第21話:新米パーティ
「けっ! ガキがウロチョロしてんじゃねぇっ」
アカデメイアの食堂。
煮込んだ肉料理を入れた配膳用の大鍋。
それが宙を待って――――中身が全て床にこぼれた。
「兄さん!」
「カイト!」
弾き飛ばされただけ。だから大丈夫。
「ん、平気平気」
ただ。
二日も煮込んだ料理が全て、台無しになっただけ。
「親の七光りが仲良しこよしってか? ギャハハハハ!」
陸人とイルルが声の主を睨みつける。
「あ? ふざけんなよドワーフのおっさん」
イルルが眉間に皺を寄せる。
「ダメだよイルル。バカには話が通じない」
陸人がさわやかな笑顔で煽る。
「こんっのクソガキがぁ」
「あん? 舐めた口効いてんじゃねぇぞコラ?」
「礼儀も知らねぇのか? ったく七光りはよぉ」
ブチ切れたおっさんに味方するように、周囲にいた三人が立ち上がってにじり寄ってくる。
「おぃ、ドワーフのおっさん」
間に入ってきたのはハルル。おっさんたちの手前に箸を放り投げた。
「……そっから先に入んな」
「あん? まさか脅してるつもりか?」
おっさんたちに怯んだ様子はなさそうだ。
はぁ……めんどくさい。
「おっさんマジか? これ以上近づけば――――」
「―――あぁ。無傷で済む保証はしねぇぞ?」
ハルイルコンビ、そして陸人がスッと腰を落とす。
竜人族がこの姿勢をとったってことは……本気だ。
「ガキがよぉ。いつまでも調子に乗ってんじゃねぇぞ?」
たった一歩。
けれどもそれは、さっきハルルが威嚇した箸の内側だ。
三人は即座にオーラを解放する。
ハルイルコンビの竜種は青龍。そして陸人は―――氷龍を選んだ。
青いオーラと冷気のオーラが立ち上り、周囲の空気を支配していく。
「―――っ⁉」
絡んできたおっさんたちも、さすがに慌てて武器に手を伸ばした。
ドワーフ族は金属の精錬に長けている。
青白く光ってるってことは、おっさんたちのハンマーやソードはミスリル製ってことだ。それも、なかなかの精錬度らしい。
「おぉ‼ 見ろよ! あっちで救星のガキどもがケンカを始めたぞ!」
食堂に響き渡った声が、周囲の注目を更に集めた。
「うぉぉぉぉ! さっさと始めやがれ!」
「クソガキどもなんて叩き潰しちまえよ!」
つられた冒険者たちが、テーブルによじ登って野次を飛ばし始めた。
ドン―――ブーツの踵を誰かが床に叩きつけた。
それに同調する人々が、床に踵を叩きつけていく。
煽るようにテンポが速くなって、食堂全体が震え始める。
「―――っ⁉」
騒ぎがデカくなりすぎた。
これはもう、お互いに引くに引けないな。
「死ね! ガキども!」
ハンマーをかかげたちょび髭のドワーフに、すっと正面から対峙したのはハルル。
片手でハンマーを受け止めて、流れるそうな正拳突きを放つ。もちろん、おっさんは盛大に吹っ飛んだ。
「ぎゃあぁぁぁあ!」
テーブルや野次馬たちも、巻き込まれて吹っ飛んでいく。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ…………」
いや一体、何メートル吹っ飛んだわけ?
「なっ⁉ こ、このクソガキ!」
ひげ無しドワーフのおっさんが降りぬいたソードをするりと交わして。獲物を手刀で払い落したのはイルルだ。
「ったくガキガキうるせぇなぁ。ボキャブラリ増やせよ?」
そのまま放った裏拳で、おっさんは膝をついて倒れこんだ。
「ぐふっ……ぉえっ」
あ~ぁ。
かわいそうに。二日はまともに食事できないだろうな。
ご愁傷様です。
「こんのクソ野郎! バカにすんじゃねぇぞ!」
ハンマーの先についた槍のような切っ先が、陸人に向かう。
半身をずらした陸人はハンマーの柄と掴んで、全身に力を込めた。
おぉ、鍛えてんなぁ。
だってハンマー、ピクリとも動かないじゃん。
この努力家イケメンめ。
「……謝れ」
「うるせぇ!」
「兄さんに謝れ!」
陸人…! 兄さんのためにそこまで怒ってくれるなんて。
ありがとうな。
「謝れよ!」
ハンマーの柄を持ちあがって……いかついドワーフのおっさんの足が地面から浮き上がっていく。
マジで怪力じゃん陸人。怒らせないようにしよっと。
あ―――ヤバっ。
陸人の背後から無言でおっさんが……
「陸人!」
「おぉ!」
陸人に背中に、思いっきり自分の背中を預ける。
「―――っ⁉」
「残念でした!」
おっさんが抜きかけた剣の柄を、足の裏で抑える。
逆の足で顎を蹴飛ばしながら。
「クハハ! もらったぁ!」
今度はオレの横からもおっさん。
いや、おっさん多すぎじゃね?
