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【電書化】元侯爵令嬢の辺境使用人ライフ  作者: ユタニ


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49/52

49.翌朝と上手くいった2人

翌朝。


そう、翌朝である。

シーラは、ぱちりと目を覚ました。


ここ、、、どこ?

目を覚ましてまず、静かに驚くシーラだ。見た事のない広い寝室で、広いベッドにシーラは1人で寝ていた。


窓の外は、昨日よりはマシだが、相変わらずの吹雪で、でも薄ぼんやりと明るいので、朝だという事は分かる。


朝?

身を起こして、シーラは自分がディランのガウンを纏っている事に気付く。


えっ、なにこれ。

そこで、昨夜の事が思い出される。

自室のあまりの寒さに眠れなくて、薪を取りに行き、ディランに遭遇して、何だか部屋にお邪魔した。


蜂蜜酒とチョコレートを貰い、、、、その辺から記憶は曖昧だが、とにかく眠くなったのは覚えている。


、、、、わたし、そのまま、寝たのでは?


さあっと青ざめるシーラだ。


きょろきょろと部屋を見回す。広い寝室にキングサイズのベッド。高そうな絨毯、高そうなチェスト、侯爵家で与えられていたシーラの寝室も中々だったが、こちらの方が広くてどっしりしている。


ここ、絶対にディラン様の私室の寝室だわ。


慌ててベッドをもう一度確認する。どう見てもシーラ1人しかいない。

着衣の乱れもない。何より、眠っているシーラにディランが何かするような事はないと思う。


「心配しなくても、好きな女を傷付けるような事はしないし、嫌われるような事もしない」

ディランの言葉も、ドキドキしながら思い出す。


シーラはそろり、とベッドから降りて、寝室の扉を音を立てないように開けた。

扉の先は予想していた通り、昨夜シーラが過ごした暖炉のある部屋だった。


そして、その部屋のソファで、毛布だけを掛けてディランが眠っていた。


ひゃああ、、、やってしまった。


ディランを見つけたシーラは顔に手を当てて、天を仰ぐ。


酔っぱらって、眠りこけて、ディランのベッドを占領してしまった、、、、。

そして、部屋の主であるディランをソファで寝させてしまった、、、、。

そもそも、男の部屋で、眠りこけるなんて、淑女として最悪だ、、、、。


なんて事かしら。

ああ、いろいろ、なんて事でしょうね。


シーラはそうっとディランに近付いた。

ディランは安らかな寝息を立てて、眠っている。

睫毛がけっこう長くて、綺麗な寝顔だ。

眠っている顔は起きてる時より幼くて無防備に見える。

しばらく、ディランの寝顔を見ていたが、これは、はしたなかったのでは、と思ってさっと目を逸らす。

それからシーラは、纏っているディランのガウンを脱ぐと、毛布の上からディランにそれを掛けてあげた。


このままこの部屋に居座るのは、あんまりだと思うし、何より寝起きでディランと顔を合わせるのは恥ずかしすぎるので自室に戻る事にする。


ディランの机のメモ用紙を取ると、〈ご迷惑をおかけしました。部屋に戻ります〉と書いて、ソファの前のテーブルに置くと、昨夜の薪ひと束を持って音を立てないように部屋を出た。



ディランのガウンが無くなって、かなり寒い。早朝の冷え込む廊下を早足で自室へと戻った。






***


シーラはこそこそと自室へと帰る。

足音を忍ばせて部屋までたどり着き、ほっとしてドアノブに手を掛けた瞬間、隣のナターシャの部屋の扉が、カチャッと開いた。


「っ、、、、!」

シーラは声を押し殺して、さっと屈む。

扉の外で屈んでもすぐに見つかるのだが、反射的に屈んでしまった。


ナターシャさんてば、何で、こんな朝に早起きなのかしら!


シーラは瞬時に、起きたら寒くて薪を取りに行っていた事にしよう、と言い訳も考えるが、ナターシャの部屋からは誰も出て来ない。


あら?


そっとナターシャの部屋の入り口を見る。

部屋から出て来ようとした人物は、半歩踏み出した所で、室内に向き直ったようだ。

少し開いた扉の隙間から、男が女の手を握っているのが見える。


いいや、ハンスがナターシャの手を握っているのが見える。


「!」

尻もちを付きそうになるのを何とか堪えるシーラ。



「今夜、また来ます」

ハンスはナターシャの手を握りながら、小さくそう言った。

静まり返った朝の廊下では、それがシーラにもはっきり聞こえる。



きゃあ!!

ぼっと真っ赤になるシーラだ。


“今夜、またきます”

きゃああああ!!!!


リフレイン付きで、ハンスの声が頭の中で響く。

しかも小声のやつ。


“今夜、、”

きゃああああああ!!!


1人でドッキドッキしていると、ナターシャと目が合った。


ぎゃっ!


「、、、シーラさん」

ナターシャが、驚いた顔でそう言って、ハンスもシーラに気付く。

「、、あ」


「「「、、、、、」」」

気まずい沈黙だ。


シーラは今、ディランに告白された時に執務室に入って来てしまったジェラートの気持ちが分かった気がした。

これは、、、、結構、きついわね。


「お気に、、なさらないで」

シーラは何とかそう言うと、薪を小脇に抱えて優雅に立ち上がり、「お邪魔しました」と簡単にお辞儀をして、部屋へと戻った。





ぱたん、、と扉を閉める。


そして薪を置いて、ベッドに倒れ込むシーラ。


きゃあっ。

ぱたぱたとベッドを叩く。


「今夜、また来ます」

再び響くハンスの言葉。


きゃあっ。

また来るのね!今夜!

ベッドを叩く手に力が籠る。


やだわ、上手くいったんだわ。あの2人。

ぽふぽふと、ベッドを蹴る。


上手くいったんだわ!

シーラは1人、ベッドの上で喜びにジタバタした。





お読みいただきありがとうございます!

上手くいったの、そっちかよ!というお叱り、甘んじて受けます。すみません。


今晩か、明日には完結予定です。よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ハンスとナターシャさんうまく行って良かった!
[良い点] 分かるよ、シーラ。 一緒にバタボフして声にならない叫びをキャーキャーあげたい。
[一言] やった!! よかったねハンス!! 実はこちらの方もとても気になってました!! なんとなくナターシャが影のある年上の人…みたいな雰囲気で想像していたので年下わんこにほだされるとかいいな…と勝手…
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