夜更けに……奇襲!?
見てくださる方、これからよろしくお願いします!
更新はそんなに早くは出来ないし不規則だと思いますが、どうぞお付き合い下さい。
「兄さん……にいさぁん?……兄さんってば!起き て下さいよ!……もう、このねぼすけ!!」
ボスン!
「うあ!!……ゴホッゴホ、ゴホ!!」
腹にいきなり衝撃が走り、俺――真城 健(ましろ たける)は勢いよく咳き込んむ。
外はまだ暗いというのに、俺は自分の部屋の、自分のベッドの上で起こされた。
「んあ……何だよ、梨香……」
俺の安眠を妨害した張本人――妹の真城 梨香(ましろ りか)は俺の腹に乗ってゆさゆさと体を揺すっていた。
「あの、トイレに行きたいんですが……」
「頼むから一人で行ってくれ……それと俺の腹に乗らんでくれ」
「兄さんがトイレについて行ってくれるならどきます」
「どうせ寝る前に怖いDVDでも観てたんだろ?それに起こすならもっと安全な起こし方があんだろ」
「に、兄さんがねぼすけなのがいけないんです!!」
「さぁ、高校一年生の梨香さんに問題です。この時計の短い針は一体いくつを指しているでしょう?」
「はーい!3で~す!」
「…………」
「…………」
「この口が言ったのか!?この口が『ねぼすけ』などと言ったのか!?」
「いひゃいいひゃい!ひゃめてくらひゃいにーひゃん!!」
午前3時に起こされる俺の身にもなってみろ!と言いながら、俺は梨香の頬を思い切りつねってやった。
「……まぁいいか。ほら、早く寝たいからとっとと済ませるんだぞ」
「わぁい兄さん、そういうところが大好きです」
「そういう発言は誤解を招くからやめなさい」
「え、そうなることが私の本意ですけど」
「今さらっと爆弾発言しなかったか!?」
「に、兄さんはこんなに可愛い妹をお嫁さんにしたくはないんですか!?」
「兄妹では結婚出来ないんだよ!!」
……あぁ、この会話を小さい時から何度繰り返しただろうか。
確かに梨香は可愛い。その幼げで整った顔つき、華奢でスタイルのいい体、さらには大きく育った胸のおかげで、俺と梨香が通う高校でも噂の存在となっている。
誰にでも優しいところがさらに拍車をかけて、男子からも女子からも好かれ、学校一とまで言われる程だ。
しかし、決定的な欠陥がある。
妹の梨香は、俗に言う『ブラコン』なのである。
何故実の兄――しかもごく普通の、何処にでもいそうな何の取り柄もない俺だぞ!?――が好きなのだろうか?
「そうやって自分のことをへりくだって言うところとかが魅力なんですよ」
「心の声を読むなよ!?」
「フフ、慌てた兄さんも素敵です♪」
駄目だ……なに言っても通じない気がする……
「というか梨香、お前トイレは?」
「あぁ、忘れてました」
「これだけ我慢出来んならしなくても大丈夫だろ」
「まぁまぁ兄さん、そう言わずもっとお話しましょうよ」
「既に主旨変わってるだろ!」
……結局、俺が再び眠ることが出来たのは1時間後となったのだった……