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【旧版】Crystal Asiro【クリスタルアシロ】  作者: wiz
第3章 『神の世界』
31/58

創造神の領域『エアテール』

ライトの治める領域『エアテール』。

そこにやって来たクリスタルとルーグ。

どうやら明日何かがあるようだ。

 クリスタルとルーグがたどり着いた先には、(おごそ)かな雰囲気の明るい神殿。

白を基調とした建物に、空色のカーペットが映える。

装飾も銀製の物が多く、花があちらこちらと飾られている。

 そして神殿の最上段には、銀で出来た玉座に二人の友人が座っている。

二人を見るや、神殿の主であるライトが玉座から離れ駆け寄る。


「二人とも! 僕の神殿にいらっしゃい!」


 そう言いつつ二人に柔らかな笑顔を向けてくる。

それに二人は答える。


「久しぶりでもないけど、お久ー。ライトの神殿来たのは久しぶりだがな。」

「ライト、お疲れ様。暫く世話になるよ。」


 二人も握手をして歓迎に答える。


「まず荷物をどうにかしなくちゃね。皆、二人の荷物持って!」


 ライトが命じると、周りに控えていた人外達が二人から(うやうや)しく荷物を預かる。

クリスタルが多種多様な人外達を見てライトに問う。


「お前の『奉仕種族』、こんな数しかいなかったか?」

「実は去年寿命で多くの『奉仕種族』が亡くなってね。それで今は少ないの。代わりに『今年は沢山生まれる』のだけれどもね。」


 ライトの言葉に、ルーグがさらに問う。


「って事は『誕生祭』が近いのか?」

「そうなの! 『奉仕種族が』増える『誕生祭』、もうすぐなの! 二人ともいい時期に来てくれてよかった!」

「じゃあ久しぶりに『奉仕種族の誕生』が見られるな。それは良い時期だな。」


 ライトが嬉し気に答える。

そんなライトの様子を見て、クリスタルもいつものニヤつく様な笑顔ではない、少しほほ笑んだような顔で感想を述べる。


「さて二人とも、部屋はいつもの部屋でいいかな? ほら、僕の部屋のすぐ近くの大きな部屋。」

「毎回大きな部屋にしてもらって悪いな。でも有難いな。」

「フフッ、だって二人は僕の数少ないお友達だもの! ルーグは唯一の親友だしね!」

「おい、レフトはどうした。お前の親友じゃないのかよ?」

「レフトは僕の半身で彼女だから別枠! レフトはね___」

「あー、一度部屋に行ってもいいか?」


 物凄く良い笑顔で答えるライト。

「このままでは惚気が始まるな」と察したルーグは、一先ず部屋に入れて貰い、荷物を置かせてもらう事にした。

__________


 二人は荷物を置き、部屋を出る。

そのまま奉仕種族の案内でライトの部屋に向かう。

部屋に入れば、質素ながら豪奢な調度品が並ぶ。

その中にある大きなソファにライトが座っている。


「二人とも、こっちおいでよ! まずお茶にしよう!」


 手招きするライトの元に向かい、ソファに座る。

あえてライトの横には座らない。


「改めて、僕の領域の『エアテール』に来てくれてありがとう! 『誕生祭』まで暫くあるから、その間にでもゆっくり『神の世界』を見て回るといいよ!」

「そうだな、ちょっと豪華な旅気分で回らせてもらおうか。」

「新しい神の領域もあるだろうし、色々見て回りたいな。」


 クリスタルとルーグが視察もとい『神の世界』の旅行企画を立て始める。

ライトは紅茶を啜り、思い出しかたのように話す。


「明後日までは此処にいてね? 国の2トップが来てくれたから、歓迎会しなきゃ。」

「そうなのか? お前の面目もあるし、歓迎会があるなら居させてもらうか。」

「済まないな、ライト。お前も忙しいだろうに。」

「いいのいいの! 二人だって晩餐会開いてくれた訳だし、ね?」


 会話しながらクリスタルとルーグは菓子や軽食をつまむ。

出された食べ物はどれも絶品である。

違う点としては、着色料が一切使われていない事、サンドイッチにベーコンが挟まっていない事くらいである。


「相変わらず、ここには肉がないな。ベーコンの塩気の代わりのソースが旨いが。」

「うーん・・・。僕自身がお肉苦手なのもあるんだけれども、奉仕種族の子達が特にお肉嫌いだからねぇ。」


 ライトが苦笑いを浮かべる。

実際、ライトの領域では肉が生産されていない。

卵も完全な無精卵しか出されない。


『生き物の死肉を食べる』


 ライトの領域である『エアテール』は、このことを嫌う者が集まる領域である。

代わりに農作物や乳製品が盛んであるため、それらの素材の品質が良い領域でもあるのだ。

着色料が使われないのは、『素材の色』を大切にしているからであろう。

 クリスタルは色彩の薄いマカロンを齧る。

嫌な甘みが一切しない甘味が口に広がり、レモンの香りがふわりとする。

出された紅茶と食べれば、レモンティーを飲んだ後の味がする。

それがまたたまらない。


「そうそう、レフトは今何処にいるんだ?」


 ルーグはサンドイッチを齧りながら問いかける。


「今緊急で自分の領域に帰ってるはずだよ。君たちが来た時の準備に、ちょっと不具合があったって。」

「じゃあ今日明日には来れないのか?」

「いや、今日の夜には此処に到着するって。明日の歓迎会は、『善神』である僕と『邪神』であるレフトの正式な交流会でもあるの。」

「その『善神』『邪神』って考え方、もうちょっとどうにか出来ないモンかね? お前達にとっては厄介極まりないだろ?」

「まぁね・・・・。でも、そのおかげで『僕とレフトは生まれた』から。何とも言えないね。この世界では、『善神』『邪神』という区別がある。『神』という種族は信者たちの認識でどちらかの神になる。その壁は今でも大きいね。」


 ライトはのんびりと語る。

彼は『善神』と『邪神』の争いが原因で生まれた神だ。

そして『善神』の取りまとめとして『邪神』から嫌悪の眼を向けられたり、『善神』から様々な欲を求められる。

様々な思いがあっても出さない辺り、彼の人格が伺える。


「さて、このお話は終わり! 明日までゆっくりお話ししようよ!」


 ライトは笑う。

その笑みの裏側の思いは、友人たちにしか分からないようだ。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

今回のお話はいかがでしたでしょうか?


今回から新章です。

『神の世界』という名前なだけあり、神が住まう世界です。

どのような神が出てくるのか、お楽しみに!


次回は『歓迎会』のお話です。



厚かましいですが、創作の励みになりますので、良ければ評価をお願い致します。


改めて、読んで頂きありがとうございました!


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