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第37話:最善の戦果

 


 ふむ。

 引きこもり(しん)か……。

 やっぱどうせなら竜人族の守護神が良かったなぁ。英雄ラグナ最強だし!

 そしたらきっとオレ、超絶強くなるわけで。

 超絶強くなるオレ、超超絶絶モテモテになるわけで。

 黄色い声援に囲まれたバラ色の学園生活待ったなし、ってなわけで。

 ムフフフフ、わ、悪くない。

 うむ!

 どう考えても悪くないのであるからして!

 校門をくぐるオレに向けられるファンの視線!

 勇気を出しておはようって言ってくる可愛い女子にさわやかな笑顔で返すオレ。湧き上がるファンたちの悲鳴と歓声……ふむ! まったくもって悪くないのであるからして!

「しかし、なかなか見事なものだな。たかが神威を分けられただけのゴミ屑のくせに。我が呪いをことごとく弾くとは」

 え?

 マジで?

「この身体が持つ瞳の呪いだけではない。我が死の呪いも、痛覚のみが過敏になる呪いも、身体を腐敗させる呪いも……お前には効果がないようだな」

「それってお前が雑魚神だからじゃねぇの?」

「ぬかせ。憑依体では我が力を存分に発揮できぬ―――ただそれだけのこと」

「いや、違うだろ。オレの神よりお前の方が格下だってことだろ?」

「―――っ」

 あっぶねぇ。

 無言でマジ切れパンチかよ!

 しかも蛇の下半身を振りまわして攻撃してくるとかもぅ……やめて?

 その、胸元が揺れるの―――なんかヤだ。

 てか服を着ろ!

 なんで当然のように全裸なんだよ?

 あれか?

 このメデューサが入浴中に憑りついたのか?

 この変態神めっ。

「ゴミ屑がっ! 調子にのるなよ? 」

「ったくよぉ。お前、人気ねぇだろ?」

「…………なんだと?」

「だって事実を指摘されてブチキレる神とかマジ勘弁って感じだしぃ。てかマジついてきたくねぇー。そんな上司は嫌々案件すぎてワロ。チョベリバって感じぃ~」

「図に乗りおってからに……よもやこの我に助言のつもりか?」

「まぁな。オレは親切なんでね」

「なるほど。では褒美を取らそう」

「―――っ⁉」

 コイツ今、オレになにした……。呪い、か?

 や、違うな。オレに変化はない。

 ってことは…………その逆、か。

「理解できぬであろう? ゴミ屑にはな」

「………」

「我は呪いを司る―――そなたに授けた褒美も呪い、だ」

「………」

「ほぅ? 視界を閉ざし沈黙を選ぶ、か。なかなか察しが良いではないか」

「………」

「そうだ。お主には呪いは効かぬ。腹立たしいがそれを認めた上で、褒美をやった。察しの通り………他者を呪う力をくれてやったぞ? 感謝するがよい」

「………」

「はてさて、何の呪いかな? 親切な我がヒントをやろう。汝の瞳を見た者を石化させる呪いか? 汝の声を聞いた者の若さを奪う呪いか? 汝に触れたものが腐りゆく呪いか? あるいはその全てか?」

「汝はこの肉体の主―――メデューサを救いたいのであろ? ならば我を見ず、我に触れず、声も発せず遠く逃げ去るがよい。さすれば叡智の箱はわが手におちる……」

 クソ。

 なんて性格悪いんだコイツ。

 邪神ってヤツか?

 名前はケルヌンノスだったか?

 いや、ケルヌンノスの従属神って可能性もあるか。

「じゃあカイト、僕の出番だね」

「………⁉」

 クロノ!

「時の精霊である僕が君に憑依しよう。呪いを授かる前の肉体に戻してあげるよ。この戦いの間中ずっと、何回でも、ね」

「……なんだと?」

「えっと、名もしれぬ神よ。今の君には、格上の神から清浄なる神威を授かったカイトの魂を呪う力はない。肉体を呪うこともできない。呪いの力を授けるだけ………なら僕の力―――時の支配からは逃げられないさ」

「このっ…………精霊風情がっ」

「カイト、もう喋ってもいいよ。呪いの力を授かる前まで肉体の時を戻したから」

「ってことだこのバカ神! クロノさんを舐めんじゃねぇぞコラ!」

 さっすがクロノ!

 まじ頼りになるウサギランキング十年連続一位! あんど、まじペットにしたい精霊ランキング二十年連続一位! オレ的に!

