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【旧版】Crystal Asiro【クリスタルアシロ】  作者: wiz
第2章 国としての交流
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国際観光企画

観光ツアーを国の代表として企画し、各国の代表に会議を行う。

その会議の様子は・・・。

 かれこれ一週間続いている、国際交流を兼ねた交渉の場はまだ続く。

シックで豪華なデザインの大会議室に、各国の代表者が勢ぞろいしている。

 今日の会議の参加者は10数か国、その全ての代表が卓を囲んでいる。

先日交渉を行った、アゼミア大帝国とハルシャル王国も参加している。

クリスタルは主催の立場のため、一番奥の席に座る。

ルーグはクリスタルの斜め後ろに立ち、控えている。

クリスタルが宣言する。


「では会議を始める。議題は我が国との『国際観光の計画』。まず俺から国際観光の計画を、各国に配布した資料を参考に話そう。」


 クリスタルがあらかじめ配った資料には『感動の再会!亡くなったあの人に会おうツアー!』と書かれている。

ルーグはクリスタルの後ろで賢者の様に悟った顔になっている。

各国の代表達も、何とも言えない表情をしている。

それでも誰も何も言わないのは、内容に理由がある。


「タイトル通り、死者が集まるこの国に『生者を一時的に招く』企画だ。誰しも居なくなった大事な存在に会えるとなれば、かなり人が来ると踏んでいる。そしてやって来た観光客を見て、我が国の国民がそちらの国に興味を持ち、取引が増える可能性が広がるだろう。」


 『死者に会える』。

その願いは生者にとっての何よりの願いになりえるものである。

それが一時的に叶うとなれば、人は集まるだろう。

クリスタルが資料を見ながら続ける。


「どうやって生者がツアーに参加するかを話そう。普段この死者の国に生者が侵入すると、国民を連行されるのを防ぐために生者は死ぬ仕様になっている。だが生者をこの国に招く方法は、今皆がかかっている『生者の許可証』という魔法をかける事だ。魔法を一時的なものにすれば、使う魔力のコストも少なくて済む。」


 資料には費用や魔力のコスト、具体的な観光ツアーの計画が明記されている。

ツアー先は何処も人気がある場所であり、幾つもルートが提示されている。


「質問があれば受け付ける。」


 クリスタルの言葉に、幾つか手が上がる。

それを順番にルーグが発言を促す。


「使用する魔力はどのようにして確保するのですか?」

「資料にある通り、ツアーの費用から魔力の籠った宝石を調達する。それで補おう。」


「魔力の籠った宝石は、何処から調達するのですか?」

「既に我が国で人工的に生産が出来る。それでも足りない場合、入国者を制限させてもらおう。」


「魔法は誰が発動するのですか?」

「ツアー参加者が入国前に、うちの城の上級魔導士に魔法をかけさせる。」


「もし魔法の発動に失敗した場合の責任は、誰が取るのですか?」

「ツアー登録前に『命に関わる魔法が失敗する可能性があるが構わない』という旨の同意書を書いては貰うが、当然責任者は俺だ。どう責任を取るかは、対象の者の要望を聞こう。そもそもこの場にいる全員、俺の魔導士達の魔法が失敗した場面を見聞きした事あるか? 命に関わる魔法を失敗する可能性のある者を、俺がツアースタッフとして雇用すると思うか?」



 各国からの質問にクリスタルが次々と回答し、手が次々下がっていく。

全員の手が下がったところで、ルーグが辺りを見回す。


「他に質問はございませんか?改定案もあればお話しください。」


 そう聞いても誰も手を上げない。

いつも通り、誰も反対意見は言わない。

その様子を見て、クリスタルは肘をつき指でトントンとテーブルを叩く。


「本当に毎回誰も反対や改善案を言わないよな。何のための各国会議だ?」


 クリスタルは怒気混じりの発言をする。

各国の代表はそれに対して色々話し始める。


「反対意見などございません。レイレード国王様は毎回素晴らしいアイディアをお持ちなので。」

「何処にも改善するべき点は見当たらないかと。」

「双方得をする案を提示頂くため、断る理由がございません。」


 それらを聞き、クリスタルは大きくため息をする。


「もういい。この会議の時間は無駄だったな。企画はこれで通すから、この企画を取引したい国は同じだけの価値がある提案をするように。」


 クリスタルは荒々しく席を立ち、ルーグもそれに続く。

引き留めようとする代表達はいるものの、クリスタルは聞く耳を持たない。

代わりにルーグが対応する。


「クリスタル国王を納得させるだけの価値が、この会議にはなかったのでしょう。『誰も意見を言わない会議など、意味はない』。クリスタル国王はその様な考えを持つお方です。企画書に同意される方は、まずは同意書にサインをして頂きます様、お願い申し上げます。失礼いたします。」


 ルーグも頭を下げ、退出する。

各国の代表達は、閉口したまま彼を見送る。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

今回のお話はいかがでしたでしょうか?


今回は会議でツアー企画とその話し合いの様子のお話でした。

ちょっとの質問だけで終わってしまう会議、開く価値はあったのでしょう?

皆様はどう思いますでしょうか?


次回は交渉続きの二人の、ちょっとした息抜きのお話です。



厚かましいですが、創作の励みになりますので、良ければ評価をお願い致します。


改めて、読んで頂きありがとうございました!

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