邪神の領域『エリトラ』
レフトの領域『エリトラ』に到着し、神殿に入る。
そこでライトが受ける周りからの態度は・・・。
「「「お帰りなさいませ、我らが破壊神様。」」」
レフトが馬車から降りれば、待っていた奉仕種族達が一斉に頭を下げる。
続いてクリスタルとルーグが降りる。
「「「ようこそ、レイレード国王様、ルーグ閣下様。」」」
「ああ、暫く厄介になる。」
「歓迎ありがとうございます。暫くの間、宜しくお願い致します。」
最後にライトが馬車から降りる。
「「ようこそ、創造神様。」」
「ありがとうございます。」
先ほどより、歓迎の声は少ない。
それが奉仕種族達からの、ライトへの不遇である。
それに気づかないレフトではない。
「アンタ達!! ライトにもちゃんと礼を尽くシなサい!! 折角ここまで来てくレたのに!! 消し去ってやルわよ!?」
その殺気の混じった声に、奉仕種族達は体をびくつかせる。
そして頭をしっかり下げて、挨拶をする。
「「「先ほどは申し訳ございませんでした! ようこそ創造神様!」」」
「あ・・・・、うん、あリがとうね。」
遠慮がちにライトは礼を言って、四人で神殿内に入る。
神殿に入って暫く歩いてから、レフトがライトに謝る。
「・・・・ごめんなサい。まだアタシのとこロもあまリ態度が改善シなくて・・・・。」
「いいよ、レフトのせいじゃないもの。僕の所も君に冷遇してしまったしね・・・・。」
「こればかりはお前達だけで解決は出来んだろう。少しずつでも周りの認識を改善していかないと、これらは改善しないだろう。」
「ソうね。アタシももっと頑張ってみルわ!」
「俺達も出来るだけ手伝うから、二人も無理せずにな。」
「フフッ、ありがと皆!」
神殿内部は全て黒の大理石で出来ており、金の装飾がガス灯の明かりに照らされている。
『邪神の神殿』と言う割には、荘厳で煌びやかな雰囲気である。
敷かれているカーペットも、ふかふかとしていて土足で歩くには勿体ないほどである。
その神殿の最奥にある、レフトの部屋の手前の特別待遇部屋にクリスタルとルーグは案内される。
「いつも通リ、二人はここで寝泊まリシてね。ライトはこの部屋の向かいの部屋でいいかシラ?」
その言葉に不満げな声をあげる者がいた。
レフトの彼氏のライトである。
「僕、レフトと寝泊まりしたいなぁ・・・・。ダメかな?」
ライトはレフトの腰に手を回して捕まえると、彼女の顔に自分の顔を寄せて、優しく問う。
それにレフトは耳まで赤くする。
若干涙目にもなっている。
「な・・・・ッ!! ス、好きにシたラァ!!? アタシ知ラない!!!」
ライトの腕を振りほどき、レフトは自室へと走っていく。
そんなレフトを眺めて、ライトはニヤニヤと笑う。
「も~!! 素直じゃないんだからぁ~!! そこが可愛いんだけれどもね!!」
ライトはルンルンとレフトの後を追いかけ、彼女の部屋に入る。
残された二人は、下らない茶番を見た後の様な表情のまま、一先ず部屋で荷ほどきを始めた。
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夕食の時間になり、四人は大食堂で揃って食事を始める。
出てくる料理はどれも肉や魚ばかりであり、少しだけ果物があるだけの食卓である。
「肉が食えるな。だが・・・・。」
「僕の事は気にしなくてもいいよ。果物だけ食べさせてね。」
「ライト、肉類は食べられないからな。俺の分の果物も食べてもいいからな?」
「ごめんなサい。シェフには『ライトはお肉は食べラレないから、気を付けて』と言っておいたのだけレども・・・・。」
申し訳なさそうに頭を下げるレフト。
それに「いいよいいよ!」と明るく声をかけるライト。
「僕が来るのが急すぎたんだよ。仕方ないよ。それに、果物はあるから、レフトは気にしないで。」
「でも・・・・。」
「ま、主催者としては気にせざるを得ないよな。来賓に苦手なモノばかり出しちまうってのは。」
「まあまあ、僕の所でレフトがあんな目に合ってるから、僕としてはこういう事されるのは気にしてないよ。僕はレフトに対してのあの冷遇は嫌だったけれども・・・・。」
皆色んな意見を述べつつ、食べられるモノを食べていく。
ライトは皆から果物を貰って食べ、残る三人は肉や魚を堪能する。
幸い赤ワインはあったため、それらは四人で仲良く飲む事にした。
「ライトの所のワインとは違って、酸味が強くアルコール度数も高いな。」
「お肉に合う様な味にシてルシ、ソもソもワインが高級品なのよ。ブドウがなかなか育たないかラ。」
「そういう事情か。ライトの所と仲良くできればいいんだがな・・・・。」
「そう簡単に上手くいかないだろうけれども、多少なりとも取引したいよね!」
四人の晩餐は、もうしばらく続く。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
今回のお話はいかがでしたでしょうか?
今回はライトが冷遇されるお話でした。
レフトの冷遇とは違い、何とか三人で対応できるものでしたが、気分は良くないものです。
次回はレフトの領域の視察です。
厚かましいですが、創作の励みになりますので、良ければ評価をお願い致します。
改めて、読んで頂きありがとうございました!