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【旧版】Crystal Asiro【クリスタルアシロ】  作者: wiz
SS 『とある世界』での旅
15/58

『性別」の定義

とある世界にやってきたクリスタルとルーグ。

公衆浴場に入ると性別を聞かれて・・・?

 クリスタルとルーグは今、とある街に来ている。

コンクリートの様な素材で出来た白い建物が多く目立ち、同じく白い建物の繁華街には大勢の客が押し寄せ賑わう。

住宅街も似たデザインの建物ばかりである。


 そんな街中でも特に大きく目立つ建物に、二人は荷物を持ってやってきた。

建物には「公衆浴場 コロッセオム」と書かれている。


「こんなデカい風呂場作ってどうするんだろうな? 邪魔じゃないか?」

「だよな。住宅街に小ぢんまりあってもいいだろうに。」


 二人は建物を眺める。

ちょっとした闘技場や運動場のような大きさである。


「試しに入ってみるか? 何が理由でこんなに大きいのか分かるかもな。」

「だな! 早速入るか!」



 二人が建物に入り、「大人 850\」のチケットを買い、受付に渡す。

その受付が、このような事を言い出す。


「お二人様、性別はAからZのどれでしょうか?」

「「え?」」


 聞きなれない『性別はAからZのどれか』という言葉に、二人は固まる。

気を取り直したルーグが受付に問う。


「すみません、俺達今日この世界に来たばかりの者で、『性別がAからZのどれか』の意味が分からないんですが。」

「あぁ! 遠くからの旅人さんだったのですね! 失礼致しました、ご説明しますね。」

「悪いな、頼む。」


 受付が何やらパンフレットを持って来た。


「これを参考に説明させて頂きますね。我が世界はAからZまでの計26個の性別がございます。他の世界でよくある性別の例として、『男性』は『A』、『女性』は『Y』、性別の無い方は『Z』となっています。BからXはAとYの中間や、全く違う性別を表しています。」


 パンフレットの図を見れば『普通の』人間にはないような部位がある者が多くいる。


「なるほど、確かに言われて初めて見た目もちょっと違うのが分かりますね。」

「そう仰る旅の方は多いですよ。ですので、パンフレットをご用意しております。良ければ一冊お手元にどうぞ。」

「それじゃあ貰って行こう。で、性別だが、俺はYで、隣のはAだ。」

「畏まりました。ではAの方は右手を進んで突き当りが、Yの方は左手を進んで奥から一つ手前の入り口が脱衣所です。また、大浴場は混浴となっております。水着を着用の上、ご入浴ください。」