「さぁ、どうする? その肉体を解放して帰るなら……見逃してやるぜ?」

「………まったくゴミ屑に似つかわしくない神威だ。やはり我の呪いが効かぬか」

「ったりまえだろ?」

 偉大なる引きこもり神さまの神威なんだぜ?

 ある意味、防御力最強なんだぜ?

 なにせ、引きこもって他者を受けいれないって点じゃ筋金入りなんだからな? AとTのフィールドは有名だって陸人は力説してたし!

 他人の呪いなんて、なおさら受け入れるわけないじゃん!

 ま、完全防御を誇るせいで、他人からの好意も受け入れられないんだけど。てか他人からの好意を寄せられる対象にすらならないって意味で、諸刃の剣ではあるけどもな。

『巨大なブーメラン、第三波来ました!』

 ロ、ロココさん!?

 りょ、了解です! じ、自虐には気を付けます?

「……仕方あるまい。叡智の箱の入手は諦めるとするか」

 あ。

 ヤバい。

 強めのゾワゾワが背中を全力ダッシュしてやがる。

 コイツ―――自爆する! 多分!

 この世界樹イブごと叡智の箱をぶっこわす気か?

 や、呪いを周囲の生き物や植物にぶちまける可能性も大か………。

 神の力には――――

「っとメモリー・ロード!」

 ―――神の力で対抗!

「カード集から―――」

 えっと……何を選べばいい?

 アイギスの盾は―――ダメか。自分たちを守っても仕方ない。

 ロ、ロココさん! 助けて!

『どうやら俺様の出番のようだなぁ』

 お、おぅ!

 ……………で、どなた様で?

『汝が深淵を覗くとき、深遠もまた汝を見つめている』

 ほぅ?

 拗らせすぎて焦げ付いた中二の香ばしいにおいが………つまり同士だな?

『ま、そういうこった。そいつを使え』

 おぉ! サンキュー同士の人!

「わかった! えっと―――大悪魔王ルシファーの御業を代行する!【夢幻牢獄】よ、ここに!」

 あ、ヤバい。

 クッソかっけぇ……。

 五本の青い稲妻が………五芒星の魔法陣を構築するなんて。

 しかもそれが牢獄のようにメデューサを包み込んで……………おぉ……爆発を封じ込めた。

 サンキュー同士の人!

 や、大悪魔王ルシファーさん?

 ……………え?

 てか悪魔なの?

 しかも悪魔王って、ヤバい存在なんじゃないの?

『おぃおぃ褒めるんじゃねぇよ? ま、察しの通り俺様は悪魔の神ってところだな』

 ……………………すいませんでした。タメ口お詫び申し上げます。

『まぁ気にするな同士よ。お前には俺様も悪魔たちも恩がある。借りはしっかり返すぜ?』

 悪魔に、いや大悪魔王様に恩を売った覚えナッシングなんですけど。

 そもそもオレ、超いい子ですよ?

 あ、そりゃイタズラくらいはたしなんできましたけど。でもあれはほら、ダンジョンでのバトルに備えるためのトレーニングだし……。

『ま、恩については気にすんな。 つかタメ口でいいぜ? 気持ち悪ぃからな』

 …………マジで?

『おぅ』

 ………………あとで怒って憑りついたりしない?

『んなメンドクセ―ことするかよ』

 オッケー!

 タメ口ウェルカム!

 てかさっきの技―――【夢幻牢獄】。くっそかっこいいんだけど! あれ、カウンターだよな?

『クハハハハ! よくわかってるじゃあねぇか!』

 まず技の見た目が素晴らしい!

 青い稲妻でできた牢獄とか!

 もうマジ最高じゃん! カッコ良さ満点!

『クハハハハ! カッコいいだけじゃねぇぞ? あの技は捉えたものに夢を見せるんだぜ?』

 夢?

『あぁ! アイツは今頃、夢―――自爆で呪いがブチまかれた世界を見てやがるぜ?』

 なるほど。

 自分の攻撃が成功した夢を見れば、自分が失敗したことにも、囚われてることにも気が付かない。だからこれ以上、攻撃も抵抗もしてこないってことか。

 カウンターによる攻撃と捕獲の合理的な組み合わせ………ますますカッコいいじゃん!

『ま、そういうこった! 自爆して憑依を解いて逃げる気だったんだろうぜ、あのバカ神はよ』

 ほぅ?

 つまり捉えられてることに、つまりあの牢獄から逃げられないことに、アイツはまだ気づいてないと?

『ったり前だろ? それに気づいた瞬間の絶望の表情が……ククククク……たまんねぇ』

 いい!

