん!!」
「っく!!ぜってえ離さねえぞ!!」
ギュッ、と
その小さな身体を、抱き締めた。
「っはあ、はあ……正気に戻ったか?」
「に、いさん……」
「よく聞け、俺と加那はクラスメイトだ。クラスメイトと一緒に買い物に行くなんて普通だろ?それに――」
自由になっていた右手で、ベッドの脇に置いてあった買い物袋を漁る。
「……これ、加那が選んでくれたんだ。お前に悪い思いをさせたお詫びだよ」
「……これを、私に……」
「俺はさ、梨香が大好きだよ。だから……その、何だ……心配すんな」
「に、にいさ……うわぁぁぁぁぁぁん!! ごべんなざーい!!」
泣きじゃくる梨香をなだめ、抱き締める。
「今日は一緒に寝ようか。お前の気のすむまで抱き締めてやる」
「……あ、ありがと、うございます……」
「その代わり、友達に今度謝っておけよ? それとお前から誘って遊びにいけ」
「はい……」
そして、一緒に晩ごはんを食べ、風呂に入り、一緒に寝た。
梨香には寂しい思いをさせてしまった。
明日はずっと隣に居てあげよう――
――翌朝。
「さぁ兄さん、今日は一緒に居ますよ~!!」
「うわ! いきなりどうした!!」
「『明日はずっと隣に居てあげよう』……フフ♪」
「心の声を読むなぁ~!!」
――今日も一日、梨香は元気そうだ。
2章終了です!
何か最後暗くなっちゃいましたが、次からは明るい梨香ちゃんでいきます。
次章もお付き合い頂けると嬉しいです!
それと、何かリクエストがあれば教えて下さい!!
検討するのでよろしくお願いいたします!!