不老不死の集団
四人が所属している集団に、入団希望がいると話があった。
「不老不死の集団」とは、どんな集団なのだろうか?
「『入団希望者』がいる?」
「みたいだよ。僕もこの前他の仲間から聞いたばかりなのだけども。」
様々な品種の植物を植えている城の庭園。
花が咲き乱れ、蜜を求めてやって来た虫達が飛んでいる。
そんな庭園で四人がアフタヌーンティーを楽しんでいると、ライトが冒頭の話題を出した。
『四人が入っている活動団体に、入団希望者がいる』と。
「どうせ『不老不死になれる』って話に釣られた奴だろソレ。簡単にあんな魔法使うかよ。」
クリスタルが背もたれに寄りかかり、腕をだらりと下に垂らす。
ルーグはハーブティーのおかわりを注ぎつつ、クリスタルの言葉に続く。
今日のハーブティーは酸味の香りがする。
「それに、絶対に希望理由は『皆を助けたいから』だろうさ。皆決まってそう言ってくるだろ。」
「そうそう、そんな事言ってたみたいだよ。」
「誰にとっての『皆』なのかシラね? 考えがまルでないわ。」
レフトも肘をついて物申す。
誰も入団希望者に対して本気で考えていない。
それには理由がある。
「俺達でも『全ての生き物を助けられない』。世界の管理の都合上『勧善懲悪ではないから』な。世界が長く生きる為に、必ず誰かが犠牲になる。その入団希望者はその意味が分かってないんだろ。」
「『助けられる者』の中には、必ず『助ける事の出来ない者』がいる。そこまで目を向けれたら、後は『依頼者の願いを叶えられるか』実力を見てやるんだがな・・・。」
クリスタルとルーグのぼやきに、ライトが眉を下げて苦笑いを浮かべる。
「最初からそこまで目を向けられるなら、入団希望者はもっといると思うよ? それに、『不老不死になる事での苦しみ』が分からない場合が多いよ。それもどうかと僕は思うかな。」
「不老不死になル事は、家族を始め、親シくシた者すべての『死を見届ける』事になル。後追いも出来ず、ただ『在り続ける』事がどレだけ大変か、わかってないわよね。」
レフトもマカロンをつまみつつ、そう話す。
度が過ぎないふわりとした甘さが口に広がる。
彼らが『不老不死の集団』、通称『何でも屋』の入団希望者を本気にしない理由は様々ある。
不老不死の者以外の死を見届けなければならない。
それによる苦しみを味わい続けなければならない。
不老不死の集団の活動基準は『世界の存続』。
その次に『依頼をしてくる者の願いを極力叶える』事。
そして『世界の存続』『依頼者の願いを叶える事』において、『必ずしも勧善懲悪ではない』事。
これらが耐えられる者でなければ、入団は出来ない。
「果たして新人は現れるんだか・・・。極力増やしたくないが。」
「そういう事をするのは俺達みたいな連中でいいからな。」
「人材の管理面倒だシね。」
「そもそも苦痛を伴う事を、多くの人に巻き込みたくないよね・・・。」
少なくともこの場にいる四人は、入団に関しては消極的である。
「それに、『不老不死の魔法』にも、欠点がある。」
そう言うのは、不老不死の魔法を開発し、集団を作り上げたクリスタル。
「死ぬことはないが、手順を踏まれれば『存在がなかった事になる』。それは避けないとまずい。」
「世界のためにした良い事、誰かを助けた事、全部『その人がいなかった場合の世界』になっちゃうものね。記憶からも消えちゃう。」
「そのパラレルワールドが正史になるからな。そんな事態は避けたい。避けるべきだ。」
『不老不死の魔法』の最大の欠点をわかっていない者が入団希望者に多く、困っているのも現状である。
四人は「どうやって入団希望するものにあらかじめ欠点をわかってもらうか」、その相談を始める。
相談は庭園のランプが点灯するまで続き、そして結局対策案は決定出来ずに終わったのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
今回のお話はいかがでしたでしょうか?
今回は「不老不死」についてのピックアップ回でした。
皆様は、不老不死になりたいでしょうか?
次回はライトとレフトが帰ってからの、クリスタルとルーグのお話です。
厚かましいですが、創作の励みになりますので、良ければ評価をお願い致します。
改めて、読んで頂きありがとうございました!