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SFショートショート

アンドロイドの恋人

 喋るのが苦手で、長い間彼女を作ることが出来なかった僕は、こんなことに頼るのは少々気恥ずかしいと思いつつも「恋人屋」へと向かった。

 好みのタイプがいたのでそれを買うと店員に「早くきちんとした恋人を作ることをオススメしますよ」と言われてしまう。所詮は紛い物なのだから、あとから虚しくなってくるだけだと。


 余計なお世話だ、うるさいな。


 家に帰りその「恋人」と話をしてみる。最初はぎこちなかったが、やがて僕の性格を覚えたのか会話がスムーズになっていった。

 話題は豊富で面白く、これなら一晩中でも話をし続けられそうだった。


 次の日も僕は朝から恋人と話をし続けた。昨日に比べて少し元気が無いようだったから充電が少なくなったのかと思ったけど、そうではないらしい。

 女心、というやつだろうか。




 それからさらに三日か四日が経ち、「恋人」は急に動かなくなってしまった。それまでも声がだんだんと小さくなり、反応も鈍くなってた矢先の出来事だった。僕は大慌てで緊急サポートセンターに連絡をする。


 サポートセンターから来た職員は恋人を見てすぐさま原因が分かったのか、困るんですよと僕を(なじ)る。 


「買ったときに聞きませんでしたか? 電気があれば動ける私達アンドロイドと違って人間は水と食料を与えなければすぐに壊れて……死んでしまうんですよ。もう手遅れですかね」


 そんな、と僕は呟き、気になったことを尋ねた。


「そ、それで……修理にはいくらかかるんですか?」

「修理はできません。死にましたから。処理代をいただきます」


 なにをするのか知らないがその「処理代」とやらはえらく高額なものだった。


 それからもう間もなく、僕は自分と同じアンドロイドの恋人を作ることができた。世話に手間もかかるし、本体の値段と「処理代」でべらぼうな値段を取られる人間なんてもう懲り懲りだった。

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