 さすが大悪魔王!

 性格クッソ悪すぎてむしろ好感もてるレベル!

『あんまり褒めるんじゃねぇよ? ククククク………』

 ククククク…………越後屋そちも悪よのぉ。

『カイトほどじゃねぇがな? ってことであとは任せたぜ?』

 ん?

『お前なら、牢獄に侵入できる。神々の悪戯―――スライムがあとは何とかするってよ』

 わ、わかった。右手突っ込んでスライム開放してみる。

 てか、メデューサは?

 死んじゃった?

『や、まだかろうじて生きてるぜ? 呪いが降りかかっちまってるがな。スライムが邪神を喰らい、メデューサの本体を解放すれば……………あとはこっちで対処するってミカエルが言ってるぜ?』

 え、ちょっと待って………。

『どうした?』

 整理していい?

『…………好きにしろよ』

 スライムが邪神喰うの?

『らしいぜ。ま、正確には神々の世界へとソイツを連行するってことらしいがな』

 なるほど。

 で、こっから重要なんだけど…………………今、ミカエルって言った?

 まさかあの正神教の神ミカエルのこと? 

『そうだが?』

 あの炎を司り、この宇宙の正義を代行する偉大なる神にして、その力は天使や悪魔の軍団数万に匹敵するとされる偉大な調停者のこと?

『ククククク、数万じゃあすまねぇだろうけどな。まぁ、強ぇのは間違いねぇよ。俺様ほどじゃあねぇがな?』

 ちょっと黙ってルシファー…………ミカエルにメッセージお願いしていい?

『なんだよ?』

 ど、どどどどどどどうやったらそんなにモテるんですか?

『………………………』

 ミカエルっていったら正神教の信者から、いや正確には女性の信者から圧倒的人気を誇る超絶モテ神その人…………。いや、イケメンなのは知ってる! あまたの宗教画その全てがイケメンだし! でもイケメンだからという理由だけでは済まされないモテっぷりこれいかに!? 絶対何か秘訣があるに違いないのであるからして!

 はっ⁉

 こ、これじゃ失礼になる。

 メッセージ修正なルシファー!

 コホン……………おぉ偉大なる大天使ミカエル様、全てのモテの頂点に君臨する偉大なる神よ! どうかご慈悲を! 私めにどうか……いやしい私めにどうかミカエル様のお慈悲を…! 不幸にして恋愛運の低い定めを背負った私めに偉大なる正義の調停を―――モテる秘訣を伝授してくださいますように伏してお願い申し上げまするぅぅぅぅぅ……………ほらルシファー! なにやってんの! はやくミカエル様にお伝えして!

『ククククク……………大丈夫さ。本人が聞いてるぜ』

 おぉミカエル様!

 どうか私めに……………ご慈悲を。

『ククククク。ミカエルの回答は―――モテようとしないこと、だってよ? ングっ……が、がんばれよ』

 ………………OMG(オーマイゴッド)

 なんという試練………。

 モテるためには、モテようとしてはいけないとは……………問いと解が究極の自己矛盾状態じゃん。いっかいのヒュムには無理ゲーでしかない………。

 あれか?

 哲学なのか?

 モテは哲学なのか?

『ククククククク……クハハハハハ! 笑いすぎて涙がこぼれちまったぜ!』

 なんだよ大悪魔王!

 こ、こっちは必死なんだぞ?

 人の非モテを笑うなんて性格悪すぎだぞ!

『ングっ…………お、お褒めの言葉ありがとうよ? クハッハハハハッハハヒィィィィイウケる!』

 ウケねぇよ!

 クソ……非難は悪魔的には褒め言葉なんだっけか。

 それにしてもまったく失礼な!

 ルシファーも絶対モテないくせに!

 なにせ悪魔なんだから、しかも大悪魔王なんてもうモテる要素ゼロじゃん! ぜったい性格悪いし! 性格悪い奴がモテる道理はないのであるからして!

『ま、そういうことにしといてやっから、さっさとケリつけてこいや』

 わ、わかってるって。

「ってことでスライム、頼んだぞ?」

 プルルルルって震えるスライムのかわゆさよ……。

 そして超有能!

 マーメイドじゃなくて残念だとか思ってごめんよ。

 あっと言う間にメデューサを飲みこんで………………吐き出したし。

 神の連行終了ってことなんだろうな。

 憑依してた神を今頃、ルシファーがニヤニヤ見つめてるに違いない。

「あとは、陸人だな」

「大丈夫さ。陸人の肉体は呪われる前の状態に戻してあるよ」

「ありがとうクロノ!」

 こっちもマジ有能!

