表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

運命を決める場へと+Two flowers to rematch


「もっと急いで!! 捕まる!!」

「やっぱ道中こうなんのかよぉ!!」

 桜と白葉が駆るトライアングルホース、山神が駆るトリケライナー、それらを追走する無数のスレイジェル達。

「でもこれ以上速度上げたら白葉が吹っ飛びそうなんだけど」

「その時はあなたも一緒に飛ぶんだから耐えなさい」

「うわやめて!」

 放たれる光弾の雨を潜り、3人は目的のビルの前まで辿り着く。しかしそれを阻む様に大量のスレイジェルが壁となって待ち構えていた。更にその背後では空間が歪んでいる。

「やっぱりガチガチ防御じゃねぇか!」

「だからこそ貴方に来てもらったの!」

「分かった分かったやるって! おい、しょ、うし! 行くぞ!!」


 山神は疾走するバイクの上に立ち、リワインドローダーとヴォルケーノレックスローダーを構える。


「変身!!」



《Ground Quake! Blaze Fist! Blast Rush! Memory Revive!! Wake up Extinction!!》



 跳び上がると同時に変身。自身を巨大な火球へ変えて落下した。《ラースバースト》の最大出力で放った大爆発は、一瞬の内にスレイジェル達と歪んだ空間を打ち破る。


「っ、流石のパワーね」

「山神は強いからな! ……白葉、裾燃えてるよ」

「今はそんな事気にしない!」

 後頭部を叩かれた事で再び気合を入れ直し、アクセルを全開。一瞬のみ開かれた炎の道を突き進み、ビルへの侵入に成功した。

「山神真里、後はお願い!」

「危なくなったら逃げろよ!」

「わーってるよ! お前らこそ辿り着く前に負けんなよ!」

 走り去った2人を見送ると、ホウセンカは埃を払い落としながら前を向く。


 先程空けたばかりの穴は既に埋め尽くされている。一斉に槍を携えて突進する様を見て、山神は深く息を吸い込んだ。


「ったく……」


 拳を大きく引き、狙いを地面の一点に定める。地球を叩き割る気概を持って打ちつけた。


「俺ひとりにこの数はやりすぎだろうがぁっ!!」


 先程のものに匹敵する大爆発、更に追い討ちをかける様にマグマが噴き上がり、スレイジェルを呑み込んだ。

 アスファルトが融解し、焦土と化した戦場。数千のスレイジェル達はたった一人の拳士を前に足止めを喰らう事になるのだった。




 ビル内部へ到着した桜と白葉はバイクから飛び降りる。同時に桜が変身。《シュートエアレイダー》となり、白葉を抱えて飛び立った。

「正確な位置は分からない!?」

「恐らくだけど最上階! 衛星と一番近い距離で計画を実行に移す筈!」

「もっと上か、それは結構厳しい!」

 リンドウは弱音を吐くと同時に、追いついた2体のスレイジェルをマイティライフルで撃ち抜く。確実に魔の手は迫ってきている。

「せめてもっともっと上がれれば、っ、うわっ!?」

 スレイジェル達が槍の先から放つ光弾の一部が、リンドウのバックパックに着弾。右のスラスターが火を噴き始める。

「ごめん、ここから先は歩きで!」

「その前に着地、集中して!」

「分かった!」


 落下する直前でリンドウはフォームチェンジ。次は《クラッシュウォリアー》となり、白葉を抱えたまま上階廊下へ着地。

 降り注ぐ光弾が抱えた白葉に当たらないよう、右肩を前に突き出す姿勢で階段を走り抜けていく。分厚い装甲を貫く事は叶わないものの、散った熱が白葉の髪先を焦がす。

「階段で上がっていくには遠い……!」

「私が多少焼かれても構わない、何か速度に特化したフォームになって!」

「いや、この状況ならこれが一番だ!」

 リンドウの足に力が込められ、瞬間一気に速度が跳ね上がる。階段を崩落させる程のパワーで駆け抜けるリンドウにスレイジェル達は追いつけない。

