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【旧版】Crystal Asiro【クリスタルアシロ】  作者: wiz
SS 『とある世界』での旅
17/58

『食事』を知った世界

男性に『食事』を教える二人。

そしてある日、『食事』を覚えた人が増える。

それによって起こる問題とは・・・?

「何だか不思議だ! これは確かに飲み物とは違う味だ!」

「だろ? それが『旨味』ってやつだ。」


 食べられる野草とキノコを探し、焚火で料理したものを男性に振舞う。

味付けは手持ちの調味料のみだが、どうやら男性は気に入ったようだ。


「はぁ~。なんだか腹が重たいな。だが悪い気はしないな!」

「それが『腹が満たされる』『腹が膨れる』って感覚だな。食べ過ぎないようにしないと苦しくなるが、程々ならいい気がするんだよ。」

「こりゃいいな! 俺も『食事』してみようかな・・・・。」


 初めての感覚にぼんやりとする男性に、ルーグはアドバイスと忠告をする。


「さっき俺がやったみたいに『調理』をして『料理』を作って、『食事』をしてみて下さい。最初は面倒ですが、慣れれば『食事』が楽しみになりますよ。」

「そうしようかな・・・・。これは止められないかもしれないなぁ・・・・。」

「ですが、食料は限りがありますし、そもそも食べると危険なモノがあったりしますので、それはお気をつけて。」

「そうだな、だが暫くは『食事』はやりたいなぁ・・・・。」


 どうやら忠告はあまり男性の頭に入っていないようだ。

まだぼんやりと『腹が膨れる』感覚を味わっている男性を見て、二人はその場を離れることにした。


「さて、そろそろお暇しよう。おじさん、『カプセル』ありがとな。」


 クリスタルとルーグは男性と別れ、また旅を続ける。

男性は二人を見送り、そしてまた『食事』の余韻に浸っていた。

__________


「最近『飲食店が出てきて』ないか?」


 クリスタルとルーグは旅を続けて数週間、今までなかった『飲食店』が現れ始めていた。

『食事屋』という名前で現れたソレは、何処も繁盛している。


「『食事』を体験できる所だよ! 寄ってみてくれ!!」

「『カプセル』にも飲み物にも無い、不思議な『旨味』という物を堪能できるぞ!」


 二人は顔を見合わせる。


「どういう事だ? クリスタル、『世界監視』して状況を見れるか?」

「お前も『記録』で見てくれ。どうしてこうなったのかを。」


 二人はそれぞれの能力を使い、状況を把握する事に努める。

探していけば、ある人物が見つかった。


「これは、俺達が『食事』を教えた男性が皆に『食事』を教えている。」

「俺もこのままじゃ『人間の数が減る』のがわかった。食料を増やす手段を知らないのに飯食ってたら、食料不足になって飢える人が出る。これは、俺達がどうにかすべきか?」


 悩むクリスタルとルーグ。

少し知識を教えただけで、ここまでの影響が出た。

世界を管理する者として、どうにか手を加えて修正をするか。

世界を旅する者として、手を加えずにそのままにするか。

その判断はかなり際どく、難しい。


「出来る範囲の事はすべきだろう。食べ物の生産元に生産方法を入れ知恵しよう。それで様子を見てみるか。」

「わかった。まずは野菜の生産元に種の育て方を教えよう。」

__________


 生産元に種を持って行き、「食料が増やせる」と言い教えて歩く二人。

しかし、何処も反応は一緒だ。


「数か月も増やすのにかかるのか? それならそこら辺から取った方がいい。」

「そんな手間かけられるか!」

「その辺にあるものを、どうして金をかけなきゃダメなんだ!?」


 そして猟師にも酪農を教えるも、やはり同じ反応である。


「その辺にいる生き物だぞ? 増やす必要はないだろ!」

「勝手に増えるものを飼育する手間が面倒だ。」

「そんな事やるなら、上手い狩りの方法教えろ!」


 そんな反応ばかりで、誰も取り付く島もない。

二人は国を出て、しばらく旅をしつつ相談する。


「何処もダメだな。手間と金を見てばかりだ。これはどうする?」

「この世界の住人が『このままじゃダメだ』って気づいて、生産を始めないとな。『食事を教えた旅人』として、やれるだけはやったさ。後は『何でも屋として仕事』範囲の仕事になる。それには依頼が来ないとな。」

「暫くは依頼が来るか様子見しないか? 誰か気づくかも。」


 クリスタルとルーグは、仕方なく旅を続けて様子を見る事にした。

辺りから聞こえる動物の声は、最初来た時よりも格段に減っていた。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

今回のお話はいかがでしたでしょうか?


『食事』を覚えたての世界。

生産を知らない者が辿るのは、どのような世界でしょうか?

この世界のお話は次で最後です。

結末をお楽しみ下さい!


次回は誰かがクリスタルとルーグを訪ねてきたようです。



厚かましいですが、創作の励みになりますので、良ければ評価をお願い致します。


改めて、読んで頂きありがとうございました!


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