でも……大丈夫か。
おっさんドワーフに、ニヤリと微笑みかけてやる。
「こっちのセリフだっての」
深く沈み込んだルルルは床に背中を預けて。
おっさんの股間を下から蹴り上げた。
「―――うっ⁉」
わかる。
わかるよおっさん。男ならみんな、うっ⁉ってなるよ。
ご愁傷さまです。敵とはいえ同情するよ。マジで。
しかも股間を両手で抑えながら、天井近くまで浮かび上がっちゃったし。
うん。恥ずかしいだろうな。
「受け止めてやるからな?」
ルルルがスッと、天井に向けて脚を伸ばした。
ま、まさかルルル……おっさんを足の裏で受け止める気か?
股間は避けてやれよ?
マジで避けてやれよ?
「――――おぉぉ」
男たちのどよめきが広がる。
さすがに股間を避けてあげたか。会場の男どもはみな、ホッとしたに違いない。
「フフフ。とどめよ?」
そして―――横笛を吹いたナナちゃんが、全てを終わらせる。
ドワーフたち、そしてやじ馬たちを次々と眠らせていった。
「フフフ。私たちは七光りよ。でもそれがどういう意味かは……わからないのね?」
ナナちゃんが微笑みながら周囲の人達にゆっくり語りかける。
「あぁ。オレらがガキの頃から見て、学んで、教わってきたのが一体、誰なのか。わかってるようで、理解してはいないみたいだな?」
オレのほほ笑みで、やじ馬たちは理解できたようだ。
これはオレたちからの、けん制だってことに。
ガキの頃から見て学び、戦って学び、語って学んできた相手が救星だとしたら、ちょっとやそっとの実力差でオレたちが怯むことはないぞって、ちゃんとわかってもらいたい。
…………
……
…
不気味な緊張感が、食堂に沈黙を生み出していく。
「お見事!」
一人の冒険者が、大きな拍手をした。
それにつられるように食堂中に拍手と歓声が響き渡っていく。
眠りこけたドワーフを回収しながら、同じグループのパーティが謝罪の言葉を述べてくれる。
それをオレたちは握手で受け入れて、騒動の幕引きって流れだな。
けど、見逃しちゃいけない奴がいる。
「あの、ありがとうございました」
立ち去ろうとした長身の男に、大きめの声で話しかける。
「ん? 僕のことかい?」
見知らぬ海人族の青年に話しかけると、戸惑ったような表情を浮かべた。
残念なことに、美しい水色の長髪をしたイケメンさんである。
「えぇ。拍手してくれましたよね?」
食堂中に、救星のガキがケンカしてるって。
「あぁ! 優れた若手は大歓迎だからね」
「ありがとうございます! おかげでみなに、オレたちを認めさせることができました」
「いや、礼を言われるほどのことじゃないさ」
「でも、あなたにとって一番利得の低い結果になっちゃいましたね?」
ニコリと微笑みながら握手を求める。
差し出した手は払われることなく、握手は受け入れられた。
「利得?」
「えぇ。オレらがアイツらに潰される、最悪でもオレらが逃げ出すことを期待してたのでは?」
もう一度ニコリと微笑むと、イケメンは苦笑を浮かべた。
「あるいは困ったオレらを助けて恩を売るつもりだったとか?」
オレらじゃなくて、父さんたちに恩を売るってところが本命かな。
