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やがて再び神となる少年は恋愛に夢を見すぎている   作者: ゆうと
第Ⅰ章:アカデメイア
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第9話:ダンジョンサークル

 

「痛っ」

「てめぇら! そこでぼさっとしてんな!」

 いかついおじさんたちの集団。荷物を両手に抱えている。

 急ぎ足の商人だろうか。とりあえずゴメンと言うと、目を見開いた。

「いや、、、すまなかったな」

 ぶつかったおじさんたちは、いそいそと去っていく。

 よくあるパターンだ。

 きっと後ろにいる父さんを見つけたんだろうな......


 今日はダンジョンサークルの初日。

 文字通りダンジョンで活動するサークルだ。

 アカデメイアの卒業生はダンジョンに関わる仕事に就く。だからこそ実践的に学ぶためのサークルが設けられた。準備からダンジョン探索、帰還後のケアやドロップアイテムの換金なんかを体験しながら学ぶことになる。

 大事な活動をしている割には歴史の浅いサークルなんだ。なんでも新任のディーテ先生が学長に直訴して始めたとか。多分、北斗おじさんがデレデレして快諾したんだろうな。

「じゃあ今日からよろしくね。フフフフ」

「はい!!」

 ディーテ先生。今日もお美しい。先生がいるだけで世界が眩いです。

 ダンジョンだって、きっといつもの何倍も綺麗に輝くと思う。


 しかしよく見ると、たくさんの人が集まってきている。

 まるでダンジョンが新装開店したとき。あと攻略者が出たときみたいなにぎやかさだ。

 ダンジョンの入り口がある洞窟前にも冒険者がたくさん押し寄せている。

 それに出店までたくさん。飯屋に、アイテム屋。武器屋、あとヒント屋まで。このダンジョンには、だいたい十階層ごとに知の門番が存在している。スフィンクスと呼ばれる魔物だ。この魔物の問いに答えられないと、先に進むことができない。

 だからこそ、過去の問題と回答例は高値で初心者に売り出されるわけだ。

「なぁなぁ。今日なんか祭りでもあんの?」

 ハルルの質問の答えを、オレは指さす。

 父さんと、、、ディーテ先生。さっきから楽しそうに会話している。

「まさか本当に来てくださるなんて。フフフ」

「もちろんですよ!」

「私も心強いですわ」

「光栄です! それにしても先生がいるとダンジョンも輝いて見えますね」

 救星の勇者がサークル活動に同行する…… この噂を聞きつけて、ダンジョンの入り口には人が集まっている。新米っぽい若い冒険者もたくさんいるようだ。

 まぁ、、、それもそうか。

 救星はいつもダンジョンの深層にいる。だから今日はチャンスだ。浅い階層で救星の勇者が見られるかもしれないのだから。この機会を救星ファンの冒険者たちが逃すはずはない。

「あの、、大和さん! 握手してください!」

「あぁ。もちろんさ」

 いつもより二割増しのイケメン表情を作って握手に応じた父さん。握手をしながら肩を叩いて挨拶している。

 声をかけてきたパーティの名前は【聖火】というらしい。

 若いヒュム、獣人族の青年。そしてエルフの女性が二人がメンバーのようだ。どうやら若いヒュムと獣人族の青年は、アカデメイアを卒業したばかりらしい。

 そして、どうやら二組のカップルパーティのようだ。手を繋いでいるし...... 羨ましいな。

 ダンジョンで危険を共にして、互いを助け合って深まる信頼関係。やっぱ恋人とパーティ組むっていうのが理想だよな、うん。

「あの、、、俺らお願いがあって」

 ヒュム族の青年が【パーティプレート】を父さんに差し出した。パーティリーダーとメンバー、その合計スコアとパーティランクが刻まれたスコアカードだ。パーティ結成の証であり、国境を超える通行証でもある。

