エピソード5 最終章 最後の母体
いよいよ最終章になります。
ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます。
この物語は、ある日見た夢の断片から始まりました。
頭の中に残っていたのは、母体を守る存在と、静かに広がる戦闘の光景でした。
そのイメージを元に、この物語を書き進めてきました。
最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。
終章 対の存在
夜の都市は燃えていた。
高層ビルのガラスが割れ、
街路には火の線が走っている。
戦闘は市街地へ移っていた。
空には敵の空中ユニット。
地上には装甲部隊。
だが都市の中央には、三つの影が立っている。
水城。
AQUA-1。
AER-2。
三人は瓦礫の中で敵を見ていた。
AER-2が肩を回す。
「数、多すぎないか?」
AQUA-1が静かに言う。
「止めたい」
水城は空を見る。
敵の編隊がまだ増えている。
だが、何かがおかしい。
敵は撃ってこない。
ただ囲んでいる。
AER-2が笑う。
「殲滅じゃないな」
その時だった。
空が割れるような音がした。
巨大な輸送機が降りてくる。
都市の中央に着地する。
兵士が出てくる。
だが武装していない。
その奥から、一人の人物が歩いてくる。
人型。
水城と同じように。
その人物は静かに言った。
「やっと見つけた」
AQUA-1が目を細める。
「誰?」
その人物は微笑んだ。
「君たちと同じだ」
空気が一瞬止まる。
水城が言う。
「母体か」
その人物はうなずく。
「そう」
「もう一つのHYDRA」
AER-2が笑う。
「おいおい」
「敵にもあるのかよ」
その人物の後ろから、二つの影が現れる。
一人は炎のような髪を持つ女。
もう一人は雷のような光をまとった男。
AQUA-1が小さく呟く。
「同じ……」
女が手を上げる。
炎の球体が空に浮かぶ。
男が手を握る。
空気が震える。
水城が理解する。
これは戦争の理由だ。
世界には二つの母体がある。
そしてそのどちらも、
兵器を生み続ける。
相手の母体が生きている限り、
戦争は終わらない。
敵の母体が言う。
「提案がある」
AER-2が肩をすくめる。
「ろくでもなさそうだ」
その人物は続ける。
「戦争を終わらせる方法だ」
AQUA-1が聞く。
「どうやって」
母体は静かに答えた。
「簡単だ」
「どちらかが滅びる」
都市の空が赤く染まる。
遠くで爆発が起きる。
風が吹く。
瓦礫が転がる。
水城は空を見る。
そしてゆっくり言った。
「そうか」
沈黙。
次の瞬間。
AER-2が笑った。
「なら」
AQUA-1が手を上げる。
水球が浮かぶ。
AER-2の周囲の空気が歪む。
水城が前へ出る。
「やるしかない」
都市の中央で、
二つのHYDRAが向き合う。
その瞬間。
新しい羽化が始まった。
世界はまだ知らない。
この戦いが終わる時、
人類の形そのものが変わることを。
戦争は終わらない。
だが――
物語はここから始まる。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
夢で見たわずかな映像から始まった物語でしたが、書き進めるうちに少しずつ世界が広がり、HYDRAと母体の物語が形になっていきました。
この作品を読んでくださった皆さまに、心から感謝しています。
もし少しでも楽しんでいただけたなら、とても嬉しいです。
またどこかで、新しい物語をお届けできたらと思います。
シーズン2も検討中です。
本当にありがとうございました。