 クロノがいなかったらアイツも撃退できなかったし……叡智の箱も守れなかった。

「いいよ。君には恩があるしね。それに僕にとっても叡智の箱は守るべき大事な存在なんだよ。だからありがとう。【希望(ホープ)】のメンバーに時の星位精霊クロノから最大の謝意をおくるね」

「こちらこそ。【希望(オープ)】のリーダーより星位精霊たちに最大の謝意を。これからもよきパートナーであらんことを願うよ」

「僕もね」

 星位精霊が味方になってくれれば、オレたちはデミ・ゴッドとも戦える。オレたち【希望】にとって、そしてこの星にとっても、星位精霊は希望そのものだ。うん、オレいま上手いこと言った!

「さてと。叡智の箱については…………ん? それでいいのかい?」

「クロノ? どうしたの?」

 てか誰と話してるの?

 あ、ひょっとしてロココさん?

「カイト、叡智の箱は―――」

「「「カイト!」」」

「おぉ三バカっ! やっぱ無事だったか!」

「「「こっちのセリフだバカ野郎この野郎!」」」

「痛ぇよバカ! 腹を殴んなってぇの!」

 ったく、竜人族バカ力なんだから気を付けろよなぁ。

「おいカイト……陸人は? 寝てんのか?」

「陸人は……立派だった。自慢の弟だ」

「は?」

「おい……こんな時に笑えねぇ冗談はやめろよ」

「に、兄さんたち……………」

「「なんだよルルル」」

「陸人が、息、いき…………して、ないっ」

「「―――っ」」

「落ち着け三バカ。陸人は大丈夫だ。世界を救った褒美に、この星の神々が全力で陸人を助けてくれるって約束してくれた」

「お前…………なに言ってんの?」

「ハルル?」

「おぃおぃおぃおぃおい! お前ぇ、その神とやらの寝言を信じてんのか?」

「当たり前だろ?」

「ふざけてんじゃねぇ! 陸人がっ……陸人が死んじまってんじゃねぇか!」

「だから―――」

「ハルルに同意。お前、弟を目の前で殺されてなにヘラヘラ笑ってんだよ?」

「違っ」

「ハルイルに同意。カイト、陸人がかわいそうだよ…………」

 な………なんだよそれ。

「お前らに…………お前らに何がわかんだよ?」

 オレが悪ぃのかよ。

「オレに選択肢があったわけじゃねぇんだよ! オレが陸人を死なせたいわけねぇだろ! 好きでこんな未来選んだわけ……ねぇ、だろ」

 なんなんだよ。

 クソっ。

「ならお前らならどうしたんだよ? 陸人が死ななきゃ、陸人も世界も滅んでたかもしんねぇんだぞ! お前らなら救えたのかよ! 陸人も! 世界も! オレのことも救ってくれたのかよ!」

 オレは悪くない。

 オレは悪くないっ。

 絶対に、絶対に悪くない………。

「あ? 陸人が死ななきゃ世界が滅んでただぁ? なんでお前にそこまでわかんだよ! 」

「ハルルに同意。陸人が死ななくても世界は無事だったかもしれねぇだろ?」

「ハルイルに同意。世界を救えるかなんてわかんないけど、目の前の陸人を救うことはできたでしょ?」

「―――っでもオレには予感がっ」

「お前の予感が冴えてたのは認める……けどこれは……………違うだろ」

「―――それに神だってっ」

「なに寝ぼけてんだよ……お前は神なんて信じてねぇっていつも言ってたろ?」

「―――っでも」

「カイト。俺もハルルに同意。これは違う」

「…………ルルルもか?」

「うん。兄さんたちに同意」

「そっか………………そうかよわかったよオレが間違ってたんだよな。あ、そっか。そうだよな。今ごろ世界が滅んでてもオレは責められたもんな。や、陸人が救われなくてこんなに責められるくらいだもんな。世界が滅んだら責められるどころじゃ済まないよな。どっちにしてもオレの未来最悪ってことじゃん…………ならオレはもう誰も救わない方がいいってことだよな!」

