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HYDRA CHRYSALIS  作者: Nao9999
2/5

エピソード2 海上戦域

エピソード2になります。


この物語は、ある日見た夢の断片から生まれました。

頭の中に残っていたのは、戦闘の光景と「母体を守る兵器」という不思議なイメージです。


エピソード2では、HYDRAの戦闘能力と世界の状況が少しずつ見えてきます。

楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。

夜明け前の海は、灰色だった。

波は静かだ。

だが静けさは長く続かなかった。

エンジン音が海面を震わせる。

高速ボートが四隻、一直線に走っていた。

その中央のボートに、水城は座っている。

海風が髪を揺らす。

周囲には完全武装の兵士たち。

誰も会話をしない。

ただ警戒している。

水城の向かい側に、AQUA-1が立っていた。

彼女は海を見ている。

まるで初めて見る景色のように。

「これが海?」

水城はうなずいた。

「そうだ」

AQUA-1は少し考えたあと、指先を水面に向ける。

その瞬間。

海水がわずかに浮いた。

小さな水の球。

ぽよん。

空中で揺れる。

兵士の一人が小さく息をのむ。

「……制御している」

その時だった。

レーダー担当が叫ぶ。

「接近!」

兵士が振り向く。

遠くの空に光が見えた。

青白い噴射光。

空中ユニット。

敵だ。

数は十以上。

水城は静かに言う。

「来たか」

敵兵の腕が光る。

次の瞬間。

火の弾が海を裂いた。

着弾。

水柱が上がる。

二発、三発。

連続で落ちる。

兵士が叫ぶ。

「回避!」

ボートが急旋回する。

火球がすぐ横の海面を貫く。

触れた海水が一瞬で蒸発する。

敵の火兵器。

濃縮された熱エネルギー弾。

直撃すれば、装甲でも溶ける。

兵士たちが撃ち返す。

アサルトライフル。

だが空中の敵には届きにくい。

その時だった。

AQUA-1が静かに前へ出た。

「わかった」

水城が見る。

「何が?」

彼女は空を見る。

「この世界の戦い方」

AQUA-1の周囲の空気が揺れる。

海面が震える。

次の瞬間。

海水が持ち上がった。

球体。

一つ。

二つ。

三つ。

いや。

数十。

巨大な水球が空中に浮かぶ。

兵士が息をのむ。

「でかい……」

AQUA-1が手を振る。

水球が飛ぶ。

ぽよん。

ぽよん。

まるでスライムのように空中を跳ねる。

敵兵が火球を撃つ。

水球に命中。

破裂。

だがそれが罠だった。

水球が霧になる。

空中に広がる。

敵兵の装甲に触れる。

ジュッ。

白煙。

装甲が溶ける。

一人。

二人。

三人。

空中から敵が落ちていく。

海へ。

水城がつぶやく。

「……殲滅兵器」

だが次の瞬間。

空が赤く光った。

新しい敵だ。

大型ユニット。

背中に巨大な燃焼炉のような装置。

兵士が叫ぶ。

「指揮官クラス!」

敵が腕を上げる。

巨大な火球が生成される。

それは人間の大きさだった。

発射。

火球が一直線に飛ぶ。

水城のボートへ。

その時。

AQUA-1が静かに言う。

「母体」

水城が振り向く。

「何だ」

彼女は少し微笑む。

「守る」

その瞬間。

海が割れた。

巨大な水柱が立つ。

そして圧縮される。

巨大な水球。

それはまるで

小さな月のようだった。

火球と衝突する。

閃光。

爆発。

蒸気が空を覆う。

敵ユニットが揺れる。

その瞬間。

遠くから銃声が響いた。

一発。

敵のヘルメットが砕ける。

また一発。

敵の燃焼炉が撃ち抜かれる。

水城の視界がまた変わる。

十字線。

スコープ。

ショッピングモールの屋上。

狙撃手が次の弾を装填している。

その狙撃手はつぶやく。

「母体は守る」

トリガー。

発砲。

空中の敵が次々落ちていく。

海面に波紋が広がる。

戦闘は、わずか数分で終わった。

海に残ったのは、

燃える残骸と、

静かな波だけだった。

AQUA-1が海を見る。

そして小さく言った。

「まだ来る」

水城が聞く。

「誰が」

彼女は空を見た。

「私を殺す者」

少し沈黙。

「そして」

「あなたを」

海の向こうで、太陽が昇り始めていた。

戦争はまだ始まったばかりだった。

エピソード2を読んでいただきありがとうございます。


HYDRAの戦闘シーンは、映像として頭に浮かんだイメージをできるだけそのまま表現してみました。

これから物語は、母体とHYDRAの秘密に少しずつ近づいていきます。


よろしければ、感想などもいただけると励みになります。

次のエピソードもよろしくお願いします。

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