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くさなぎときつねの思い出ごはん。  作者: ちはやれいめい
ざしきわらしの章《しょう》
25/30

23 浅草《あさくさ》のつくもがみたち。

 東京とうきょうくにあたって、山田やまだのおばちゃんから使わなくなった犬用いぬようかごをりてきた。


 小町こまちとユカリちゃんにはおるすばんしてもらって、わたし雪路ゆきじはいったかごをかかえて電車でんしゃにのった。


 ったところまではよかったけど、ケージがガタゴトあばれている。


「ぬおー! なんでわしがこんなあつかいをうけねばならんのだ!」

「おとなしくして、雪路ゆきじ電車でんしゃいぬをのせるときはケージってルールでまってんの!」


 雪路ゆきじとケンカしていたら、となりせきのおばあちゃんがはなしかけてきた。


「あらぁ雪路ゆきじちゃんていうの? かわいいワンちゃんねぇ」


 このこえがふつうのひとこえてなくてよかった。



「マコト、やどにくとちゅう、おおきなてら神社じんじゃがたくさんあった。浅草あさくさというところをとおったのだ」

浅草あさくさ学校がっこうのえんそくでしかったことないや」



 地下鉄浅草駅ちかてつあさくさえきでおりると、ひとなみしよせてくる。

 電車でんしゃのなかにもどされそうないきおい。

 うう。江ノえのでんもなかなかこんでるけど、東京とうきょうのラッシュもすごい。


 なんとかえきて、雪路ゆきじした。雪路ゆきじはじっとあたりを見回みまわし、はなをひくひくさせた。


「ふむ……。時代じだいのうつりかわりの、なんとはやいこと。あのころはうまがはこををひいていたが、いまはてつのはこがかってにはしっているのだな」


馬車ばしゃなんて日本にほんにあったの? ファンタジーアニメのなかだけだとおもってた」


「ふぁん? あにめ? というのはなんだ?」


「あー、えと、くうそうののはなしでしかたことないよ」

「そうであろう。馬車ばしゃは、異国いこくからきたものだと草凪くさなぎっていたからな。とうとい身分みぶんのニンゲンしかれぬものだと」

「へー。明治時代めいじじだいってそんなかんじなんだ」


 時代じだいわるものなんだね。いまじゃいっさいみかけない。 


「やどはこのへんなの?」

「ここからもうすこあるく。みちはかわってしまっているが、なんとかなるだろう」


 リードをにぎって雪路ゆきじ案内あんないされるまま、神社じんじゃまえにさしかかった。


 いしづくりのおおきなこまいぬひきが、ちらりとこっちをた。


 まさかね。だっていしだよ?


「おや、ひさしいな雪路ゆきじ。まだ草凪くさなぎとあやかしはらいをしているのかい?」

「こまいぬがしゃべった!?」


 ちかくにいたひとが、いっせいにわたした。

 まずいまずい。


 くちをおさえて、ごまかしわらいする。

 雪路ゆきじがこまいぬにこたえる。


「おぬしたちはあいかわらずここにいるのだな」

「あたりまえさ。ここでひとをみまもるのがわれらの役目やくめ


「…………ねえ、なんでこまいぬがはなせるの? 雪路ゆきじいなの?」


 小声こごえでコッソリきく。


まえにこやつらとあったのは、草凪くさなぎとあのむすめをはらいにきたときだ。こやつらはツクモがみというやつさ。ひと長年大切ながねんたいせつにされたものにはこころがやどる。そういうあやかしだ」

「ツクモがみ……」


 何百年なんびゃくねんもここでひと見守みまもっているうちに、こまいぬたちにこころまれたってこと? すごいな。



草凪くさなぎまえったときよりもちいさくなったな」

「これは草凪くさなぎ当人とうにんではない」

「そうか。草凪くさなぎによくにておるな」


 こまいぬが”ともだちのまごったおじいちゃん”みたいなことをいだした。



「して、どのような用向ようむきかな。ただの散歩さんぽたわけではあるまい」

「あ、ざしきわらしがいた場所ばしょを、さがしてるんです。おものみそしるべたいってうから」


「おかしなことをかんがえるのだな。あやかしのために食事しょくじをつくるなど」

「そうかな?」

「あやかしをはらう人間にんげんはいくらでもいたが、おぬしのような人間にんげんはとてもめずらしい。だから、おもしろい。いつかわれらもそのみそしるとやらをべてみたい」

「いいよー。ここまで出前でまえできるかどうか、とうさんにたのんでみるね」


 こまいぬたちはおおきなこえわらった。 



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