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【旧版】Crystal Asiro【クリスタルアシロ】  作者: wiz
SS 『とある世界』での旅 その2
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ギャンブルが全て

『神の世界』を視察した後、クリスタルの『悪癖』により二人は旅に出かける。

たどり着いた先は、『ギャンブルが義務』の世界であった。

 クリスタルとルーグは『神の世界』を離れ、旅衣装に着替えて旅をする。

理由は当然、クリスタルの『悪癖』である。


「あれだけの物を見たら、旅したい!」


 そう駄々をこねられ、部下であるルーグは何もできず従うしかない。

ルーグはライトに、『クリスタルと旅をする』旨を国へ伝達するよう頼みを入れ、そのまま旅をする事になった。

 ライトもレフトも「いつも通りだね」と二人を慣れた様子で見送る。

ドレスなどの荷物も、ライトが国へ送ってくれるだけ有難いものだが。


 そしていつも通り、クリスタルが作る『次元の切れ込み』に入り、旅が始まる。

__________


 クリスタルとルーグが最初にたどり着いた先では、あちらこちらで客引きの声が聞こえてくる。

その内容は、他の世界と比べて変わったものである。


「今日のディーラーはサービス精神旺盛だ! 一日一回のギャンブルにどうだ!」

「時代はスロット! 今日は大盤振る舞いさ! 持って行け泥棒!!」

「古き良きギャンブル、丁半はいかがでしょう?」


 客引きの内容、その全てが『ギャンブル』にまつわるものである。

普通の飲食品などの店もあるが、値段表記は『寿命:3分』といった表記である。

「ちょっといいか」とクリスタルがポーカーの客引きに声をかける。


「おい、ここは『ギャンブル』流行ってんのか? 俺達、さっき旅で来たばっかだから、よく分からん。」

「おいおい、それは最高に良い場所に来たじゃねぇか!」


 客引きは演技でもするかの様な口調で話し始める。


「ここは地位・名誉・金なんかが『ギャンブルで手に入る世界』だ! ギャンブルは義務であり、生活だ! 人生の全てなのさ! 何だって手に入る!」

「『ギャンブルが義務の世界』か・・・・。それはそれで面白いな。」


 ルーグの言葉に客引きは「でしょう!」と言い、二人を店内に誘う。


「さて、この世界に来たからにはギャンブルしないとダメだぜ? お二人さん、まずはポーカーでもどうだ?」

「その前に質問。値段表記が『寿命』って書いているのは何だ?」

「『寿命』はこの国では『金』と同じ意味なのさ。だから皆文字通り『命』をかけてギャンブルするのさ。で、やっていくかい? ポーカーをよ!」


 客引きは自身の店にクリスタルとルーグを誘う。


「久しぶりにやってみるか。ルーグ、お前はどうする?」

「俺もちょっとはやるか。クリスタル程ではないが、まあまあ強いし。」

「お、これは期待出来るな! さぁ、運試ししていきな!」


 二人は誘われるがまま、店内に入っていく。

__________


「いやぁ、流石『ギャンブルが全て』なだけあるな! 当分資金には困らんな!」

「お前のギャンブル運、本当に凄まじいからな。何回ロイヤルストレートフラッシュ出せばいいんだよ・・・・。店員の眼が死んでたぞ。」

「そういうお前も、ストレートフラッシュくらいは何度も出してただろ?」

「まぁ、そうだが・・・・。」


 二人は店の帰り、ホテルを探しに道を歩く。

その路地裏から、何者かの声がする。


「助けてくれ・・・・、誰か・・・・。」


 その声は、非常にかすれている。

ルーグはクリスタルを庇い、路地裏から彼女を遠ざける。

 程なくして声の主が現れる。

みすぼらしい恰好で、ガリガリに痩せている、髪や髭も伸ばしっぱなしの老人である。


「誰か、俺に『ギャンブル運』を、生活を分けてくれ・・・・!」


 そんな老人にクリスタルが問いかける。


「『ギャンブル運』がなく、生活が出来なくなった住民か。ま、哀れだな。そんなに『ギャンブル運』が欲しいのか?」

「生活が出来ないんだぞ・・・・! 俺はもともと凄腕だったのに、こんなになってしまった・・・・。認められるものか・・・・!」


 クリスタルが老人を見下す。

そして挑発するような口調とニヤリ顔で老人に話を続ける。


「ほう・・・・? 『ギャンブル運』がそんなに欲しいのか?」

「当たり前だ・・・・! 貰えるなら、なんだって引き換えてやる・・・・!」

「『なんだって引き換えてやる』、か・・・・。」


 さらにクリスタルは老人に問い詰める。


「本当に『何でもいい』んだな? 『ギャンブル運』のためなら。」

「あぁ、何でもいい・・・・! 頼む・・・・!」


 老人の手に、力が入る。

爪が食い込む、血が垂れる。

それを見たクリスタルはニヤリと笑い、ルーグに命じる。


「ルーグ、契約書を。コイツと取引しようじゃないか。」

ここまで読んで頂きありがとうございます!

今回のお話はいかがでしたでしょうか?


今回は『ギャンブル』で全てが決まる世界です。

契約をする事になった老人の末路は、果たして・・・?


次回は契約後の老人の様子、そして『対価』が分かります。



また厚かましいですが、創作の励みになりますので、良ければブックマーク・評価をお願い致します。

感想・レビューもお待ちしております!


改めて、読んで頂きありがとうございました!

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