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魔本回収助手 ケンスケ 前編

遺跡騒動の翌日、俺とフルッカさんはブラウンモルト村の北にある野営地メリカで3係の若手の風使い、ディン・ブルーリーフと合流し、竜骨(りゅうこつ)の洞窟へとフルッカさんが操る飛行絨毯で移動を始めた。

フルッカさんはアマネさん程上手く操縦でこないので低速低空飛行だ。

例によって3人とも日傘を差している。

途中、2係の案内人がいるはずだった。


「今回、フルッカさんが魔本を使ったら俺がアレするっ! いいなっ。俺の方が先輩だからなっ?!」


「別に、いいけど」


人間を大きな枠で分類するとしたらこの青髪ボーイもロドリーと同じ種類だな。ロドリーの方が簡単そうだが。


「こ、今回は新しい魔本の回収だけでっ、特に使う予定は無い、っというかなるべく使わずに剣士としてクエストを完遂するようにゼンミン係長に言われてきたので!」


「そうですか・・まぁとにかく、カリントさん達が現地で待ってるから急ぎましょう。あの人、気まぐれだから」


ちょい微妙な空気になりつつ、暫く飛ぶと岩場になってきた。と、一際大きな岩の上に、魔除けの香炉を焚いて、1人の男が立ち上がって手を振ってきた。

水辺以外では珍しい魚人(ワーフィッシュ)族だ。種族は(ふな)かな? 絨毯が近付くと首から水の属性も護りを提げているのが見えた。乾いちまうもんな。


「2係付きのサポーターのチュウベエです! こっから先、隠しや迷いの術があちこち掛けられてるので、案内しやすっ! 乗せて下せぇ」


呼び掛けてきた。

俺達はチュウベエを乗せ、その案内で飛行を続けた。


「その竜骨の洞窟に魔本が?」


「へぇ、ワーリザードの連中の中でも異端派のヤツらが根城に持ち込んでいたようですが、扱い切れず、他のワーリザードとの抗争もあって滅びる切っ掛けになったみたいでやすね」


何気に話を振ったのだが思ったよりヤバそうっ。


「フルッカさん、大丈夫?」


「魔本は基本的に呪われているので。黒頭巾さんだけでは厳しいとは思っていたので、ちゃんと回収します!」


「ケンスケ、ちゃんとフルッカさんを守れよ?」


「・・・」


お前もなっ!



そうして竜骨の洞窟の前までたどり着いたのだが、


「っ!」


レッサーレッドドラゴン3体と、護拳等で武装したカリントさんと、マンティコアの背に乗る遊撃班の制服の上からローブ型の防護服を着た少女が交戦していた。


「いっくでぇ~っ、スキル・超爆拳突きっ!!」


神速の加速で間合いを詰めたカリントさんが一撃でレッサーレッドドラゴン1体の腹を背まで打ち抜いたっ!


「マンティコアっ、シェイバータイフーンだよっ!」


少女が巨人の老人の顔、獅子の身体、蝙蝠の羽根、蝎の尾を持つ巨獣モンスター、マンティコアに命じ、風の刃をはらむ竜巻を起こさせてレッサーレッドドラゴン1体を八つ裂きにして倒したっ!