 そして、グループ所属の証にもなる。

 父さん、母さん、クルドおじさんにロダン兄ちゃんたち救星メンバーは、この星で最高戦力と言われる【ラグナロク】の代表パーティだ。

 代表パーティにパーティプレートを受け取ってもらえれば、【ラグナロク】に所属していると公言できる。この恩恵はでかいらしい。贔屓(ひいき)にしてくれる商人ができたり、困った時にはグループから様々な支援を受けられたりする。

 経験豊かな他のパーティからサポートしてもらえる。ダンジョン攻略のアドバイスを受けられるし、病気やケガの回復なんかも支援してもらえる。

 その代わり、自分たちも他のパーティを支援することが求められるわけだ。

「あぁ。もちろんさ」

 父さんが【聖火】のパーティプレートを受け取り。【ラグナロク】の所属書を手渡す。

 ラグナロク、特に父さんはヒュム族の初心者パーティを積極的に受け入れている。

 強いパーティを勧誘して武力を高めるためじゃない。若いパーティを助けるために作ったグループだからと、いつも言ってる。

 こういうところはちょっとカッコいいと思うんだ。

 家ではただの裸族だけど......

「【聖火】に洞窟の女神様のご加護があらんことを」

「はい! がんばります!!」

「お、俺らも!! 俺らもお願いします!!」

 【聖火】だけじゃない。

 父さんは【雷刃】と【雪月花】っていうパーティのグループ加入も受け入れた。

 涙を流して喜んだり、ガッツポーズをしたりして喜びを爆発させている。

 父さんってやっぱり人気者なんだよなぁ。ちょっとイラっとするくらいに。


 そして人が集まっているもうひとつの理由。

 それはディーテ先生だ。美しすぎる教師として早くも街中で超有名。

 今日、果物屋や薬師が店を開いているのはディーテ先生を見るためだろうな。仲良くなろうと考えているやつもいるかもしれない。

 だって、店主たちからの貢物で先生の鞄は既にパンパンだし。

「……マジで異次元の美しさだよな」

「ハルルはペルシャ先生命だろ?」

 ニヨニヨしているハルルの頬をつねって抗議する。ディーテ先生はオレの先生だからな。

「みんな揃ったかしら?」

「はい!」

 大きな声で返事したらイルルに頭を叩かれた。お前メンバー知らないだろって。

 確かに知らないけど。きっとみんないる気がする。

「今日の参加者は、、、」

「すいません! 遅れました」

 え!? その声は……ナナちゃん!

