クリスタルの悪癖
クリスタルが突然の我儘でストライキ!
クリスタルの我儘の理由とは・・・?
「飽きた。」
クリスタルが執務室での種類を捌いていると、突然言い出した。
ルーグはいつも通り、チェック済みの書類をクリスタルに渡す。
「いいから仕事しろ。またお前の『悪癖』か?」
「悪癖言うな。飽きたモンは飽きた。」
クリスタルが机に顎を乗っけてぼやく。
もう既に仕事をする気が無いらしい。
それでもルーグはドサリと書類を追加する。
「いいから、さっさと仕事しろよ。俺達は仕事しないと、やりたい事も出来ないんだぞ?」
「わかってる。だが暇だ。こんな『俺かお前の案が採択されただけの書類をサインする仕事』の何が面白いんだ!」
クリスタルが手足をバタつかせて駄々をこねる。
部下が見れば驚くような光景だが、ルーグには日常茶飯事である。
ため息交じりにルーグは叱る。
「国王の仕事なんて、そんなものだろう。いいからサインしろ。」
「嫌だ!! 飽きたモンは飽きた!!」
クリスタルは意を決したように席を立ち、ルーグに宣言する。
「決めた! ルーグ、旅に出るぞ!!」
「またかよ!!!」
いつものクリスタルの『旅に出たい』悪癖に、ルーグは頭を抱える。
上司であり、『空間移動』が出来るクリスタルに、ルーグは敵わない。
断っても無理やり連れていかれる上に、彼女の護衛をしなければならない。
「・・・・せめて、今ある書類は片づけてくれ。今日の夜出発でいいから・・・。」
「やったぜ。それならいいぞ!」
クリスタルは椅子に座り直し、早速書類の山にサインを始める。
ルーグは少々哀愁を漂わせながら、『クリスタルと旅に行く』旨を部形に伝えるため執務室を出た。
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夕食を食べ入浴を終え、二人は寝室にいる。
服装も視察用の目立たない衣服に着替えており、マントも羽織っている。
そしてクリスタルは右側のベルトに剣を、ルーグは背中側のベルトに短剣の双剣を差す。
そして最低限の着替えに道具を持った荷物を背負う。
「さっき部下からめちゃくちゃ止められたぞ。『お願いだから一週間で帰って来てくれ』って。」
「無理! お前の『時間操作』で何とかするんだな! 俺は少なくとも1年は帰らんぞ!!」
「言うと思った。」
ルーグは呆れながら言う。
どうせ止めても無駄なのを知ってはいるが、ため息は出るものである。
そんなルーグをよそに、クリスタルは何もない空間に人差し指で『切れ込み』を入れる。
『切れ込み』の先からは、爽やかな日差しが入る。
『切れ込みの先』は、日中のようだ。
「さて、何処の世界に繋がってる事やら。楽しみだな!」
「お前はな。」
「なんだ? お前は楽しみじゃないのか? まぁ、それでも連れて行くがな!」
「知ってた。」
二人は『切れ込みの先』に入り込む。
そして人知れず、『切れ込み』は消えた。
こうして、クリスタルの悪癖による『二人旅』が始まるのであった。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
今回のお話はいかがでしたでしょうか?
今回はクリスタルの「旅したい」悪癖のせいで、二人で旅に出るお話でした。
今回でこの章は終わりとなりますが、お話はまだまだ続きます。
次回からは第二章となります。
クリスタルとルーグの二人旅。
どの様な旅になるのでしょうか?
厚かましいですが、創作の励みになりますので、良ければ評価をお願い致します。
感想も頂ければ、出来る範囲ですが要望を取り入れていく所存です。
改めて、読んで頂きありがとうございました!
次章もお楽しみに!