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グーグル先生は優しかった

 唐突だが、どうか呆れて聞くのを止めないでもらいたい。

 この俺、南禅寺慎は超能力者だ。

 馬鹿だコイツ。話を聞いていたら中二病が写る。などは思わないでくれ。

 中二病でも厨二病でもなく、正真正銘、超能力者 エスパーと言う奴だ。

 具体的にいうと、制限付きではあるが他人の心を読むことができる。読心術などの科学的なものではなく、超能力だ。

 元々は昔からオカルトが好きだったのが始まりだった。

 中学二年の時の俺は、痛々しくも、かの有名なグーグル先生に頼んで「超能力の使い方」とか「超能力の発現方法」などというキーワードを探していただいていた。

 グーグル先生は優しい方でいらっしゃる。「中二病(無添加100%)」のものを頼み込んでも、嫌な顔一つせず、文句の一つも言わずに探してきてくれた。まあ、顔なんて無いんだけれども。

 そしてそのページを行列に並んでもうすぐで自分の番だというくらいのハイテンションで開く。そこに広がるのは夢世界。

 様々な方法が立ち並ぶ中に一つ俺の心を心臓ごとかっさらっていくんじゃないのかというくらいの方法が書いてあった。

「簡単に誰でも一瞬で超能力に目醒める方法」

 我ながら馬鹿なんじゃないのかと思う。

 ちなみに方法としては、好きな女子の名前を、ものすごくそれはもうイッパイめいっぱい、大声で喉が張り裂けて声が出なくなるんじゃないのかという程にっていうか、腹から声を出しておもいっきり、熱くて熱中症になるくらいの気持ちを連呼しろ。というものだった。

 何度でも言おう。我ながら馬鹿なんじゃないのかと思う。

 回数はざっと二百回くらいだ。

 おいおい多すぎるだろステイーブン、ハッハッハ。とか考えている奴はかなり一途なんだな。

 俺が好きな女子は四人いる。将来の目標、一夫多妻なハーレム家庭。

 俺は心が揺らぎすぎるんだよ。少し優しくされたどころか話しかけられただけで好きになるレベルだ。

 もちろん叫んだのは自室でもなければ、どこぞの野生児の様に野外でもない。

 学校行事によって潰れた休日のリスボーン地点、そう月曜日だ。

 月曜日が潰れるのは歓喜と哀感が二つ同時に一気に襲ってくる。

 その日は楽しい授業やサボっても直ぐに遅れを取り戻せる授業が沢山あるから心置き無く過ごせるのに、その日が無くなるとなんだか損した気分になる。

 けっして休日が嫌いというわけではなく、その日は学校に行ってもいいから面倒くさい日を休みにしてください、と言いたいのだ。

 話が脇道に反れてしまったっていうか曲がりすぎて、違う場所に着きそうだが戻そう。

 俺はカラオケで、それも誰もいない様な昼間に一人で一番奥の部屋を使い、その儀式を行った。

 何故かフリータイムにしてしまったのでフリードリンクを思う存分飲みまくりながら当初の目的を忘れそうになるくらいまで歌いまくった。

 二時間後、これほど愚かという言葉が当てはまるような人間は初めてかもしれないという考えが浮かぶ。

 カラオケに一人+フリータイム+歌い続ける=喉がナイフで切られたように痛い。

 更には、隣の部屋に人が入った。他にも部屋は沢山あるだろうが、この暇人が! と思いながら他の客を恨むこともできないので、この怒りをやけ酒(フリードリンク)にぶつけることにした。

 一時間ほどCCレモンばかり飲んでいたら喉が回復してきた。あれはHP回復ポーションだったのか。

 この期を逃すまいと、俺は頑張って四人の女子の名前を合計二百回、叫んだ。

 この際隣の部屋や廊下などに流れる出る少しの音は気にしてはいられない。

 目標を果たし、平日昼の良心的な料金を払い、お釣りとレシートを財布にしまい店を出ようとした時、ありがと聞こえた後に改めてありがとうございました。と聞こえた。

 これが俺の能力の始めだった。






 今俺何してるんだっけ?

 夕日によって淡い赤色に染まる教室の中で、俺は何をしているんだっけ?

