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【旧版】Crystal Asiro【クリスタルアシロ】  作者: wiz
SS 『とある世界』での旅 その2
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迷子の帰還

襲い掛かって来た『バーニングドラゴン』を元の世界に帰すことに。

クリスタルは『バーニングドラゴンの元の世界は何処か』探し始めている・・・。

 『バーニングドラゴン』が居た元の世界を『空間管理』で調べるクリスタル。

本人から元の世界の話を聞くために、甲板に出たまま情報を元に調べを始めている。

『バーニングドラゴン』は戦艦と並列して飛び、自身の世界の情報を話す。


「本来火山地帯にいる『バーニングドラゴン』が、ただの乾燥地帯に居たんだな・・・・。これは手かがりになるかもな。食事は何を食べていた?」

〈『ボエダ』を狩って食べていたな。〉

「『ボエダ』? 見た目はどんな生き物だ?」

〈足が6本あって、角が生えている。こげ茶色の硬い毛皮をしている。〉

「わかった。調べてみよう。少し待て。」


 外で調べ物をしていると、クリスタルにガスマスクが差し出された。

差出人はルーグだ。

彼もガスマスクをつけている。


「艦長から差し入れ。『ドラゴンを止めてくれたお礼』だそうだ。」

「そうか、そりゃどうも。」


 ルーグは並走している『バーニングドラゴン』を一瞥し、クリスタルに問う。


「何でコイツまだいるんだ? 何か事情でも?」

「『依頼』だ。コイツを元の世界へ帰す。迷子でこの世界へ来ちまったから、帰せばこの戦艦にもう問題は起きないだろう。」


 クリスタルから事情を聴き、ルーグは何度か納得するかの様に頷く。


「そういう事か。艦長、というより艦内が『何事か』ってざわついていてな。俺は事情を話して鎮静化をするから、そっちはそっちで調べものを頼む。」

「任せたぞ。」


 そのままクリスタルは調べ物を進め、ルーグは艦内に戻る。

_________


 調べ物を始め、1時間ほど経った頃。

とうとう成果が出始めた。


「・・・・これか? N200040-AK47惑星。乾燥地帯で『ボエダ』らしきモノも多く生息してる。『バーニングドラゴン』も数多く存在しているな。」

〈本当か!? 違っていてもいいから、連れて行ってくれないか!?〉


 『バーニングドラゴン』の表情が明るくなり、喜びが隠しきれていない。

尻尾をブンブンと振り回している。

クリスタルが「尻尾は振り回すな」と釘を刺す。


「世界が違っていても環境は近いから、その近辺の惑星の可能性もある。希望はあるだろうな。」


 そんな話をしていると、ルーグがやって来る。

手には自分たちの荷物。


「調べはついたか? 一応、何時でも出立できるように荷物だけ持って来た。艦内の鎮静化は出来ている。」

「ナイスタイミング! 丁度それらしき場所見つけたわ。」

「それは上々。ガスマスク返してくるか。」


 クリスタルからガスマスクを預かり、ルーグは一度艦内に戻り、また甲板に出てくる。

少しガスにむせているようだ。


「それじゃあ、今からでも向かうか。 バーニングドラゴン、お前の背中に乗せて貰うぞ。」

〈それは構わない。帰られるなら、協力しなければ。〉

「いい心がけだ。あ、興奮して炎は出すなよ? 俺フリーズドラゴンだから。」

〈・・・・善処はしよう。〉


 クリスタルとルーグが『バーニングドラゴン』に飛び乗る。

案の定、ただ鱗と接しているだけで熱く、クリスタルは胸元を開けて熱を逃がそうとしている。


「熱い。体温下げろ。」

「無茶言うな! ドラゴン、コイツが我儘言って悪いな。」

〈体温を下げるのは無理だが、『フリーズドラゴン』という種的にこの体温は厳しいのだろうな。早く出立をしよう。〉


 汗だくになっているクリスタルが、遠隔で大きな『空間の切れ込み』を入れる。

不思議な現象に『バーニングドラゴン』は目を丸くしている。


「迷子のドラゴンさんよ、アレの中に突っ込め。レッツゴー!」

〈何アレ・・・・。〉

「まぁ『空間移動魔法』みたいなものだ。」

〈それにしては奇怪な・・・・。だが、アレに入れば帰られるのだろう?〉

「そうそう。いいから行った行った!」

〈・・・・乱暴な。〉


 一呼吸し覚悟を決めた『バーニングドラゴン』は、『空間の切れ込み』に突入する。

そして二人と『バーニングドラゴン』が、このガスの惑星から旅立って行った。

_________


〈本当にありがとうございました! うちの子を帰してくれて、感謝の言葉もありません!〉

「いえ、そういう『依頼』だったので。」

「テンション上がって服燃やされたがな。」


 クリスタルとルーグは、何度も頭を下げる『バーニングドラゴンの親』にそう言う。

ルーグは『ドラゴンの言語翻訳』の魔法で何とか会話をしている。


 移動先の惑星は、『バーニングドラゴン』の故郷の惑星で間違いなかった。

久しぶりの故郷を見た『バーニングドラゴン』が興奮したのは言うまでもないだろう。

そのせいで体温が上がり、周囲の熱が上がり、二人の服が多少焦げたのだが。


「そうそう、『対価』を貰わないとな。今回は『依頼』だったからな。」

〈そうですね・・・・、何かご希望はありますでしょうか?〉


 『バーニングドラゴンの親』は首を傾げてそう質問する。

クリスタルは「そうだな、」と少し悩み、答える。


「では『自然に抜けた鱗』を幾つか貰おう。今生えている鱗では『対価が大きすぎる』からな。生え変わりで抜けた鱗をくれ。」

〈私ので良ければ、5枚ほどございます。小さ目な鱗ですが・・・・。〉

「じゃあそれをくれ。あまり大きい物だと運ぶのが大変だから、小さいので助かる。」

〈ありがとうございます。ではこちらを。〉


 人間大の大きさの、赤が美しい鱗を5つ二人は受け取る。

『受け取る』と言うより『目の前に置いてもらった』が正しいが。


「サンキュー。『対価』は確かに貰ったぞ。」

「もう迷子にならないようにな。」

〈気を付けます。今回は本当にありがとうございました!〉

〈私からもお礼を。ありがとうございました・・・!〉


 二人は自宅へ戻っていく親子を見送る。

そして目の前に置かれた、人間サイズの5枚の鱗を見る。

鱗だけとはいえ、相当の熱を放っており、こちらにも熱が伝わってくる。


「クリスタル、これ城に帰って保管しないか? 旅しつつコレ持っていくのは無理だろう。」

「そうだな。それに結構旅に疲れたし、帰るか。」


 クリスタルは再び『空間の切れ込み』を入れ、二人で空間の先の倉庫へと運び入れる。

そしてそのまま、二人は城へ戻る事にした。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

今回のお話はいかがでしたでしょうか?


今回は迷子のバーニングドラゴンを送還するだけのお話でした。

ドラゴンが無事に帰る事が出来て何よりです。


次回からはまた本編が進みます。

国へ帰った後の二人の様子をお届けします。


また厚かましいですが、創作の励みになりますので、良ければブックマーク・評価をお願い致します。

感想・レビューもお待ちしております!


改めて、読んで頂きありがとうございました!

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