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47――私の人生そのものかも

 私が過ちに気づいたのは、ほぼすべての材料を混ぜ終えたときだった。


 二月十四日。朝五時に起きたので、家族を驚かせようと決めた。母はお菓子も作れる人なのだぞと、見せつけてやるのだ。

 レシピ本を開け、材料を用意し、下準備を終えたらメレンゲ以外の材料をボウルに入れて――ようやくミスに気づいた。

 生地、やけに硬そう。

 シフォン・ケーキを作っているはずなのに、まるでクッキー生地……。

 レシピを確認……小麦粉をかなり多く入れている……。

 メレンゲを混ぜると生地はだいぶ柔らかくなったものの、とても絹のようなケーキは出来そうにない。どうしよ。

 私は思考停止に陥り、生地を型に流し込み、オーブンに入れた。

 待っている間に弁当用の煮物を作る。お米の炊ける香り、鰹出汁、焼き菓子の甘い香りが部屋で混ざる。ちぐはぐで食欲をそそらない。私の人生そのものだ。


 意外なことに、ケーキの仕上がりは悪くなかった。熱々で食べれば香ばしく、レシピ通りに作れたかと錯覚したほどだ。……冷めてから食べると、やはり粉っぽかったが。門外不出。


「え、作ったの? 食べていい?」

 子は食いついている。

 今日のところは、これくらいでいいか。

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