14――幻想(5) 尻尾の章
最初と最後以外はすべて、動物をテーマにした第4回54字の文学賞『#54字の物語』参加作品です。
■ここだけの話
最近は仕事が忙しく、創作に手が回りません……。
ここだけの話、私『小人派遣会社』を経営してるんです。寝てる間に仕事してくれるあの小人ですよ。実家が靴屋で沢山いたんで、彼らを会社やお店に、こっそり派遣してるんですー。
ただ小人が案外お金にうるさくて、私の儲けは少ないです。
■話が長い
「人間の集中力は8秒。金魚の集中力は9秒。やーい雑魚」
出目金が嫌味を言ってくるけど、8秒以上は聞く気がない。
■六月の花嫁
「六月って結婚式が多くない? まさか人間も天気雨の日に嫁入りしたいの?」
狐の彼女は世に少し疎い。九尾だけど。
■プラス20円で大盛り
居酒屋で猫まんまを頼んだら、従業員が小猫を抱えてきた。
「猫、その、まんまです」
……お持ち帰りオーケーですか?
■鍵尻尾
夢の中、鍵尻尾に、擦り寄られ。
「ニャアーン」
よしよし。枕元に立ってくれて嬉しいよ。起きるまで一緒にいようね。
■猫神様による猫好きへの解決法
「人づきあいを楽にしてください」と猫神神社に頼んだ。
すると人の頭に猫が見えるようになった。
赤ちゃんには猫がいない。
ずばずば言う人の頭では子猫が鳴いている。
『猫かぶり』が見えるようになり人づきあいが楽しくなった。
私には私より大きい猫がのしかかっているのも、なんかいい。