 しかし目の前に階段は続いていなかった。ここが最上階だと思いたかったが、白葉の言葉にそれは否定される。

「ここから先はエレベーターでしか行けない」

「ねぇ白葉、埃塗れになっても平気?」

「……別に」

「分かった!!」

 リンドウはプラグローダーを3回スライド。足に更なる光が宿り、踊り場に亀裂が走り始める。

「まさか跳ぶつもり!?」

「あぁ、その方が速くて……」

 と、スレイジェルが横から槍を突き出してきた。それを予知していたように掴み、穂先をへし折って肘打ちを喰らわせる。

「妨害も、受けない!!」


 踊り場を破壊し、リンドウはロケットの様に飛び立った。先回りしていたスレイジェルは、黄金に赤熱したリンドウの角に貫かれ次々に爆散していく。


 しかしここで問題に直面する。


「まずい、届かないかも……!?」

 僅かに、だが確実に、スレイジェルと衝突した影響が現れていた。失速が重なり、あと少しの所で届かない。

「もう、見立てが甘い!」


 白葉はプラグローダーのボタンを押し、マイティライフルを出現させる。そして逆方向へ向けて照射。反動が加わり、リンドウ達を更に押し上げる。


「届、く、届く!!」



 遂に天井へ直撃。突き破った先に飛び出し、着地した。


「まったく、無茶苦茶……」

「ごめん。でも何とか辿り着いたよ」

 変身を一度解き、桜は白葉を降ろした。穴は飛び出した衝撃で瓦礫で栓がされている。ここにスレイジェル達が現れるには時間がかかるだろう。

「早くここを離れた方が良いか。白葉、ここから先は……」

 そこまで言いかけて桜は気がついた。目の前に広がる悍しい光景に。


「もう、着いてるわ」





 地下深く、風も光も届かない世界。下水道を抜けた先は金属で覆われた錆臭い空間だった。

 しかし彼岸の目を暗闇は潰せない。視界の先、世界の中心に立つ宿敵の姿を見失いはしなかった。

「よく来てくれた。あんな挑発では反応しないのではと、少し心配だった」

「紅葉は何処だ」

「ここにはいない。が、きちんと五体は揃っている」


 弟切が指を鳴らすと、ホログラムで出来たモニターが浮かび上がる。そこには巨大な電子基板のようなものに磔にされた紅葉が映し出されていた。


 それを見つめる彼岸の顔を見た弟切は嬉々とした笑顔を向ける。

「良い顔だ彼岸。怒り、憎しみ。順調にかつての貴様に近づいてきている」

「俺は二度とあの時には戻らない。この怒りは、お前を葬った時のものとはまるで違う」

「どう言い訳をしようが怒りである事には変わりない。さぁ、復讐心を滾らせろ。解き放って見せろ!」


《英雄 失意の果て 錆びた剣で全てを砕け Rust of Hero》


 弟切は変身。錆びついたヴァイティングバスターを突きつける。

「あの失敗作の女共には感謝しかない。私を復元し、ノアの力を取り込ませ、あまつさえ貴様と戦う機会をくれた。世界の滅亡など微塵も興味は無いが、どうせ貴様を消した後は暇なだけ。付き合ってやるだけの恩は感じている」

「……あの時もそうだった」

「何?」


 彼岸はブレイクソードの柄に手を掛ける。その目は弟切の心を苛立たせる輝きを放っていた。


「お前も博士も、俺が信じていたものを一瞬で奪った。そして今、また同じ事をしようとしている」

「そうだ。だがあの時と違うのは貴様の敗北。全てを否定され、失い、無残に消えるのが貴様だという事──」



「だから変わらない。あの時と同じ様に、お前は負ける」

 《スカーアヴェンジャー》となったヒガンバナは、ブレイクソードを突きつけ返した。



「っ、ふ、ふはは……ぁぁぁ、不愉快だ」

 《インフェルノブレイダー》となったリンドウ、否、リンドウ・イミテーションは、マスクを鉤爪で掻き毟った。



続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