「たしか、『オィ‼ 救星のガキどもがケンカを始めたぞ!』でしたね。煽ったのもアナタでしょ?」
「はぁ……ったくガキが。かわいくないなぁ」
「お褒めに預かり光栄です」
「だが、勘違いしないでほしいんだけど?」
イケメンの視線が急に鋭くなった。
「勘違い?」
「あぁ。君らごとき、潰す価値も利用する価値もないんだよ?」
フフフフフ―――そう楽しそうに微笑んだこのイケメンは、間違いない。
オレらの敵だ。
「三回。何の数かわかるかい?」
「えぇ。あなたがオレをねらった回数ですよね?」
「……へぇ」
「五回。何の数かわからないでしょう? オレがわざと隙をつくった数です」
「はぁ? なら実は、僕は十回だっ―――」
青髪のイケメンの後ろから緑髪のイケメンが出てきて。
コツンと、青髪を叩いて黙らせた。
「すまないな。うちのリーダーの非礼を詫びる」
「もがっ!」
青髪が口を押えられながら仲間たちに引きずられていく。
「よい出会いに感謝を」
「うん。こちらこそ感謝しよう」
緑髪イケメンの謝罪を受け取りながら、心の中で安堵する。
あの人たちがケンカ相手だったら、数秒で片が付いていたと思う。
オレらの完敗だったろうな。
「兄さん」
「あぁ。あの人たちは―――」
父さんたちの【ラグナロク】に所属するトップチームの一つ。【深海】だ。海人族を中心とした、パーティランクSの冒険者たち。
リーダーは確か、個人でもランクSだったハズだ。
名前は確か―――
「ゴーシュさん、だったと思う」
リーダーが引いたと同時に、周囲からも敵意が引いていった。
【深海】のメンバー、いやその弟子たちか? けっこうな数が野次馬に混じってたってことか。
「あ、それよりも陸人。ナナちゃんを外に連れてってくれない?」
「ん? あぁ、わかった!」
「ガウェインも。護衛に付いていって」
「承知しました」
スッと顕現したガウェインが、陸人とナナちゃんの手を取って。光球になって飛び去った。
きっとナナちゃんは、怖かったろうと思うんだ。
でも、オレたちパーティが舐められないように頑張ってくれたんだよ。
だから今、涙を堪えてるんじゃないかなって思うんだ。
多分、だけどね。
「で、お前は行かなくていいのか?」
「うん。陸人とガウェインの方が、ナナちゃんは落ち着くだろうからさ」
確かに付け入るチャンスなのかもしれないけど。
オレの恋愛より、パーティメンバーのメンタルヘルスの方が、はるかに重要だ。
だから……ここは陸人とガウェインが適任なんだよ。
「オレなら大丈夫だって!」
ニシシっと笑うと、イルルがため息をついた。
ハルルが頭をグリグリ撫でてくれて。ルルルが煮込み料理に両手を合わせて供養してくれた。さすがルルル! 食材に悪いことしちゃったもんな。
「よっしゃ!」
気を取り直していこう。
「まだまだ料理もある! 客を待たせないようにしようぜ!」
「「「おぉ!」」」
調理室に駆け込んで、配膳用の鍋に食料を移していく。
「こっちの蕎麦早めにな! あとピリ辛スープも追加で!」
「あいよ!」
ルルルが両手に巨大な鍋を抱えて、軽やかに棚へと向かう。
さすが怪力!
頼りになるなる!
