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【旧版】Crystal Asiro【クリスタルアシロ】  作者: wiz
第5章 ルーグの昔話
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ルーグ、変化する

 ある日の昼下がり。


 その日、自室でクリスタルとルーグは『世界管理・監視』を行っていた。

クリスタルが出す『監視ディスプレイ』をルーグも一緒に見ながら、作業を行っていた。


「ルーグ、ここの世界の時間巻き戻せ。少々手直しする。」

「了解。」


 ルーグは触れた『監視ディスプレイ』の世界を、ある程度『巻き戻す』。

監視している世界は忽ち時間が巻き戻り、クリスタルの指示通りの時間まで遡行する。

そしてクリスタルが『空間干渉』をして、世界の流れを良いものへとする。


 何気ない、『いつも通りの世界管理』。



 だが、この日はイレギュラーが入った。


「師匠ーッ!!!!」

「!!?」

「うるさっ!!」


 ルーグが『時間干渉』の作業中、誰かの大声が室内に響き渡った。

思わず手元が狂ったルーグは、触れていた『監視ディスプレイ』から手を離してしまう。

 『時間干渉』の力を使ったままの状態で。


 それに構わず、クリスタルは窓から乱入してきた声の主に怒鳴る。


「うるせぇ!! 今作業中だ!! あとドアからちゃんと入れ!!」


 それに対して声の主である『悪魔』がベランダのドアから入って答える。


「すみません、師匠・・・・。」



 入って来た『悪魔』は、6本の角に大きな翼と紫の大きな尖った尻尾を持っている。

髪の毛は白髪だが、毛先は黄緑色。藍色のノースリーブの全身服から、その褐色の肌が見えている。

肘から手先と足首から下は、紫の細かな羽根が生えており爪は鋭い。

翼は身を隠せるほど大きく、白い羽が生えている。

声はテノール程の高さの男性寄りの中世的な声をしている。



 『悪魔』は、人間より一回り大きい体格をしょんぼりさせ、室内に入ってクリスタルに頭を下げる。

クリスタルは『監視ディスプレイ』を下げて、あからさまに不機嫌に苦情を言う。


「毎度『俺を見る度に大声で呼ぶな』って言ってるよなぁ、ヴィフ? うるさいし、周りに迷惑だし。それに今回みたいに作業中だった場合、何かあったらどうする気だ?」

「も、申し訳ないです・・・・。」


 叱られてさらにしょんぼりとする『ヴィフ』と呼ばれた悪魔。彼はそれとなく自然にクリスタルの目に前で正座している。


「さっきだってルーグに『時間干渉』してもらっていたんだぞ? なぁ、ルーグ? ・・・・ルーグ?」


 クリスタルは反応のないルーグを見やる。

そして、ルーグの変化に気づいた。



 斜め後ろにいたルーグの様子が、変わっていた。

少々長めの髪は、後ろ髪だけまとめる程長くなっている。衣服も側近の服ではなく、平民が着る服よりデザインが古く、所々解れている。

そして、挙動不審に辺りを見回している。



 ルーグの様子がおかしい。



 それに気が付いたクリスタルは、慌ててルーグの両肩を掴み、軽く揺さぶりながら声をかける。


「ルーグ!? 俺が誰だか分かるか!!? おいっ!!!」


 そんなクリスタルを見て、揺さぶられているルーグは慌ててこう言い放った。



「ちょっと!!?? アンタ誰!!??」

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