栞
」
お前に何が出来る?
護られなくても俺は一人でなんとでも出来る。
「お前に護られなくても俺は大丈夫だ。」
「悪いな。お前とはもう二度と会わない。」
俺はそう告げた。
原田は不服そうだ。
「幼稚な抜きあいっこも、もう無しか?」
「ああ・・・お前は彼女が居るだろ?」
「だから・・・彼女よりもお前が大事だって言ってる・・・っ」
お前の言い分なんて聞かない。
俺は俺のことは、
自分でなんとかしてみせる。
お前の助けなんか要らない。
「お前がどう言おうと・・・
俺はお前のこと、諦めない。
お前が俺のこと、認めるまで、諦めないからな。」
突然原田が俺の体を抱き締めた。
俺は突然のことで驚く。
彼から離れようと藻掻く。
「動くな。
俺の気持ちを分かってくれ。栞・・・」
「分かりたくなんか無い。
いいから放せ。」
彼は一層強い力で俺を抱き締める。
俺は藻掻いた。
でも彼の口づけに唇を取られる。
「ん・・・んん・・・やめ・・・」
俺は顔を左右に振って、なんとか逃れた。
どうやら原田の気持ちは本当らしい。
でも俺は・・・
俺の気持ちは無視されるのか?
俺は誰にも捕らわれたりしない。
「やめろ。」
俺は命じた。
原田は、俺に気持ちが届かなかったことに痛みを感じてる。
それは分かる。でも・・・
俺には誰にも・・・誰でも気持ちなど届かないんだ。
だから・・・原田・・・俺の気持ちはお前のものになどならない。
俺は頑なだった。
誰からも影響など受けない。
俺は俺のやり方で行く。
そりゃ、そりゃあ俺だって、
誰かの温もりが欲しい時だって無いわけじゃない。
でも・・・
その誰かはお前じゃない。
お前じゃないんだ・・・