 アネモスからフワリと飛び降りた美人三姉妹。キキさん、ナナちゃん、ララちゃんだ。今日は純白のローブに身を包んでいる。しっかりと目に焼き付けておこう。

 先生に謝ってる申し訳なさそうな表情も…… いい。


「後は…… 上級生がまだね」

 ディーテ先生が美しく微笑みながらファイルを閉じた。上級生はおいて行きましょうと微笑んだ。

 なんとなく、ちょっと怒っている気がするのは気のせいだろうか。

「じゃあ今日の目標は第五層にしましょう」

 先生が入り口に向かう。すると人混みが綺麗に二つに割れていく。

 そして片膝をついて貢物を差し出している。それをなぜか父さんが回収。あ、父さんが持ってる鞄、ディーテ先生のだ。

 その様はまるで【救星の荷物持ち】だ。

 恥ずかしすぎる異名だけど、しっくりくるよ父さん……




 +++




「洞窟の女神に挨拶を捧げましょう」

 壁画に祈りを捧げて洞窟に入るわけだけども。

 やはりイラっとする。ドヤ顔してる気がするんだよなぁ。祈ったらオレの負けな気がしてしまう。

「ちゃんと祈れよ?」

「……うん」

 父さんと一緒に片膝をついて祈る。

『苦しゅうないぞ? もっと僕を敬うがいいさ!』

「‼? 父さん今の聞こえた?」 

 今、女神が高笑いしている声が聞こえてきた。

「いや。何も聞こえなかったけど?」

「そっか。ならいいんだ」 

 周囲を見渡してもオレ以外は反応していない。

 神、という目に見えない存在。

 直接オレに話しかけてきたってことだろうか……

「行くぞ?」

「うん」

 振り返って仰ぎ見る壁画はいつもと変わりない。いつものイラっとする感じのままだ。

「一緒に潜るのは久しぶりだな」

「そうだね」

 世界を旅してた頃。

 近場のダンジョンに潜って父さんと魔法やバトルの練習をしたっけ。

 浅い層だったけど。たくさんのことを教えてもらった。

「お手並み拝見、だな」

 肩をポンポンっと叩かれて、ハッとする。

 そうだ。オレはランクSだったんだ。

 ここは父さんより活躍してやろう。そうしたらディーテ先生もオレを頼ってくれるようになるかもしれない。

 あとナナちゃん! ナナちゃんもオレを見直してくれるはず! そしたらオレの念願が叶う! モテモテのアカデメイア生活がここから始まるわけだ。

 父さんには悪いけど。ここは息子のために踏み台になってもらうとしよう。

 よっしゃ! やる気出てきた!!




 +++




 おかしい......

 こんなはずじゃなかったのに。

 父さんは美人三姉妹の担当。そしてディーテ先生は三バカ兄弟の担当。オレは一人で放置されている。

 ダンジョンの巨大な部屋で。

 一人、壁際にポツンと座っているわけで。さっきから何回も、一人砂山崩しをしているわけで。無性に寂しいわけで……

 一人でいるのは孤独を愛してるからじゃない。

 近寄るなって父さんに言われたからだ。

 なぜって?

 オレが居ると敵が襲ってこないから。

 それどころか、たまたま接近した敵が慌てて逃げていく。遠くから会釈っぽい仕草をする敵もいた。

「クソっ、、、」

 みんな楽しそうじゃん。

 三バカ兄弟はディーテ先生に褒められてデレデレしてる。父さんは三姉妹にカッコいいところを見せて、さっきからキャイキャイされている。

 その父さんに付いてきた新米冒険者たちも父さんをチヤホヤしている。「スゲー!」とか「かっけぇ!!」って言葉で父さんを大絶賛中だ。

 間違いない。

 やはり父さんはオレの敵側の存在だ。イケメンめ。神様もちゃんと天罰を下してもらいたい!!


「はぁ~、、、やってらんないなぁ」

 ゴロンと寝転がってあくびを大解放してやる。

 ダンジョンでこんな隙だらけの状態になっていいわけないけども。

 でも、どうせ敵は近寄って来ないし。襲っても来ないし。

「おいカイト! そっちにいったぞ!!」

「うぉマジか!! よっっしゃあ!!」

 ハルルの大声で跳び上がる。

 目の前にいる魔物はバジリスクだ。オレの身長の二倍はある蛇。毒の息を吐き、体で獲物を締め付けたり、突進して噛みついてきたりする。

 そこそこ強い魔物だったと思う。ランクDだったかな。相手にとって不足なし、だ!

「かかって来い!」

 自己バフ用の魔法【ファウスト】。

 これをさっと唱えて強い魔物をカッコよく倒してやる。見ててねナナちゃん!

「開幕に歓喜せよ。滅びの音は……え?」

 急に目の前で頭を下げたバジリスクさん。

 口からボトリとドロップアイテムを吐き出した。真っ赤な鉱石だ。

 そっとオレの足元にドロップアイを転がして。

 頭をオレの身体をこすりつけて…… さっそうと去っていった。

「……あれ?」

「いやモンスターにモテてどうすんだよお前」

 ハルルの冷静なツッコミがフロアに響き渡る。

「モンスターに貢がれる男…!」

「ひぃ~、、、マジでウケる!」

 イルルとルルルが爆笑を堪えきれずに大笑い。

 それにつられたナナちゃんもクスクスっと可愛く笑ってる。

 それだけじゃない。フロアにいる三十人くらいが皆爆笑しだした。

 もちろん父さんもだ。

「…… なんでだよ」

 オレはバトルがしたいんだよ!? カッコいいところをディーテ先生やナナちゃんに見せたいんだよ!! 父親を超えたいんだよ……! モテモテ生活を始めたいんだ!!

