ギャンブルで狂う
クリスタルとルーグと契約したギャンブラー。
それから数100年後・・・。
あれから数100年。
ギャンブラーは彷徨っていた。
路地裏を、当てもなく。
身なりは非常に良く、その手にはこの辺りで一番の酒が入っていた酒瓶が。
ただ、その表情は苦悶を浮かべている。
この世界で、一番何不自由のないはずの男が、彷徨っていた。
「あぁ・・・・。今日『も』ギャンブルしねぇとダメか・・・・。」
ギャンブラーはもう、この世界の義務であり、人生の大きな楽しみであったギャンブルに絶望を感じていた。
何故なら。
「俺は、いつまで『生きればいい』・・・・?」
この世界の通貨は、掛け金でもある『寿命』。
ギャンブラーは数100年前に交わした謎の契約をしてから、一度たりとも『負けたことがなくなった』。
つまり、『契約後数100年と生き続けている』。
老いる事もなく、そして満たされる事なく。
ずっと、勝ち続けてから満たされぬ飢えを抱えて生きている。
「誰か、俺を、満たしてくれ・・・・! 死なせてくれ・・・・!!」
酒瓶が手から投げ出される。
その酒瓶は、運よくゴミ箱へ吸い込まれるように入っていく。
「誰か、助けてくれ・・・・!!」
何時か自身が言った、その言葉が木霊する。
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「ところでクリスタル、この世界の仕組み上、あの男は『不老長寿になっちまう』が良かったのか?」
「別に。普通の人間なら、あの契約で精神が先に死ぬ。それでも世界は変わらないから、俺達の都合的にも問題ない。」
ギャンブラーと契約を交わしてまだ間もなかった頃。
二人はスロットで遊んでいた。
クリスタルは相変わらずの強運があるものの、スロットで『わざとたまに負けている』。
イカサマの技術を駆使して、目立たないようにしているようだ。
「俺達は『世界の存続を優先する』。そこに知的生命体がいてもいなくても構わない。人間一人が身の丈に合ってない契約をしたんだ。だから何だ?」
「・・・・お前。俺より非情なところあるよな。」
「そうか?」
「そうそう。俺は必要に応じてちょっと情報吐かせるだけだから。・・・・お、小当たりした。」
ジャラりとコインがスロットから出てくる。
それは『寿命という金』になる。
二人にとっては『必要のない金である』ものの、貰えるものは多少貰っていく。
「さて、そろそろ勝ち続けてるのも飽きてきたな。他の所にでも行くか。」
「賛成。クリスタル、行くぞ。」
「ならもう行こう。寿命は要らん。」
二人はコインをそのままに、次元の切れ込みに消えていった。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
今回のお話はいかがでしたでしょうか?
今回は欲が満たされぬまま生きる苦しみを少しばかり書いてみました。
皆様、満たされぬまま長く生きるのには賛成でしょうか?
次回はまた別の世界のお話です。
どうやら常夜の世界の様子。
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改めて、読んで頂きありがとうございました!