「カイト! 白米が足んねぇ!」
「あと二分で炊き上がる! そしたら頼むな!」
「おぉ!」
ハルル。なんだかんだで頼りになるんだよな。
全体を冷静に見ててくれるんだ。
「デザート追加でつくっといたぜ?」
「サンキュ! イルル最高!」
「ったり前だろ?」
イルル、実は料理が上手な件。初めて知ったけど。
細かいことにこだわれるってカッコいいよな。
「追加でフルーツ寄越せってさ!」
「ルルル!オランジの実、その箱から持っていって!」
そう。何を隠そう。
オレたちのパーティは今、アカデメイアの食堂で出店してる。
今、アカデメイアは掃討作戦の参加者に、施設を無料で貸出しているんだ。高名なパーティの多くは、宿は別らしいけど。
無名のパーティは、アカデメイアの教室や食堂で寝食している。
これはチャンス! ってことで、食事を安くうまく大量に提供するって約束をして、出店を許可してもらったんだ。学長の北斗おじさんに。
もちろん、借金返済のためにね。
あと、新米パーティだから顔を覚えてもらうためでもある。
ここで名前と顔、それに料理の味を知ってもらったら、ダンジョンで助けてもらえるかもしれないし。いざって時にさ。
そしてもちろん、情報収集のためでもあるわけだ。
食堂に集まる色んなパーティを間近で見れるし。装備や会話内容も、勉強になる。
掃討作戦の機会をなるべく、骨の髄までむしゃぶりつくさないともったいない!―――って説き伏せて、三バカ兄弟とナナちゃんにも承諾してもらったんだよ。
ちなみにルルルには賄いで美味いものを食わせるって約束して、ハルルには出会いがあるかもよって個人攻撃を添えながら交渉したらうまくまとまったんだ。
良かった良かった。
「おぃ! カレーくれ!」
カウンター越しに大声で叫んだ客に、反射的に笑顔で振り向く。
「カレーはそっち――――って兄ちゃん?」
「よぉ坊主! 久しぶりだな!」
「え⁉ 来たの?」
「ったり前だろうがよ!」
ガシっと握手を交わして、ブンブンっと大きく揺らす。
「相変わらずだな?」
「兄ちゃんもね」
両サイドに居る謎の美女が、オレにも微笑みかけてくれる。
【ラグナロク】に所属する若いヒュムたちのパーティ。【紫電】のリーダー。父さんたちのパーティに帯同して学んでいた弟子たちが作ったパーティで、若者冒険者の中でもかなりの注目株なんだよ。
そして【紫電】のリーダーが―――この輝樹兄ちゃんだ。
ちなみにモテる。
で、女性にだらしない。「アカデメイアの女? だいたい抱いたぜ?」って言ってた兄ちゃんは、女性問題を起こし過ぎて停学処分をくらったことでも有名だ。
そんな残念なイケメンだけど。
腕っぷしも立つ。
個人ランクAの輝樹兄ちゃんは、オレの憧れの人でもあるんだ。モテるし。
「で、こちらの女性たちは?」
「ん? さっきそこで声かけた!」
「――――あっそ」
このイケメンめ。
ほぼ坊主頭の短髪に大きな黒い瞳。百八十くらいの高身長に細マッチョ。
そして大農家の跡取り息子!
金も実力もルックスもいい。モテないはずがないんだよなぁ。
「聞いたぜ? お前ランクSになって偉業連発中なんだろ?」
「えっと、まぁね。そんな感じではあるよ?」
「ったく強くなりやがって! 掃討作戦、楽しみにしてっからな!」
両手に美女を抱えながらさっそうと帰っていく。
オレが目指したい光景が、今そこに…!
「……久しいな」
「うお⁉ お、お久しぶりです」
まるで影のように気配を消していたのは、輝樹兄ちゃんのパーティメンバー。唯一無二のヒュムとまで言われている大賢者、空さんだ。
目深にかぶったローブの下……その素顔は謎だって言われてるけど。
たんなる人見知りのイケメンだってことを、オレは知ってる。輝樹兄ちゃんと同じくらい、付き合いが長いから。
空さんにも、伝説がある。
魔法が得意なエルフ族との魔法詠唱勝負、百連勝記録保持者。
どちらが早く長文呪文の詠唱ができるかって勝負なんだけど、エルフ族相手に百連勝した記録は、未だに破られてないんだ。
ちなみに、連勝を止めたのは空さんの師匠―――救星の魔導士ヘンゼルさん。
「ほら、土産だぞ」
「あ、ありがとうございます?」
なんだろ? この変な形をしたのって……なんかの野菜?
「あと、輝樹のアホからメッセージだ」
「え? さっき会ったけど?」
「伝え忘れてやがった。自分で言いだしたクセにな。アホだアホ」
空さん……相変わらず輝樹兄ちゃんと仲が悪いんだね。
でもずっとパーティを組んでるってことは、腐れ縁ってヤツなんだろうな。
「星外の魔物の討伐数。これを紫電とホープで競いたいそうだ」
は?
競うって?
「いやいやいや。勝てるわけないでしょ?」
紫電だよ? パーティランクAだよね? しかも空兄ちゃん、ほぼほぼSよりのAだったよね?