「あら? 素敵なアイテムをもらったのね。フフフ」

「先生~」

 こうなったらもうディーテ先生に癒してもらうしかない。

 オレがへこむと、いつも頭をそって撫でてくれる。先生大好きです。

 父さんはグヌヌヌヌって唸って見ているしかない。ざまーみろ! さっきの仕返しだ。

「先生、、、これって何ですか?」

「ルビーの原石ね」

「え?」

 貴重な宝石だったよなルビーって。かなりの高額だった気がする。

「そうね。四千万ジェムくらいかしら?」

「うわぁ、、、すげぇ」

 新米冒険者たちがルビーをうっとり見つめている。

「こんな浅い階層で手に入るアイテムじゃないだろ」

 ハルル、ちょっと黙って。

「さすがモンスターに愛される男は違うな」

 イルル、そのキャラ設定推さないで。

「これでご飯いっぱい食べれるじゃん。いいなぁ」

 ルルル.....

「六千万ジェムの借金返済に使うよ」

 これで残り二千万か。この調子ならなんとかなりそうだな。

 もうお金の感覚がおかしくなってる気がするけども......

「返済計画にも明るい未来が見えてきたな」

 そう言って父さんが笑った瞬間、、、部屋の空気が変わった。


 冷たくて重い、、、息苦しいまでの重圧。

「ディーテ先生」

「えぇ」

 二人が視線を向けたのは階段。

 次のフロアへと続く階段から、大きなモンスターが姿を現した。

 その瞬間、また部屋の空気が冷たく、、、重くなる。

 オレの気のせいじゃない。

 新米冒険者たちは床に座り込んで肩で息をしている。

 三姉妹と三バカ兄弟もだ。地面に腰をついて震えてる。

「……見たことないな」

「私も、、、ありませんね」

 現在確認されているダンジョンを最もクリアした男。救星の勇者ですら未知のモンスター。

 三つ首の竜に似た何か。大きな赤い目と四方向に開いた口。尖った歯と長く大きな角。四足歩行だけど、巨体を支え切れてはいない。腹を地面に引きずって歩いている。

 父さんが【ファウスト】を唱え終えた。

「あぁ、、、、あぁ、あ、ああああ!?!」

 父さんが動く気配を察知したらしい。

 モンスターが叫んだ。

 まるで花瓶が割れたような鋭く不快な音色が部屋を満たしていく。

 女性の甲高い声。それに不快な男性の唸り声が混じったような音。

 耳に痛みが走る。

 そして唐突に不安に支配される。

 ダンジョンのモンスターが使う【咆哮】って技に似てるかも。

 【聖火】や【雪月花】、【雷刃】のメンバーは意識を失ったようだ。

 サークルメンバーにはディーテ先生が薬を振りかけた。匂いからするに恐怖状態を穏やかにする香草だろう。

「くそっ!」

 父さんはすかさず呪文を変更した。

「途絶えることのなき意志を持ちて、ここに優を示す。苛烈なる火、凍てつく風も我が熱を挫くこと叶わず。我が強健さに屈し、汝の名を明かせ。汝の歩みを明かせ。弱さを照らす光に怯えよ…」

