17/47
17――300字の演技指導
開幕。
舞台中央にA子、B子がいる。
2人の手には演劇の台本。
A子 じゃシーン9、スタート。
B子 『もう嫌! こんな役……もううんざり!』
A子 カット。
B子 ちょ、早!
B子、バタバタ。
B子 止めるの早いよ! セリフ1個しか読んでないのに!
A子 それそれ。バタバタ怒るのって いつものB子じゃん。B子の役は――脚本家と監督に振り回されながらも仕事をこなす、大人な映画女優だよ? で、この場面は、長く耐えてからの『怒り』。
B子 むずかし……。
A子 役と自分の間、埋めてこーよ。経験と想像力でさ。
B子 了解。
B子、冷めた笑いで。静かに。
B子 ……300字でも『もう嫌。こんな役もう、うんざり』
A子 OK、良くなった!
(幕)
お題元Twitter@Tw300ss様『演じる』。
私は創作時、頭に撮影現場があるような感じなのですが、よくこんなふうに役者(登場人物)に台本を投げられています。