 予想していなかった『混浴』という単語に二人は目を丸くする。


「混浴!? ・・・・性別が多いので、大浴場を性別分用意するのは難しいからですかね。」

「すまん、水着の貸し出しか売店はあるか? 水着なしでの混浴はまずいだろ。」

「ご安心を、水着売り場も貸し出しもございます。受付裏に売店及び貸出窓口がございますので、そちらへお声をおかけ下さい。」

「よかった・・・・。ありがとうございます。」


 二人は水着を貸し出してもらい、二手に別れてそれぞれ脱衣所に向かう。


「じゃあなルーグ、達者でな・・・・!」

「どうせ大浴場で会うんだから、そんな今生の別れみたいな言い方するな!」


 今日もルーグのツッコミが冴えわたる。

__________


 ルーグはまず脱衣所で水着に着替え、普段通りに体を洗い、大浴場へ向かう。

広さは思ったよりもあり、一つ一つの湯船も大きい。

その分、入っている人の人数も多い。


 暫く周りを観察して待っていれば、クリスタルがやってくる。

クリスタルはビキニにハーフパンツを履くタイプの水着を着ている。

体格の良いルーグと並ぶと、クリスタルがかなり華奢ではあるものの胸があるのがわかる。

ルーグも男性にしてはしっかりと鍛えられているものの、引き締まっている印象を受ける。


「お、先に来てたかルーグ。早速入るか!」

「お前、どうせジャグジー入る気だろ? ぬるいから。」

「当たり前だ! 俺はお前よりも熱いのに弱いからな!」

「胸張って言う事か? とりあえず行くぞ。」


 何故かドヤ顔で宣言するクリスタル。

それをまたもやツッコむルーグ。

始めはクリスタルご希望のジャグジーに入る。

ぬるい湯である上に泡が出てくるためか、子連れが多く入っている。


「やっぱり泡風呂だろ! 丁度いい温度だわ。」

「ぬるい。半身浴にはいいが。」


 『フリーズドラゴン』のクリスタルには合っている温度だが、人間であるルーグにはぬるく、体が温まる気がしない。


「正直、もう少し熱いのに入りたいけど、どうせお前はついて行かないよなぁ。」

「別に別行動しても良くね?」

「誰を護衛してると思ってんだよ! それに、今お前から離れるのは色々まずい。」


 ルーグが親指で後ろを差せば、何人かのAらしき者がクリスタルを見ている。

クリスタルの視線とルーグの圧に気づき、慌てて逃げていく。

それを見てクリスタルも納得する。


「そういう事か。これは離れない方がいいな。それでも、俺は熱い風呂は嫌だ!」

「たまには俺の我儘も聞いてくれよ。いつも俺ばっかり要望聞くじゃん。」

「俺が上司だぞ! 我儘聞けよー!」

「旅するのに上司も部下もあるか!」


 そう言い合いつつ、二人は結局次の湯船に入る。

お湯は白く濁り、鉄の香りがほのかにする。

少しだけぬるぬるするような質感の湯だ。

熱さは先ほどより高いが、それでも40度程度の温度だ。

そんな温度ではあるが、クリスタルには熱いようだ。


「俺、これ以上の温度の湯には入りたくない。」

「まだぬるくないか? まぁ、さっきよりマシだが。」


 「熱い」「ぬるい」の軽い口論を繰り広げる二人。

そんな事をしていると、隣にいた40歳辺りの女性らしき人に声をかけられた。

その人は胸から太ももまで覆う様な水着を着ている。


「先ほどからよくお話をされていますね。貴方達は恋人かご友人ですか?」

「一緒に旅をしている仲ですね。相棒です。」

「そうでしたか! 『旅をしている仲』と言ってしましたが、旅人さんですか?」

「そうだ。この世界に初めて来てな。性別が多いのに驚いたぞ。」

「この世界にようこそ! 他の旅人さんにも言われるんですよ。『性別が多い』って。」


 女性らしき人は、笑いながら話す。

クリスタルが思っていた事を話す。


「気に障ったら悪いんだが、お姉さんの性別はなんだ? 見た目は俺と同じYに見えるが。」

「私は『V』です。見た目はYと似ていますが、ちゃんと体の作りが違うんです。」

「どう違うんだ? デリケートな話で悪いが、例えば生殖機能が違うとかか?」


 見た目はYの人物にそう問えば、周りを見渡し人があまりいないのを確認してから、その人は答えてくれる。


「生殖機能については、私の性別はYと同じです。ですが、少し体が違うんです。」

「それはお聞きしても大丈夫なお話ですか?」

「えぇ。他の世界はバラつきはありますが、少なくともこの国は性別に関しての話題はオープンな方なんです。それに私も是非外の世界から来た方に、私たちの性別を知って欲しいんです。」


 「実は・・・・。」とVの人は二人の耳元で話す。

固まるルーグに、感心するクリスタル。


「そうなのか。面白いな! 色んな性別があるのは。」

「そんな人もいるんだな・・・・。まだ知らない事もあるもんだ。」

「驚かれてしまったかもしれませんが、『こんな特徴がある人がいる』と思ってくだされば何よりです。」

「そうだな。これはいい知見になった。教えてくれてありがとう。」

「正直凄い驚きましたが、この世界では常識なんですよね。詳細まではお話しませんが、土産話にさせて頂きます。」

「それはそれは! ついでに色々教えましょうか?」


 その言葉にクリスタルは嬉々として、ルーグはためらいつつ答える。


「お願いしてもいいか?俺は聞きたい。」

「また驚いてしまうかもしれませんが、お聞きしたいです。」

「いいですよ! では___」



 こうしてVの女性から性別の話を聞くことになった二人。

「世の中、広いもんだな。」とは、ルーグの談である。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

今回のお話はいかがでしたでしょうか?


今回は『性別』のお話でした!

多種にわたる性別がある世界、皆様はどう思いますか?


次回は別の世界を旅します!

次はどのような世界を行くのか、お楽しみ!



厚かましいですが、創作の励みになりますので、良ければ評価をお願い致します。


改めて、読んで頂きありがとうございました!


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