栞
俺の名前は栞。斉藤栞。
両親は女の子が欲しかったので、
この名前しか考えて居なかったらしい。
そのままその名前が俺の名前となった。
俺はこの女のような名前が疎ましくてしょうがなかった。
いつも女に間違われるこの容姿も気に入らない。
もう29歳にもなろうっていうのに、
髭も産毛しか生えてこない。
俺の職業は美容皮膚科医。
大学の医学部で6年間勉強をし、
その後医師国家資格を取った。
その後も勉強は続き・・・
臨床初期研修を2年間、後期研修を3年やり、
ようやく今の職場、アサヒ美容皮膚科に就職出来た。
ここでの俺の持ち場は主に、
美容脱毛を受け持っていた。
毎日色んなお客が来る。
女の客には女性の担当が付き、
男の担当は俺に任された。
俺は体毛が薄いので、
彼らの気持ちが分からなかった。
毛があった方が男らしくていいじゃないか・・・
そんな風にも感じていた。
客からもよく質問された。
「君、男?
名前も斉藤栞さんだし・・・
女性みたいにキレイだね。」
「貴方も脱毛してるの?
体毛の無い綺麗な体でいいね。」
俺はその度に適当にやり過ごした。
関心を向けられるのがイヤだった。
俺は男にも女にも興味が無かっ