表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【旧版】Crystal Asiro【クリスタルアシロ】  作者: wiz
第3章 『神の世界』
33/58

『神』という存在

歓迎会がお開きになった、その日の夜。

四人は集まって飲み直す事にした様子。

『善神』と『邪神』。この区別は何から来たものなのだろうか?

 歓迎会が終わり、四人はライトの自室へ集まる。

夜が更け始め、涼しい風がカーテンを揺らす。

空には星の瞬きのみが見え、窓の外から他の神殿の明かりは見えない。

四人は飲み物やつまみのチーズを取り揃え、今回の出席者のレフトへの冷遇の話を始める。


「あんな露骨な態度はないだろう。何が『善神』だ。」

「公式の場で、意図的に聞こえる様に話していたな。」

「うん・・・・。どうしてなんだろう・・・・。」


 苛立っていたり落ち込んだりの様子の三人に、レフトは気にも留めていない調子で言葉をかける。


「別にアタシは気にシてないかラいいのに、ソんな事考えなくても。実際アタシは必要上、色んなモノを壊シてルもの。」

「それでもレフトが冷遇されているのは僕は嫌だよ! 『善神』も『邪神』も、他者からの認知の差でしかないのに・・・・。」

「・・・・いつも気にシてくレて、あリがとうね。ライト。」


 ライトは眉を下げて寂しげに話す。

そんな様子のライトを見て、レフトも内心感じていた思いを乗せて礼を言う。



 実際、ライトは『善神』達がレフトへ行う冷遇に、相当心を痛めている。

その冷遇を無くすために共に活動し、レフトの良い面を引き出し、皆に見て貰うように努力している。

 『土地を広げるために岩を壊す事』も、『害となる生き物の細胞を壊して死なせる事』も、『戦を終わらせる為にその種族を絶滅させる事』も、レフトは行ってきた。

それが皆が求めていた事だったから。


 それでも皆は『破壊神は完全悪である』と認知している。


 そしてレフトの功績を、ライトの功績と勘違いしている。

『土地を創り』、『害ある生物から守り』、『争いを鎮める』。

ライトはそんな存在であると思われている。

ライトはそれが何より悲しかった。



 二人の様子を横目に、クリスタルが脚と腕を組みつつ吐き捨てる様に話す。


「一口に『戦神』と言っても『戦に勝利をもたらす神』なら『善神』、『争いを巻き起こす神』なら『邪神』となる。そして認知が変わればその分類は逆転する事もある。それ故にこの冷遇は馬鹿馬鹿しい。何時いかなる時も、自身の立場が変わる可能性がある事を分かっていない。」

「自分も邪神になるかもしれないのにな。それなのに『善神の方が優れている』と思い込んでいるし、一方の邪神も同様にそう思っている。厄介極まりないな。」


 この神々による『自分たちの方が優れている』という考えは、昔神々で戦争を起こした原因である。

戦争は終結したものの、実情冷戦状態である。


 ルーグも苛立ちをあまり隠せておらず、ため息をついている。

そしてふと立ったかと思うと、ルーグは『モノを腐らせる善神』から貰ったワインを開ける。

芳醇なブドウとアルコールの香りがする。

それをその場にいる全員のグラスに注ぐ。


「気晴らししようぜ。ほら、レフトも飲めよ。」


 レフトは差し出されたグラスに少し驚く。

このワインは、あくまでも『クリスタルとルーグ宛』のワインだったためだ。


「あラ? 貴方達宛のワインじゃなくて? アタシにも分けていいのかシラ?」

「俺が『友人』を仲間外れするかよ。ほら、いいから受け取れ。」


 そんなルーグの言葉に、少し戸惑うレフト。

暫くして、少し遠慮がちにグラスを受け取る。

そして少しほほ笑んで礼を言う。


「・・・・あリがと。」

「気にするな。お前を『悪い神だと思っていない』メンバーしか、ここには居ないんだから。」

「そういう事だ。遠慮は要らん。いいからワイン飲もうぜ!」

「そうだね! ほら、レフトも飲もうよ! ね?」


 三人の言葉に、レフトは内心下がっていた気分が良くなっていったようだ。

いつものレフトらしく、テンションを上げてグラスを掲げる。


「・・・・じゃあ、皆で一緒に飲むわよ! 頂きまース!」

「頂きます!」

「ん、なかなかに旨いな。」

「ちょっと、クリスタル! フライングするなよ!」

「キャハハハ! お酒は良い物ね!」

「フフッ、そうだね!」


 先ほどの雰囲気は何処へやら、四人はワインを飲み談笑を始める。

今、この場だけは、『創造神』も『破壊神』も、ただただクリスタルとルーグの『仲の良い友人』である。

 それだけでも、ライトもレフトも救われている。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

今回のお話はいかがでしたでしょうか?


今回は『神』という存在をピックアップしたお話でした。

信者に対して良い事を行えば『善神』。

誰かに対して悪い事を行えば『邪神』。

さて、皆さまが信仰される『神様』は、実情はどちらなのでしょうかね?


次回はお話に度々上がっていた『奉仕種族』にまつわるお話です。



厚かましいですが、創作の励みになりますので、良ければ評価をお願い致します。


改めて、読んで頂きありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