第5話 研究所
悪の組織の研究所と言うと、怪しい色の液体や気体の入った試験管や、色々な動物や臓器が入ったビンとか、怪しく光る機械、等があるものだと思っていた。
「意外とスッキリしてるでしょ?」
「そうだな。むしろスッキリし過ぎじゃないか?」
部屋の真ん中にどデカイ機械とそれに繋がるPC、それと一本の太いケーブルだけだ。
「昔はね、もっといろいろあったんだけど、クローン製造機とかキメラの模型とか、今はこの機械一つあれば十分。と言うか、うちの予算の半分はこれが占めてると思っていい」
「そんなにするのか」
「25年ローンで作った。うちで使いこなせるのは博士だけ」
「それはまた」
「人手不足なのよ」
よく見てみると、人が入るような所がある。日焼けマシーン的な?見たことないけど。いや、モニターがあるからむしろカプセルホテルか?行ったことないけど。
「触っちゃダメだからね。壊れたりしたら困るから」
「はいはい」
しかし、そんなもの俺に見せていいのだろうか。あ、でもこのマシーンはなんのマシーンかも分からないから結局意味ないのか。新手のマッサージ機かも知れない。
「じゃあ次、給湯室」
見るものは特になかったが、瞬間湯沸かし器が文字通り瞬間で焦った事をここに記す。なるほど、これが技術の無駄遣いか。
「で、ここが司令室」
「ふんふん。なんか、カスタマーサービスセンターみたいだね」
「そりゃそうよ、元々はそういう会社があったフロアだし。そのまま、使わせてもらってるの。改装費もかかるしね」
「へぇ」
「そのうち資金が貯まったら、変えていくつもりよ」
「そうか」
悪いことするのにもお金がかかるのね。幸がらい世の中なこって。
「次が会議室なんだけど、みんなに集まってもらってるから、自己紹介でも考えておいて」
「うん、分かった」
あれ?俺、状況に流されてね?