 前方には濃い黒髪に太陽の光が差し綺麗な色合いをみせる。

 それに顔立ちも加わって一番似合う言葉が、大和撫子。

 今俺の前に同じ高校の女子制服に身を包んだ絶滅危惧種が居る。

 名前は道菜小町。その名前の姓は反して、名はその通りに彼女を表している。

 道に咲く花の様に強く見えずに逆に弱々しくて守らければいけないようで、小野小町の様に絶世の美人。

 そんな彼女が……、思い出した。

 告白してきたんだ。この俺に。

 人生何事も予測、予言なんて本当はできない。

 考えたことが偶々当たって、俺スゲェなんていう痛い発想をしてしまうと、最悪だ。

 今起こっているこの出来事も、唐突に起こった事なんだ。

 はっきり言ってしまうと、目の前の道菜小町は俺の好きな女子の一人であり、叫んだ順番が一番最初だったので、最も好きなのかもしれない。

 でも、やっぱり突然の事なので、脳内の算術演算装置が熱暴走を起こしてしまっているようだ。

 遡ってみよう。今日の朝から今にかけてを。





 目覚まし時計なんて物は俺の部屋には存在すらしておらず。スマートフォンのアラームで目を覚ます。

 前日に柄にもなく本を読んでいて夜ふかしをしたせいか、寝起きは最悪だ。

 十二月の中旬ともなると秋なのに一日を通して辛い。正直冬眠をしたい。

 それでもやっぱり、人間には許されてはいない行為であると同時に、多分直ぐに目を覚ますから止め、諦めて布団を体の上から退かす。

 部屋の中まで冷え切っていて、このまま着替えると凍死すると思い暖房のスイッチをONにする。

 身支度を済ませ二階から階段を一段ずつ気だるそうにゆっくりと降りていくと、コーヒーやトーストの匂いが俺の鼻から感覚神経から脳へと伝わり腹の虫が催促してきた。

 リビングの扉をガチャリと音をたてて開けると、キッチンで姉が料理をしていた。そしてこちらにきずき、

 「今日起きるの遅かったね。夜に何か見てた?」

 「本をな」

 「えー。アダルトなやつ?」

 濁りのない純粋無垢な笑顔を向けてとんでもないことを聞いては来るものの、毎回他人の事を第一に考えている。俺の姉、南禅寺真子だった。

 だがその質問に大真面目に、この上なく明白な事実を告げる。

「残念だな姉貴。ライトノベルだ」

「惜しい」

 あからさまに悔しげな表情を見せる。

 十八禁の官能小説とライトノベルは違うからな。まず対象年齢が官能小説は十八歳だがライトノベルは無い。全年齢対象だ。

 でもまあ、普通は中学生になったくらいから読み始めるんだけれども。

「父さん達もう仕事行った?」

「三十分くらい前にね」

 先程からの何で姉が料理してるんだよという声にお答えしましょう。

 南禅寺家は両親が共働きで殆どの家事を姉が請け負っている。俺が高一で姉が二年で一学年しか変わらないのに、親戚のお姉さんが遠路はるばる家まで来ているみたいに思える。なんだか姉弟なのに他人みたいだ。

 ちなみに、俺には妹もいる。

 優しい兄想いの妹だ。端的に言えばブラコンというやつである。

 でも、その愛をいずれは他に向けて欲しいものだ。

 一夫多妻制だけでも法に反しているのに、近親相姦ともなると少し厳しい。

「で、朝ごはん何?」

「何って言われてもね……」

 え、今調理してるそれ朝ごはんじゃないの? じゃあなにやってんのそれ。食材の焼却処分?

「それじゃないの?」

「えーっとね……、これは……」

 ためる。五十万円貯まる貯金箱が重くなるほどに。

「ちょっと食材を合わせて新たなものを作ってるだけだよ」

「錬成でもしてんの?」

 姉貴が自分で言ったくせに首を傾げ「え、なに?」みたいな顔をする。天然なのか? いや、でも人間は全員人口か、二人で夜な夜なつくってるんだし。

「じゃあそれなに!?」

 ロードの遅いゲームに苛つくように、進みの遅い会話に少しイラっとする。

「お弁当……」

「順番逆じゃないの……?」

「なんだかノリで。すみません 忘れてました 朝ごはん」

 俳句みたいに言っても何も状況は変わらないから。あと季語どこ?

「でもさ、朝ごはん食べてる時間あるの?」

 疑問を感じると姉貴が壁にかけてある四角い時計を指差す。時間は六時五十分。普通の人なら、「それがどうした」ですむことだが俺の場合は登校時間が一時間を超えるのでレッドゾーン。

 駅まで行くのに自転車を漕いで二十分、七時三十六分の電車に乗って次の駅で乗り換え、藤川駅から赤道付近の国のバスみたいに満員のスクールバスで傾斜のキツイ坂を上り高校の駐車場までたどり着きそこからまた歩く。

 毎朝意外とハードな運動だ。教室に着くのは八時三十分前後。まだ余裕がある、が電車をひとつ遅らせると座れない。二つ遅らせるとスクールバスが無くて遅刻。

 当然そんなことは嫌だ。なので、急いで自室に戻り制服の袖に腕を通しネクタイを締め、鞄の中身を確認して肩にかけ自転車の鍵をはずし駅へ向かう。

 学校の近くで一人暮らしの方が楽だろ、と思うもやはりその叫びは誰にも伝わらない。よむだけだから。

「小説家になろう」がネットでの投稿一回目です。

少しはがんばったつもりですが、幼稚な文字を並べただけのものを読んでくだされば幸いです。

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