最後のレッサーレッドドラゴンは速過ぎるカリントさんではなく少女とマンティコアに火のブレスを吐いたが、


「スキル・気斬一閃(きざんいっせん)っ!!」


跳び上がったカリントさんが手刀で放った魔力の刃で炎を斬り払い、そのままレッサーレッドドラゴンの頭部を切断して倒したっ!! 強っ。


「ふぅ~っ、ちょっと手間取ったわ~」


カリントさんが着地すると少女もマンティコアを着地させ「ありがとね」と召喚を解いて魔方陣の中に消した。


「自分ら早かったやん? ケンスケ君、この子はヤッポ。2係の召喚師兼魔術師やでっ?」


ヤッポというらしい少女はペコっと頭を下げてきた。大人の俺も挨拶せねばっ。


「ケンスケ・ナツキです。守護兵ですっ! 元料理人ですっ!」


ヤッポちゃんは暫く俺の目を見た後、カリントさんの後ろに隠れてしまった。


「あれ?」


「ヤッポはシャイやねん、堪忍したって。それよりコレ」


カリントさんは紐で綴じた紙をウワバミのポーチから取り出して俺に投げ渡した。


「マップや。ヤッポが使い魔で竜骨の洞窟調べてくれたんや。気ぃつけてな」


言うなりカリントさんは自分の飛行絨毯を拡げ、飛び乗った。ヤッポちゃんも続いた。


「あざッス!」


「ありがとうございました」


「すぐ狩りですか?」


「ディン、今回の案内はついでやん? こっちの本命が近くにおるねん。チュウベエもありがとな、フルッカも魔本上手く使いや~」


カリントさんとヤッポちゃんは飛び去っていった。2係は日傘差さないみたいだ。


「じゃ、あっしも。お気を付けて下さいましね?」


チュウベエも1人乗りの飛行する籠をポーチから取り出して飛び去っていった。


「・・じゃ、俺らも行こっか?」


「はい」


「ケンスケが仕切るなよ」


「・・・」


めんどくさっ。



照明魔法をいくつか点けて中に入ったのだが、まぁ酷いもんだったっ!

リザードスケルトンとリザードゴーストの大群に次ぐ大群っ!

1体1体は普通のスケルトンやゴーストよりやや強い、くらいなんだが物量っ!

今回も事前にプロテクトとブレッシングの魔法を全員に掛けたが、俺と魔本を使わないとレベル10の軽量級の剣士のフルッカさん、そしてミスリルの薙刀に風を纏わせて器用に小規模範囲攻撃を駆使して戦うがやはり軽量級のディンの3人は、とにかく数をこなしてゆくのに苦労した。

目的の魔本の封じられた部屋の前までくる頃には俺達はかなりボロボロで、回復アイテムの残数もギリギリだった。

部屋には魔本に毒された番人がいるはずだ。


「番人といってもアンデッドだろ? 聖水被ってこう」


「初手で室内で使える一番火力の出る技を打つ!」


「倒しきれないと判断したらすぐ黒頭巾さんの準備に入りますっ」


ここまで来るとディンもむやみに突っ掛かってこなくなっていた。ま、ロドリーと同じカテゴリーだしな。

俺達は聖水を被り、室内に突入して。


「ギギギギッッッッ!!!!」


異常に長い髪を持つ、リザードスケルトンソーサラーがいたっ! 髪が川のようにうねって掴み掛かってくる!


「スキル・弧月旋風(こげつせんぷう)っ!」


三日月型の風の刃を薙刀で放つディン! 超ロン毛スケルトンの髪をズタズタに切り裂いたっ!


「スキル・銅鑼撃ちっ!」


盾に魔力を込めて突進する!


「・・ダースシュート」


負の魔力弾を俺に連発してくる超ロン毛スケルトン! 俺は盾で耐えて突進を止めないっ。


「んっがぁっ!」


ついに盾を砕かれて仰け反らされたが、俺の背後に控えて突進していたフルッカさんが飛び出した。


「スキル・ブロッサムフルーレっ!」


レイピアで連続突き技を炸裂させるフルッカさん! 相手は怯み、杖を砕けたが、これまでの連戦もあってレイピアが砕けるっ。ここで俺とディンが追い打ちを掛けた!


「スキル・岩断ちっ!」


「スキル・霞割(かすみわ)りっ!」


俺とディンは斬り下ろし技で長髪のリザードスケルトンソーサラーを十字に斬り伏せ、トドメを刺した。


「やりましたね」


「はぁはぁ、なんとかなったなっ」


「・・ケンスケ、突進の判断は的確だった」


「おう・・」


微妙に気恥ずい感じになりながら、部屋の奥の台座に納められた魔本に俺達3人は向かった。


「・・これは、髪長過(かみながす)ぎ姫、の魔本!」


「使えそうかい?」


「試すのは帰って回復してからでもいいですよ?」


「いえ、目次の顕現(けんげん)だけなら・・」


フルッカさん魔本に集中し、半球状の魔法陣を展開させた! カバーからページが離れ、半球内で乱舞する中、フルッカさんの装備の輪郭がボヤけだすっ!


「魔本、髪長過ぎ姫、・・目次っ!!」


灰色のドレスを纏い、川のようにうねる圧倒的な長さの髪が周囲に展開されたっ!


「・・応用は利きそうですね」


自分の延び放題の髪を手に興味深そうに呟くフルッカさん。


「目次だと人格までは変わらないんだ」


「ドレス、髪もっ、似合ってますっ!」


「ふふふ」


フルッカさんがディンにはにかんでみせ、魔本回収のクエストは完了したのだった。

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