「「「……」」」

「世界を救ったのに感謝もされねぇ! なのに救えなかった命の非難は全部オレ宛! ならもういい……………こんな世界なんて滅んじまえばいい」

『カイト様っ、なりませんっ! それ以上は―――』

「いいんだよロココさん! オレはもうこんな世界に未練はないっ……あの時、陸人を連れて逃げればよかった……こんなことなら世界を見捨てて逃げればよかったんだ!」

 そうすれば陸人は生きてた。

 神に頼るなんてリスクを冒さずに済んだんだ…………。

 みんなに責められることなんてなかったんだ………クソっ。

『やぁカイト……今のは君の本心かい?』

『うむ。汝の本心か?』

『カイトがそれを望むなら……我は覚悟を決めるじゃん?』

『フフフフフ。カイトを傷つける世界…………美しくないわね』

『カイトが望むなら、私も反対しないわ』

『……パパをイジメる世界なんて大嫌いなんだからね?』

「神々よ! オレの気持ちは決まって―――――――」

『―――待つんだカイト。神々も。落ち着いて』

 その声は……引きこもり神?

『何かがおかしい……』

 おかしい?

『あぁ。三人の言動はかつてこのオレを(さいな)んだ過去の記憶とシンクロしすぎてる』

 どういうこと?

『オレが引きこもりになるきっかけを与えた出来事とほぼ同じことが今、カイトと三兄弟との間で再現されつつあるってことだよ』

 つまり………何者かがオレを操ろうとしてるってこと?

 オレに世界の滅びを願うよう仕向けてるってこと?

『あぁ。ここにいる神々はカイトのためなら本気で世界を滅ぼすだろうからね』

 つまり―――敵はまだいる、のか。

『三兄弟も操られている可能性が高い。いや、あるいは―――』

 三兄弟の完コピ、か。

 うん、よくよく考えてみれば……確かに変なんだよ。

 ヘンゼルさんやカグヤさんはどこだ?

 なんで三バカと一緒に到着してない?

『神々の目を潜り抜け、カイトを欺ける者……………間違いなく神だろう』

 あぁ。そんなの神以外にいないよな。

 しかも………とんでもないレベルってことじゃね?

『同意。ここに居る神々もオレの意見に同意してくれている』

 わかった。

 あ、さっきの取り消しで!

 オレはこの世界の滅亡なんて望んでないです。ごめんなさい……。

 てかオレ、危う過ぎっだろ。

 三バカにも申し訳ねぇし。

 アイツらがさ、オレの話を聞かずに一方的に攻めたてるなんて………しねぇよなぁ。

 こんな当たり前のことに気が付かなかったなんてなぁ。

 オレが冷静じゃなかったってことだけど。

 でも、敵はオレがカッとなるところを………オレが罪悪感を抱いてる陸人のことを巧妙についてきやがったってことだ。

「おい三バカもどき………オレはこの星の破壊を望まない。これ以上は無駄だ。偽物は失せろ」

「「「カイト?」」」

「無駄だ。オレの結論は出た。つまりこれ以上騙そうとしても、お前にはメリットがない。それでもまだこの茶番を続けたいなら付き合うぜ? 本物の三バカが合流するまで、な」

「「「………………」」」

 おぉ、消失しやがった。

 やっぱ三バカの完コピだったか。

 ふむ。

 ふむふむ。

 もしアレがナナちゃんの完コピだったらもうちょっと茶番にお付き合いした件については、黙っておこっと。

『……………』

 あ、しまった。今、神々がオレの心を読んでるんだっけ。

 なんかすいません………。

『いや、いいさ。その謝罪はオレにブーメランな気がするから』

 そうなの?

 てかなぁ、引きこもり神さんよぉ。

『なんだよ?』

 敵に関する情報が圧倒的に少ない。

『あぁ』

 敵は誰なのか。なんのためにこの星に進行してきてるのか、どれくらいの勢力なのか……。

『あぁその通りだ。つまり今回、敵の神を捉えられたことの意義は大きい』

 あぁ、頼んだぜ?

 なにより陸人のこと、だ。

 頼んだ。

 信じてるからねロココさん!

『恐縮です』

『え? オレは?』

 それにしても敵の巧妙さ―――思い出すと腹立つなぁ。陸人のことを利用しようとしたことも、三バカとオレの友情をぶっ壊そうとしたことも……許せねぇ。

 あ、よくよく考えたらあの偽三バカ、神々への不信感を煽ってもいやがる。

 一挙に三得を目指してたってわけだ。

 なかなかに賢い系の神じゃん。

 でも、だ。

 相手が悪かったな?

 そして攻め方が最悪だったな?

 見知らぬ神よ―――お前はオレを本気で怒らせたぞ?

 このツケは絶対に払わせてやるからな。

『なぁなぁ? だからオレは?』

 


今日もありがとうございました!

世界樹攻略編、もうちょっと続きます。

ボチボチお付き合いいただけたらありがたいです!

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