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【IF話】ヤンデレっぽい何か【夢オチ】

最初の話がIF話とは自分でもどうかと思いました。

基本的に思いつきで書くのでご容赦下さい。

 休み時間。

 田中と格闘ゲームにおける昇○拳コマンドに関して熱く語り合っていたら、アキラが寄って来た。



「よーアキラ、1Pと2Pだと2P側の方が出し易いよな? 昇○拳」


「……ここぞと言う時に出なくて、連続技を入れられると泣きたくなりますよね」


「売り切れーーー! って叫ぶよな」


 昇〇拳売り切れ。風〇拳売り切れ。あるあるあるある。

 他にポエミー……じゃなくてポピュラーな言い訳として、コマンド入れたって! とかレバー壊れてね? とか。開発出てこい! ってキレるのもありだな。



「単なるコマンド入力ミスでしょ、それよりも……」


 身も蓋も無いなアキラ。それはちょっと冷たい物言いだぞ? ってなんだか視線も冷たいんだが。



 「田中、カッキーが呼んでいたよ。早く行った方がいいと思う」


 「……あ、はい。すぐ行きます」


 何かに気圧されるようにそそくさと田中が立ち去った。

 田中が去ったのを見届けた後、アキラはそのまま俺の横に来て、ダンっと結構な音を立てて、机に手をついた。



 「コーイチ、どういう事?」


 「どういう事って……昇○拳が1Pだと上手く出せない事か?」


 「なんで『親友』のオレの所に来ないで、田中なんかとしゃべってるの?」


 スルーされたぞ。

 つか親友ってトコを殊更強調しつつガンをくれてくるんだが。



 「なんでって……短い休みだし、席の近い田中としゃべってちゃ悪いのか?」


 「さっきの休み時間も来なかったじゃないか」


 「あー、さっきは竹村に頼んでMPプレイヤーに新曲入れてもらって--」


 「そんな事はどうでもいいっ!」


 お前が聞いてきたんじゃねえかよ。



 「とにかく! コーイチは親友のオレを差し置いて他の男としゃべりすぎ。おかしくない? おかしいでしょ? 数年振りに会ったマブダチなのに冷たくない? それとも他の男友達と過ごす方がいいの? オレ以外の男と遊ぶ方が楽しいの? 席が近いだの遠いだのそんな言い訳をして--」


 やべぇ、なんかしらんけどアキラが怒りだした。

 黙って聞いているが終わる気配がない。



 「長えっての。要するに俺はどうすりゃいいんだ?」


 「オレ以外の男としゃべるな」


 お前は女だろうに。

 男としゃべるなって……じゃあ女としゃべればいいのか?

 こうしてる間もアキラはずっと俺を責め立てているし。


 お、チャイム鳴った。



 「わかったわかった。ほら席に戻れよ、先生来るぞ」


 「むー」


 不満そうに唸りながらアキラは戻っていった。



 「……先生は僕を呼んでないとの事でした」


 入れ替わりに田中が戻ってきて一言。

 アキラのヤツ、嘘つきやがったな。

 男としゃべるのがそんなに気に食わないんだろうか。

 嫉妬ならうれしいんだが、方向性が違う気がする。



 「……でも伝言を頼まれたので無駄足ではありませんでしたが。八神君、放課後職員室に来いとの事です」


 なんだよ何もしてねーよ。

 ちょっとここ数日立て続けに暴力事件を起こしているだけだ。

 正当防衛だと思うんだけどな。




 次の休み時間。

 アキラが訳の分からないキレ方をしてたので、男友達ではなく女子の所へ。

 クラスメートとは交流を深めなきゃな。



 「へー蘭ちゃん達は幼稚園からずっと一緒なんだ」


 「そうなんですよ」


 「私たちはとっても仲良しな」


 「腐れ縁なんです」


 最後がちっとおかしいぞ。



 「ところでその喋り方なんとかならんの?」


 「……………………」


 「……………………」


 「……………………」


 禁句だったんだろうか。



 「コーイチ」


 うお、びっくりした。

 振り向いたらアキラが幽鬼のような表情でつっ立ってた。

 そのまま、すたすたと3人組の所へ。



 「コーイチはこう見えてもスケベだから近寄らない方がいいよ」


 おい、いきなり何言いやがる。



 「パンツ見られたり、胸を触られそうになったから。だから早く逃げた方がいい」


 「おい! それは全部お前がやってきた事だろ!」


 冗談じゃねえぞ、痴漢冤罪になった人の気持ちが良くわかる。

 分かりたくもなかったが。

 無罪を主張する俺を、アキラが軽くあしらう。



 「コーイチ五月蝿い。ほら、林田さんの所にでも行った方がいいんじゃないかな?」


 「あ、はい」


 「わ、わかりました」


 「ごめんなさい……」


 俺からはアキラの表情は見えなかったが、怯えながら立ち去る3人組を見てだいたい予想はついた。



 「コーイチ」


 「な、なんだ」


 「なんで女子としゃべるの?」


 「なんでって……男としゃべってたらお前が怒るから代わりに女子と--」


 ダンッ!!

