エピソード4 捕獲部隊
エピソード4になります。
ここから物語は少しずつ大きく動き始めます。
HYDRAという存在、そして母体を巡る状況が、これまでとは違う形で広がっていきます。
まだ見えていないものも多い世界ですが、
その一端を感じてもらえたら嬉しいです。
倉庫の天井が崩れた。
赤い火球が次々に落ちる。
鉄骨が溶ける。
コンクリートが煙を上げる。
兵士が叫ぶ。
「防御ライン形成!」
アサルトライフルが一斉に火を吹く。
薬莢が床に散る。
だが敵は止まらない。
空中ユニットが次々に降下する。
青白い噴射光。
宇宙服のような装甲。
彼らは静かだった。
まるで作業をしているように。
水城の胸の奥が熱い。
羽化が始まっている。
体の奥で、何かが形を作っている。
白衣の男が叫ぶ。
「時間がない!」
AQUA-1が前に出る。
空気が揺れる。
海水ではない。
今度は空気中の水分。
それが集まる。
水球。
十。
二十。
三十。
ぽよん。
床を跳ねる。
敵兵の足元へ。
破裂。
霧が広がる。
装甲が溶ける。
敵が倒れる。
だが。
その時だった。
倉庫の奥から、低い音が響いた。
ゴォォォン……
巨大な扉が吹き飛ぶ。
中に入ってきたのは、人型だった。
だが普通の兵士ではない。
三メートル近い巨体。
黒い装甲。
背中に巨大な燃焼炉。
白衣の男の顔が青ざめる。
「捕獲部隊……」
水城が聞く。
「何だそれは」
男が答える。
「あなたを殺す部隊ではありません」
「あなたを連れて帰る部隊です」
巨人兵が腕を上げる。
そこから放たれたのは火球ではない。
赤い鎖。
エネルギーの束。
それが一直線に飛ぶ。
水城の足元へ。
床が爆発する。
兵士が飛び込む。
「母体を守れ!」
銃声が鳴る。
だが巨人兵の装甲には効かない。
AQUA-1が水球を飛ばす。
命中。
破裂。
霧。
装甲に触れる。
だが溶けない。
AQUA-1が初めて驚いた顔をした。
「効かない」
白衣の男が叫ぶ。
「耐水装甲だ!」
巨人兵が一歩進む。
床が割れる。
水城を見下ろす。
そのヘルメットの奥で、赤い光が点滅する。
機械の声が響く。
「HYDRA母体確認」
「捕獲開始」
鎖が再び飛ぶ。
その瞬間。
水城の体が光った。
羽化が限界に達した。
胸の奥が裂ける感覚。
痛みはない。
だが世界が揺れる。
光の中から、人影が現れる。
兵士が息をのむ。
新しい存在。
背の高い男だった。
黒い髪。
鋭い目。
彼の周囲の空気が揺れている。
水ではない。
炎でもない。
空気そのもの。
彼が静かに言う。
「……うるさいな」
巨人兵が振り向く。
男が手を振る。
空気が圧縮される。
見えない弾丸。
発射。
ドンッ!!
衝撃波。
巨人兵が吹き飛ぶ。
倉庫の壁に叩きつけられる。
兵士たちが凍りつく。
AQUA-1がつぶやく。
「第二世代」
男は自分の手を見る。
そして静かに言った。
「名前?」
水城が答える。
「好きに決めろ」
男は少し考える。
そして笑った。
「じゃあ」
「AER-2」
空気が再び揺れる。
倉庫の外で爆発が起きる。
敵の増援。
無数。
AER-2が空を見る。
そして楽しそうに言う。
「戦争か」
AQUA-1が答える。
「そう」
水城が静かに言う。
「始まったばかりだ」
都市の空が赤く染まり始めていた。
エピソード4を読んでいただきありがとうございます。
物語はここまでで、ひとつの区切りのような形になりました。
ですが、HYDRAと母体の物語はまだ始まったばかりです。
夢で見た断片的な映像から始まったこの作品ですが、
書いていくうちに少しずつ世界が広がってきています。
この先では、さらに大きな動きや新しい存在も登場していきます。
次のエピソードも楽しんでいただけたら嬉しいです。