 【エアウォール】、、、防御魔法の一つ。

 空気のような透明なシールドがオレたちを包み込む。

 そして【エアウォール】は解析魔法でもある。敵の弱点を解析する冒険者必須の呪文だ

 父さんは次々に呪文を詠唱して。

 気絶した新米冒険者たちのグループにもシールドを展開していく。

 さすがだ。詠唱がよどみない。かなり強固なシールドになったはずだ。

 ダンジョンだといつもよりちょっとカッコいいじゃんか。

「カイトよく聞け。ここは浅い層だな?」

「うん」

「おそらくあいつはランクA相当」

 その解析結果を聞いて、サークルのメンバーに動揺が走る。

 この階層に出るのはせいぜいランクDだ。Aなんて深層にしかでない。

「ここであいつを見逃したらどうなる?」

「……被害が出る」

 もっと浅い階層にいる新米冒険者たち。そして入り口に集まってた商人や見物客たち。ダンジョンからこいつが出たら、多分、、、みんな殺される。

 だからオレらが魔法でここから脱出することはできない。

「気絶している冒険者たちを見捨ててはいけない」

「うん」

「俺はこれから各シールドの維持にはいる」

 後述詠唱を重ねることで維持するつもりだろう。

「弱点属性は火、物理攻撃に弱い。どうやら首の下あたりの胴体が脆い」

 解析結果に間違いはないはずだ。

 物理攻撃を叩きこむならあの重そうな首根っこあたりか。

 そのためにはあの三つ首の攻撃をどうにかしないといけない。

「なぜお前に伝えているか…… わかるな?」

「……うん」

 ランクSの冒険者はここに二人。

 一人は父さん。そしてもう一人がオレ。

 単純な計算だ。

「オレがアイツを倒す」

 父さんの方が皆の命を守れる。

「任せたぞ。お前の方が絶対に強い。いいな?」

「わかってる」

 自分の方が強いと信じて疑わないこと。

 これがダンジョンで戦う時の心構えだ。ずっと父さんから教わってきた。


「カイト君……」

 そっと袖を引いてきたナナちゃん。

 怖いのかな。

 ひょっとしたらオレを心配してくれてるのかもしれない。

 ここはカッコつけなきゃ。

 ナナちゃんを安心させてあげたいし。

「オレなら平気! モンスターにモテモテだしね!」

 ニシシっと笑って余裕を見せようとしたのに、、、失敗した。

 ナナちゃんの手を握る自分の両手が、ガクガク震えてる。

「クソっ!! 震えんな」

 手を回しても、叩いても、、、震えが止まらない。

「こっち、、、」

 ギュッと頬が挟まれて、グイっと顎を持ち上げられる。

 ナナちゃんと視線があって、、、ようやく気が付いた。

 怖いだろうに、涙を浮かべながら笑顔を見せてくれたことに。

 ずっとオレのことを勇気づけようとしてくれていたんだ。

「陸人君と一緒にご飯食べる約束、覚えてる?」

「うん! 絶対に守るよ」

 約束も。ナナちゃんのことも。

 言葉に出した瞬間、自分が誰のために戦うのか理解できた。

 ここにいる三姉妹のため。三バカ兄弟のため。先生や父さん、新米冒険者たちのため。外にいる人たちのため。

 そして…… 陸人や母さんに会うため。瞳を閉じるとそこに、笑顔いっぱいの陸人と母さんがいる。

 せっかく陸人も体調が良くなったわけだし。もう一度家族で。太陽の下で。腹いっぱい飯を食おう。

 あの時間を思い出すだけで心があったかくなる。

「もう大丈夫。ナナちゃんありがとう!」 

 今度はうまく笑えた。体の震えも止まった。

 そっと手を握り締めるとナナちゃんも安心したように笑ってくれた。

 大丈夫。もう怖くない。

 君のことはオレが守る、、、そう心の中で呟いて。

 集中するために瞳を閉じる。

「開幕に歓喜せよ。滅びの音は我のもの。滅びの声は汝のもの……【ファウスト】」

 自己強化魔法の効果で力が漲っている。心の準備も整った。

「父さん、みんな、、、行ってくる!」 


 勢いをつけてシールドの外に出れば、すぐさま反応があった。三つ首のモンスターはオレの気配を察したらしい。襲い掛かっていた新米冒険者グループからオレへと、標的を変えた。

「おい! 知ってるか?」

 言葉なんて通じないだろうけど。

「オレの家じゃ、しゃもじが壁に刺さるんだぜ?」

 後ろで父さんが吹き出した気配がする。

 三バカ兄弟も笑ったっぽい。

「母さんに比べたらお前なんて虫けらみたいなもんだ」

 言葉に出して、意識的に意識する。

 相手は大したことない。オレの方が強い。


 ランクA相当の未知なる魔物さん。

 悪いけど。踏み台になってもらう。オレがモテモテ学園生活を始めるためのな。






今日もありがとうございました!


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