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くさなぎときつねの思い出ごはん。  作者: ちはやれいめい
ざしきわらしの章《しょう》
26/30

24 思《おも》い出《で》があったばしょ

「ついたぞ、マコト。ここだ」


 神社じんじゃからしばらくあるいたところで、雪路ゆきじがとまった。


「…………ここ? ほんとに? みちまちがえてない?」


 わたしまえにあるのはコインパーキング。


 スマホのマップアプリでたしかめても、コインパーキングのマークがついている。


「わしはまちがえておらん!」

「うーん……」


 ユカリちゃんは、おやどもうないってってたから、かくごはしていたけれど。ほんとうになんにもなくなってる。

 やどがなくなったのはここいち二年にねんのはなしじゃないんだ。


 雪路ゆきじがちょっとねていたら百五十年ひゃくごじゅうねんたっていたっていってたくらいだし、あやかしのいう()()()()は、人間にんげんとちがう。


 やどさのものはなくなってしまったとしても、まわりはそうじゃない。やどのこと、ながくこのあたりにんでるひとならわかるかも。


 雪路ゆきじのリードをすぐちかくのポールにくくりつけて、そばにある、【江戸前えどまえみそ 百六十年ひゃくろくじゅうねんあじ】というのぼりがたっているおみせはいった。



「ごめんください」


 をあけてこえをかけると、おばあちゃんがてきた。


「おやまあ、かわいらしいおきゃくさんだね」

「あの。へんなこときいてごめんなさい。このへんにあった、明治時代めいじじだいからやってた、ふるいおやどのことしりたいんです」


 おばあちゃんはほそめてわらう。


「さかえやさんのことだね。もう十年じゅうねんもまえにやめたよ。やどの主人しゅじんとおかみさんが病気びょうきでたおれて、息子むすこさんたちだれもあとをつぎたくないってってね。てのとおり、駐車場(ちゅうしゃじょう)になっちまってる。さみしいもんさ」

「そうなんだ…………」


 ツクモがみったあとだからかな。

 いらないってわれてつぶされちゃったおやどのはなしはなんだかかなしい。


 うちも食堂しょくどうをやってるから、やどをきりもりするのもすごくたいへんだってわかる。

 息子むすこさんがつげないのも、じじょうがあるとおもう。


「どうしてさかえやさんのことをりたかったんだい?」


「……ええと、しんせきのがむかし、さかえやさんでおみそしるべたらしくて。すごくおいしかったからまたべたいってってるの。やどのことってるひとがいたら、なにかわかるかなとおもって」



「おみそならわかるよ。さかえやさんは、むかしからうちのみそを使つかってくれていたからね。わたしのひいばあさんのときからのいさね」

「ほんと!? じゃあ、そのおみそをください!」


 当時とうじのままのあじをうけついだおみそ。


「おやどでしてたのは、どんなおみそしるだったかわかる?」

「さかえやはむかしから、とうふ料理りょうり人気にんきがあったんだ。しるものにもとうふを使つかっていたよ」

「とうふのみそしるか。ありがとう!」


 お会計かいけいをすませて、リュックにみそのつつみをれる。雪路ゆきじのリードをつかんでいざ家路いえじ


「あ、まちなさいおじょうさん」

「はい?」


 ふりくと、おばあちゃんはった。


「あたしもよくべていたけどね、さかえやのおしるは、とうふをようくつぶしてあったんだ。それがまたおいしかった」

「とうふをつぶすの? おもしろい」


 かためてあるとうふをわざわざくずすなんて、かわったしるだな。


「あんまり役に立てなくてすまないね。その子がよろこぶといいねぇ」

「はい!」


 つくかたのヒケツもきいて、おみそもえた。

 あとはつくるだけだ!

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