表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【旧版】Crystal Asiro【クリスタルアシロ】  作者: wiz
SS 『とある世界』での旅 その2
42/58

満たされぬ者

路地裏から現れた老人は、クリスタルとルーグと契約する。

その願いは高い掛け金が必要だったようだ。

「『契約書』、確かにサインを貰ったぞ。」

「本当に、これで俺は生活できるのか・・・?」

「あぁ、俺達に二言はない。明日にでもギャンブルが上手くなってるだろうさ。」

「た、助かる・・・・。」


 契約書の写しを握りしめ、老人は礼を言った。

ルーグが問う。


「お前、さっき『凄腕だった』とか言ってたよな? 何故落ちぶれたんだ?」

「俺があんまり勝つから、行きつけのディーラーが俺が来る度他の奴と交代しやがったんだ。交代したディーラーは、俺よりも凄腕だった。俺は技術で負けちまって、こんな有様よ・・・・。」

「大人しくスロットでもやっていれば良かったんじゃないか?」

「生憎、俺はスロットに嫌われちまってる。負け続けた俺に、さらに追い打ちをかけやがった。」


 老人はヨロヨロと立ち上がり、路地裏に向かう。


「だが、これで俺は助かるんだろ? 明日早速ギャンブルしてみるさ。ありがとよ。」


 そう言い、おそらく今の住処であろう路地裏へ戻っていく。

残されたクリスタルとルーグは、ホテルを取り割り当てられたスイートルームでくつろぐ。



「さて、どうやって『ギャンブル運』を上げてやる?」

「ふむ・・・・。」


 そもそも『運を上げる』事を、持続魔法でどう行うか。

そしてそれに合う対価を考えなければならない。


「単純に『運を上げる事』が目的だろ? なら対価は___」


 ルーグの提案をクリスタルは聞く。

確かにそれなら納得のいく『対価』である。


「いいだろう。それで魔法の持続を行っていこう。さて、準備に取り掛かろう。」


 二人は魔法式を考える。

その『対価』を糧として、持続的に発動する魔法を。

__________


「うはははは! また全勝ちだ!!」


 不思議な男女に『契約書』という物を書かされてから、ギャンブラーは再び返り咲いた。

今では生活に何不自由ないし、老人だった外見も若かりし頃まで戻り、生きながらえている。

周りも人が集まり、自分を讃えてくる。


「本日もスロットに花札に、果ては麻雀で一人勝ち! 流石はギャンブラー様!! 腕は健在でしたな!」

「まぁ、今まで手を抜いていただけだったからな! 本気を出せば、ざっとこんなものよ!」

「手を抜かれていたとは! これはたまげましたな!!」


 煽てられて気分は良い。

最高の女も、最上級の酒も堪能できる。

しかし、何処か可笑しい。


「うん・・・・? 支配人、もっと旨い酒とつまみはないのか?」

「申し訳ございません。貴方様にお出ししたものが我が店の最上級の品物でございます。」

「・・・・まぁ、いい。次は別のも用意しておいてくれ。」



 最近、いつも『満たされない』のだ。

以前は幾らでも食べたかったつまみも、今は味気ない。

幾らでも飲めた酒も、今は物足りなく感じる。

女も同様だ。

何をしても、『欲が満たされない』。


「・・・・まぁ、あの契約以来良い思いばかりしてきたしな。たまには別のギャンブルでもして、負けてみるか!」


苦手なスロットに挑戦するギャンブラー。

以前の彼を知っている者達は、内心負けを見たがっている。

しかし、結果は。


「ナインセブンを、4連続も!!?」

「今までここまでの快挙は、誰も成し遂げていないのに!」

「アイツ、何者だ・・・・!?」


 周りが動揺しざわつく。

しかし一番動揺していたのは、ナインセブンを出したギャンブラー本人である。

ギャンブラーは、スロットから滝の様に湧き出てくるコインを、呆然と見ていた。

スロットのレバーを握っている手が震えて止まらない。


「どういう事だ・・・・!? 何故、ここまでの事が連続で・・・・!!?」


 ここまでの強運は、もはや恐怖でしかない。

支配人にコインを『寿命という金』に変えて、慌ててギャンブラーは店を出る。


「あの変な男女に、こんな契約を解除してもらわんと、何が『対価』か分かったモンじゃない・・・・!!」


 しかし、あの路地裏付近に戻ってもあの二人組はいない。

話を聞くと、当てもなく何処かのギャンブル場に出入りをしているそうだが、明確な情報は得られなかった。


「蒼髪の女と黄緑の髪の男がいたら、捕まえておいてくれ! 礼はする!」


 そうあちこちの支配人に言いふらし、頼んだ。

それでも2人組は捕まらない。


次第に、ギャンブラーは限界を迎えた。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

今回のお話はいかがでしたでしょうか?


今回は契約をしたギャンブラーの様子が見れたお話でした。

なにやら満たされる事のない彼。

どうするのでしょうか・・・?


次回は限界を迎えたギャンブラーのその後です。



また厚かましいですが、創作の励みになりますので、良ければブックマーク・評価をお願い致します。

感想・レビューもお待ちしております!


改めて、読んで頂きありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