 おいおい机が可哀想だろ。

 ってアキラがマジで怖いんだが。



 「女としゃべりたかったらオレとしゃべればいいだろっっっ!」


 「あ、はい、そうでした、すいません」


 「コーイチは親友のオレを蔑ろにしすぎ。男としゃべるなって言ったら女子の所に? なにそれバカにしてるの? 普通オレの所に来るでしょ? そんなに女の子としゃべりたかったの? それこそオレでいいじゃない! もしかしたらパンツまで脱いで確認しなきゃ女だと認めないの? だったら--」


 「すいません、ほんとすいませんでした、勘弁して下さい」


 この前一生懸命に男だと主張してたのにな……と思ったが、アキラの目付きが尋常でないのでひたすら謝る俺カコワルイ。



 「コーイチ」


 「なんでございましょうか」


 「男子とも女子ともしゃべるな」


 どうしろってんだ。

 俺を孤立させたいのか。

 昔黙って消えた罰なのかこれは。


 あ、チャイム鳴った。



 「まったく……本当にコーイチはどうしようもない……」


 ぶつぶつ言いながら立ち去って行った。

 その台詞をそのまま返してやりたい。


 まあしょうがない。

 昼飯一緒に食って機嫌でもとっておくか。

 マブダチっつっても四六時中つるんでなくていいだろうに。




 放課後。

 理不尽な呼び出しを受けたので職員室へ。

 正確には社会科教員室だっけか。

 あの担任ノリはいいけど気付くとゲームやってるよな。

 荷物をまとめ、教室を出ようとしたトコでアキラが。



 「コーイチ、一緒に帰ろう」


 「悪いが呼び出しくらって、これから先生の所に行かなきゃならん」


 正当防衛だと主張して、その後は謝罪と賠償の一環として試験範囲を教えてもらおう。

 細かくピンポイントに教えてもらいたい。

 具体的には問題と答えを教えやがれ。



 「そんな……一緒に帰って友情を深めるつもりだったのに…………」


 なんでそんなに友情を深めたがるんだよ。

 まさか先生ともしゃべるなとか言わんだろうな、留年してしまうわ。



 「悪いな、また今度で」


 軽く流して背を向けると--



 「えい」


 妙に可愛らしいアキラの掛け声とともに、俺は意識を失った。






 ーーーーーーーーーーーー






 「ここはどこだ」


 「オレんちー」


 「どうして俺はアキラの家にいるんだ」


 「気絶させて持ってきたー」


 マジかよアキラ体力あるな……って。



 「どういう事だ!!」


 「うわ、びっくりした」


 びっくりしたのは俺だ。つかありえねえだろ。

 それにご丁寧に縛られてるし。

 ベッドに寝かされていたので百歩譲って許すが。

 良い匂いがするな……くんかくんかうおおおおおおおってそうじゃねえ!


 とりあえず落ち着こう。

 よし落ち着いた。



 「アキラ、なんでこんな事をしたんだ? 簡潔に説明しろ」


 「?」


 きょとんとした顔してんじゃねえ。



 「だからなんで俺は縛られてアキラの家にいるんだ!?」


 「えっと、コーイチがオレに対してちょっと冷たいので、監禁して親友の在り方を徹底的に教育しようかと」


 花の咲くような笑顔で怖い事を言った。



 「ふざけんな!!」


 「そっちこそ!!」


 キレたら逆ギレされました。



 「オレというものがありながら、男といちゃいちゃ女といちゃいちゃ……」


 ハイライトの消えた瞳でぶつぶつと呟くアキラがマジ怖え。



 「窓も漆喰で固めたし、扉も南京錠で……あ、番号書いた紙は見ないで燃やしたからオレでもわからないよ?」


 「おいおい……」


 なんだっけか、ミザなんとかって古い映画に良く似たシチュエーションが……。



 「こんな事が許されると思うのか? 親父さんやお袋さんだっているだろ!?」


 「子作り旅行で一週間ほど留守にしてる。だから安心して友情が深められるよ」


 なんだそのふざけた旅行はいい加減にしろお前らがそんなだから娘がこんなんなっちゃったんだよちくしょう!



 「まずは友情物で有名なアニメから……通しで18時間くらいあるけど途中で寝ちゃダメだからね」


 しかもアニメかよ。

 メシやトイレはどうすんだ。

 ってちょっと待て。



 「……なあアキラ」


 「ん、なに?」


 「お前さっき窓も固めたし、ドアも開かないって言ったよな?」


 「うん」


 「どうやって出るんだよ?」


 「………………………」


 ………。

 ……………。


 たっぷり5分は待ったが返事がこねえ。



 「おい」


 「えーっと」


 アキラの目に光が戻った。

 が、その頬をつたう冷や汗はなんだ。



 「コーイチ、窓ぶち破ってくれる?」


 「お前はー!!!!!!!」


 怒りのあまり頭に血がのぼりすぎ、視界がブラックアウトしていく。

 これは夢だ、夢に違いない……。

 そう思いながら俺は意識を手放した。






 ーーーーーーーーーーーー





 目を覚ますと、心配そうなアキラの顔が目の前に。

 ってアキラ!?

 勘弁してくれ!!



 「あ、起きた。大丈夫? 大分うなされてたけど」


 「お前こそ大丈夫かと小一時間問い詰めたいんだが!!」


 「……なに言ってるの?」


 ……。

 普通だな。

 瞳のハイライトもちゃんとある普通のアキラだ。



 「良かった……夢だったのか」


 「悪い夢でも見たの? 疲れているのかな?」


 「かもしれん」


 なにせここ数日は毎日アキラのファン? と殴り合い宇宙だしなあ。

 じんわりとかいた額の汗を、アキラがハンカチで拭いてくれている。

 ああ、こんな優しいアキラが、あんなストーカー紛いの事をする訳ないよな。

 かわいいハンカチだな……ってオレがあげたハンカチじゃねえか、鼻水だらけにされた。


 洗ってあるから汚くないはずだが、どうにも気になってしょうがない。

 軽く身を反らそうとしたが、何故か動きづらい。

 まるで縛られているようだ……って縛られてるじゃん。

 つかベッドの上!?



 「……18時間もDVDを見れば疲れるよね。じゃあ次は――」

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