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忘れられない若き日々

作者: 根久 慎太郎

快速急行も止まるある程度大きな駅から徒歩15分した所にあるメゾネットタイプアパートの2階、北側に窓がある和室で窓を全開にしてタバコを吸っている男がいた。

 歳は20で18歳の時からタバコを吸っている。最寄りから5駅した所にある大学に通ってる2年生だ。一緒に住んでいる父親にバレないよう戸を締めてから金ピースを咥えジッポを付ける。スマホをベッドへ放り投げ窓辺の縁に座り夜空を見上げる。別に何かを考えてるわけでもない。じーっと空を見上げているだけ。

 二ヶ月前まで男には彼女がいた。容姿端麗で誰が見ても「可愛い」「美人」と言われるような彼女が。別れは彼女から切り出された。しかし、男には未練が無かった。軽く「分かった」とだけいいあっさりと恋人の関係は終わった。誰しもが落ち込むなよと男に言ったが男はこれっぽっちも落ち込んではいなかったので「落ち込んでねーよ」と皆に言った。

 けれど、実際は違うだろう。彼女と付き合っていた期間の間、男はタバコを一回も口に咥えなかったし愛用していたジャックダニエルのジッポも引き出しの奥にしまっていた。それが、別れた次の日にはタバコを咥えていた。うめぇーと笑顔で言っていたけれども、それは彼の行き場のない悲しみの吐き出し口だったのだろう。

 その半年前にも似たような事があった。男が片思いしていた女の子に彼氏ができた時だ。片思い中、やはり彼はタバコを咥えてすらいなかった。女の子に彼氏ができたのを知ったのはバイトを終えて賄いをバイト友達と食べていた時だ。男の友達がデートに誘えと背中を押し連絡をすると、彼氏ができたから無理と連絡が帰ってきた。

 わいわいとしていた雰囲気が一気に重くなり、男は無言で外へ出た。帰ってくると金ピースを手に持っており、他の喫煙者を誘い外へでた。缶ビールを片手に男は涙を堪えてタバコを吸っていた。2時間しても中に戻ってこないため中のバイトメンバーが外へ様子を見に行くと持っていた金ピースは2箱になっており、すでに30本は吸っているだろう灰皿が見える。結局、始発で帰るまでに男は50本を吸っていた。

 夜空を見上げながらタバコを吸う。半年前のような未練が残るくらいの恋がしたい。大抵、学生の男の恋愛には未練が残る。しかし、50本吸うほどの未練が残る恋はできるのだろうかと実は考えながら夜にこっそりと自分の部屋でタバコを吸っている。

 また咥えるのをやめて、そして50本を吸わないよう続く恋の事を夜空に思い描いているのだろう。

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