第4話 改造人間 愛宕慎司
扉を抜けたその先は廊下だった。まぁ当然だ。
「私たちダークフィストは丸森ビルの3階をまるまる借りて活動しているの」
規模としてはかなり微妙な所だ。
「それで今のが手じゅ、ちゅ、しゅじゅ、・・・オペ室」
「・・・」
「主に怪我人の治療に使われるけど、本来は改造しゅ、じゅ、つ、を!する為の部屋」
「改造?」
「あ、嫌がる人にはしないし、無理な改造もしないから大丈夫よ」
「ちなみに、俺って」
「ごめんなさい。命を救う為には必要だったの」
「そう・・・か・・・」
「怒らないの?」
「いや、助けてもらったことには変わらないからそこまで」
だからと言って、親にもらった大切な体をどうこうされるのも気持ちのいい話でもない。
「少しは怒ってるんだ」
「まぁ、君たちがもっと、悪そうな奴らだったら良かったのになぁと」
怒りをぶつけるなり、暴れたりしていただろう。
「悪いわよ?」
「いや、まだ分からないけど、そんな気がしただけ。で、もし悪かったらヒーローになるチャンス、って思ってね」
「ふーん」
「それだけなんだ、裏切るかも知れないのに」
「まぁその時はその時よ。志す物が違うだけ、追いはしないわ。ただ、向かってきたら向かい討つけど」
「そうか。ちなみにどこを改造したんだ?」
「内蔵のいくつかと腹筋、ダメになってたからね」
また微妙な所を・・・。ふと思いつきシャツをまくり上げる。
「な、なに!?いきなり!?」
「おおぉ」
最近筋トレを怠っていたせいで弛んでいた腹がきれいに六つに割れているではないか!!しかも、正面だけでなく横腹の筋肉までしっかり付いている。パーフェクト!!
「ありがとう!!」
「ど、どういたしまして?」
「ホントありがとう。これって、いつまでもつ?」
そこが問題だ。これが三時間しか持たないとかだったら、ここにずっといるハメになるぞ。
「一応一生もつわよ。ただ、時々メンテナンスしないといけないけど」
「時々ってどれくらい?」
「まぁ半年に一回は必ず見るとして、あとは何かあった時ぐらいね」
何か・・・とはここに限って言えば戦闘のことだろう。なるほどなるほど、ヒーローと戦うのだから怪我もすることだろう。毎度毎度あれだけ爆発しているのだ、腕の一本や二本吹っ飛んだりしてもおかしくはない。こと治療や改造に関しては高い信頼があるだろう。
「さて、行きましょうか。そうね、まずは研究所から行きましょう。ここから一番近いしね」
「へぇ、研究所か」
一体どんなものだろうか?小さい頃は憧れたものだ。脳や動物のホルマリン漬けでもあるのだろうか?年甲斐になく俺はワクワクしていた。