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39――プリンでお供養
ひとくちプリンに折れたミシン針を刺す。なけなしのデザートだったけれど、冷蔵庫に豆腐がなかったから仕方ない。
本日は十二月八日。針供養の日。折れた針や曲がった針を、柔らかい豆腐やこんにゃくに刺して、お供養する日だ。
実家では毎年やっていたから、独立した今でも続けている行事……なのだけれど、今年は豆腐を用意するのを忘れた。代用になりそうな柔らかい食べ物は、プリンだけ。
「まち針を刺すと可愛いな……」
ぷつりぷつりと刺していく。針が何本も刺さったひとくちプリンは、ハリネズミのような愛らしさがある。
私は針プリンを前に目を閉じ、静かに祈った。
「そそっかしい私を支えてくれてありがとうございました」と。




