栞
た。
人間そのものに興味が無い・・・
そう言ってもいい。
俺は俺だけのことで精一杯だった。
だからといって性欲が無いわけじゃない。
自分で処理したり・・・
大学時代の友人と夜の公園で抜きあいっこをしたりした。
大学時代の友人で、
原田充といって、
俺よりも体格のいい男らしいヤツだった。
俺は華奢で・・・
それも俺のコンプレックスで・・・
原田には少し憧れのような気持ちがあった。
人間に興味の無い俺でも・・・
彼の愛撫は気持ちがいい。
それが大学時代から続いている理由だった。
今の職場の中にも、
俺に言い寄ってくるヤツは居たけど、
ピシャリと強い瞳をぶっつけると、
それ以上は誘ってこなかった。
俺には原田が居てくれればそれでいい。
もちろん、職場上の付き合いくらいはしていたけれど。
飲みに行くくらいは・・・
俺を飲ませてあわよくば・・・って考えて居た輩も居た。
でも俺は酒が強い。
これだけはよかった点だ。
大体が俺よりも先に潰れる・・・
俺はその場にそいつらを置きっ放しで帰途に就く。
「バカめ・・・」
俺はため息と共に吐き出す。
原田とのことは、
誰にも知られていなかった。
俺が体を許す相手は彼だけだ。
だからといって、彼のことが好きだとか、
そういう感情ではなかった。
互いに気持ちよくなれる相手。
ただそれだけの、そしてそれ以上に、
それ以上を求めてこない友人。
彼も俺のことが好きとかそう言うのじゃ無いと言った。
彼には彼女も居たし、
俺とのことはただの好奇心くらいに想って居ただろう。
そして、彼とは色んなことを話し合える親友。
ただ一人の・・・親友。
それだけの間柄だった。