「希望が勝てば女を紹介してやるとのことだ」
「え?」
それはちょっとだけ興味ある。
「紫電が勝てば、カイトと陸人をもらい受ける。どうだ?」
「「「はぁ?」」」
ヤバい。三バカ兄弟がブチ切れる音がした。
「まぁ、そもそもパーティランクBのお前らでは話にならん。棄権するがいい」
「ちょっと待てよおっさん!」
「その勝負、受けて立つぜ?」
「カイトのご飯は譲らない!」
あぁ……なんてケンカっぱやいんだ。
ったく。三バカ兄弟め。
短気なとこはマジでクルドおじさんにそっくりだな。
「承知した。楽しみにしている。そこそこ、な」
スッと、空さんは姿を消した。
魔法かな? てか、いつ何て詠唱したのかサッパリわかんなかった。
「あいつ等、カイトじゃなくて―――」
「あぁ。俺らにケンカを売りやがった」
「カイトの足を引っ張ってんのは俺らだって言いやがった」
ランクB、確かにそう言った。
オレらがパーティランクAを目指すなら、オレ以外のメンバーが個人スコアを向上させなきゃいけない。
つまり、三バカ兄弟の言った通りってことになるか。
「まったく」
空兄ちゃん、相変わらず過保護だよな。
オレと陸人を【紫電】のパーティに加えて、近くで守りたいんだろうけども。
オレたちはもう大丈夫だってところを、見せつけてやんないとな。
「オレはお前らのこと頼りにしてるぜ?」
ニシシっと笑うと、三兄弟もニシシって笑いながら、さっとエプロンを脱ぎ捨てた。
「あれ?」
「親父に修練付けてもらってくる!」
「―――そうですか」
ヒラヒラと手を振って三バカ兄弟を見送りながら、嫌な汗をかく。
掃討作戦は明後日からだけども。
つまりオレ、今日と明日、ひょっとしたら一人で店開くことになるわけ?
「あ、アーサー!」
「お呼びでしょうか?」
「りょ、料理! 手伝ってよ!」
「承知しました。お困りなら、光の精霊を追加で何体か召喚してはいかがでしょうか?」
「え? 光の精霊って料理できるの?」
「多くの個体が、それに秀でた職務についております」
精霊が? 職務? てか普段何してんの? どういうこと?
「適任の上位精霊。そうですね―――」
+++
「兄さん、お疲れ!」
「おぅ!」
「お店どうなった?」
「へへへ。バカ売れ!」
結局、アーサーの提案に乗っかって五体ほど召喚してみたら―――超絶有能だった。
光の精霊って、どうなってんの?
料理はできるは、盛り付けや配膳、接客もできるはで、大活躍してくれた!
それに羽の生えた小人みたいな愛くるしい見た目!
おかげでかなりの集客効果もあったし、仕事率アップで売り上げも大幅アップ!
「で、稼ぐ以外の目的は達成できそうなの?」
「まぁ……多分」
美味い飯を創る小人を操る喧嘩っ早い無鉄砲なルーキーパーティ……【希望】。
ふむ。
まったくモテる気配がしない名前の売れ方だな。
「あと【紫電】にケンカ売ったって噂を聞いたけど?」
「はぁ? 逆だよ逆!」
「で、負けたら【紫電】に行くの?」
「どうだろ? これは……三バカ兄弟のプライドの戦いだからな」
「そっか……そうだね」
はぁ。
名前の売れ方、広まり方が予想外の方向に行ってる気がするなぁ。
それになぜか、【深海】にも嫌われてるっぽいし。
調実力派【深海】と注目株【紫電】にケンカを打った美味い飯を創る小人を操る喧嘩っ早い無鉄砲なルーキーパーティか。
う~ん……まったくもって、困った展開だ。
「あと、ホープはラグナロクにケンカを売ってるって噂もきいたよ?」
そっか。
そうなっちゃうか。
「――――今のはホープ終了のお知らせ?」
「はははははぁ……そうかもね」
陸人も顔は笑ってない。
【紫電】といい【深海】といい。父さんたち【ラグナロク】グループの有名パーティだもんな。
ラグナロクに、つまり【救星】パーティにケンカを売ってるって思われちゃうか。
ヤバい。
掃討作戦……圧倒的アウェイ?
ありがとうございました!




