掘りましょう♪
初のジャンルです。甘いところは、スルーしてやって下さいm(__)m
掘ろう〜♪ 掘ろう〜♪ 穴を掘ろう〜♪♪
◇◇◇◇◇
俺の名は、谷田 恭平。独身で、40歳に近い、オッサンである。
俺には、可愛い姪が居て、まあ、充実した生活を送ってる。喧嘩仲間やら、腐れ縁の奴等も居るしな。
…………………そんな俺には今、最大の悩みがあるんだ。
「ねえ、やっぱり、あのカップリングが…………」
「いや、やっぱりそこは………と…………で、………………でしょ?」
「え!? そこは……………と、……………のカップリングで」
「「「キャ〜〜〜〜〜!! それいい!!」」」
てな具合で、職場の女性連中が、ヒソヒソと会話をしてるんだよ。気になって、聞き耳を立てても、僅かに断片が聞こえるだけの、徹底ぶり。気になるだろう?
「フフッ、掘るのは、……………で、……………よね?」
「……………なら、小指で、穴を………」
「いや、………だし、中指で………じゃない?」
「え、親指で、………だから、…………じゃないですか?」
ゾクッとした。今、何か不穏な会話が聞こえた気が…………。
「気のせいだよな…………?」
何だかあそこの女性陣から、不穏な気配がしたような……………。
「あら、休憩時間は終わりですね」
「そうね、この続きは、また後で」
「そうしましょう」
………………何だったんだ? この会話は!! つーか、最後の掘るって、どういう意味だよ!? カップリングとか言ってたよな!? ちょ、待て、その会話待て! 待ってくれ〜〜〜!!?
あ、胃がキリキリする……………。
「あ、谷田さん、どうしたんですか?」
先程の会話をしていた女性の一人に、声をかけられて、何故かビクッとなったのは……………仕方ないよな? あの会話の後なら。
「い、いや、大丈夫、大丈夫だから!!」
「? そうですか?」
あ、危なかった。いや、まさかな? うちの会社に勤めている女性陣が、あの所謂ところの、婦女子、じゃなかった、腐女子な? あれだと誰が思うか!? あ、既婚者も居るし、貴腐人も入れた方がいいか?
うちの会社は、所謂ところの中小企業ってやつだ。だから、あんまり人は居ないんだが……………。同類ばかりとか、あるんだろうか?? だってそうだろ? どう考えても、明らかなアノ世界。めくるめく百合…じゃなくて、薔薇の世界!!!
思わずそこまで考えて、ブルッと震えてしまう。俺はノーマルな人間なんだ……………。まあ、人の恋愛感に口出しするつもりは無いが……………。
だが、腐女子や貴腐人達のおかずになるつもりも無い!!
「しかしなぁ…………」
先程の会話、気になるんだよなぁ。誰のカップリングなんだ? 喧嘩仲間の同僚女子も居たから、間違いなく何かあるはずだ。俺、腹黒いとか言われてるしな…………。まさか、この前の復讐か!?
確かに調子には乗ったが、あれは創作だしなぁ…………。あいつらの顔、面白かったけどさ〜。滅茶苦茶に狼狽えていたし……………グフフ。まあ、姪には悪い事したが。そういや、喧嘩仲間のメル友さんにも、何やら心配をかけたらしく、あいつらに叱られたなぁ。俺のアイディアも、中々のものだったようだ。
「あ、谷田さん…………さっきの会話、聞こえました?」
会話してきたのは、何やら顔色が悪い後輩、霞田である。
「聞こえたが…………と言うより、お前、顔色悪いぞ? 大丈夫か?」
普段から物静かなやつだが、こんなに顔色が悪いのは初めて見る。
「僕、聞いちゃったんです…………カスミとか、薔薇って! カップリングとも!」
………………ん? まさか!
「薔薇って、B…」
「わー! バカ! んな事ここで言うな! な? 聞き間違えだ!」
「で、でも………」
まさか、こいつと誰かをカップリングにして楽しんでいたのか!? 上とか下とか! 攻めとか受けとか!
あ、また寒気が……………。確かに顔だけ見たら、ここは平均から上物が多いからな。彼女達が騒ぐのは分かるが………………。
「きっと聞き間違えだよ! な? 何もないって」
そう励ましつつも、自分がそうであって欲しいと思っている。と、先程の女子メンバーが、楽しそうに笑いながら、すれ違う。
「やっぱり、百合より薔薇よね〜♪」
その会話に、二人でビクッとなったのは、気のせいだ、きっと。うん、気のせいだ。
「きっと、花瓶に生ける花の話でもしてたんだよ!」
無理矢理にそう思う事にした。じゃないとやってらんねーだろ!?
うちの会社には、必ず花が生けてあるんだ。あながち間違いとは言えないだろう??
くそっ、本当にあいつの復讐じゃ無いだろうな!?
思わずギロッと喧嘩仲間を見れば、隣の女子と楽しそうに会話してた。
………………本当に違うんだろうか? あいつはこういう回りくどいやり方なんて、しないはずだよな?
◇◇◇◇◇
その日は、自宅に早々帰った。あの会話が気になって、仕事に実が入らないんだよ。
早々と寝た俺は、ふと気付くと、何故か霧が漂う世界にいた。おかしい、俺は寝ていたはずだ。
ん?? 目の前には、あの女子連中が!?
「やっぱり谷田さんと、霞田さんのカップリングですって!」
お、おい!? 何を言ってんだ!?
「いや、ここはやはり、部長と谷田さんですって!」
「あら、谷田さんと、課長でしょう?」
「「「それいい!!」」」
「あ、小指使うとか?」
「いや、中指でしょ!」
「えー! 親指でしょ〜!」
何を!? 勘弁してくれ! つーか、何で俺の名前ばっかり!?? あと、後半の不穏な会話はなんだ!??
「掘ろう〜♪ 掘ろう〜♪ ほ、ろ、う〜♪ 穴を掘ろう〜♪」
何だか変な歌が流れてくる…………。思わずお尻を押さえたのは、条件反射だ。
「「「掘ろう〜♪ 掘ろう〜♪ ほ、ろ、う〜♪ 穴を掘ろう〜♪」」」
や、止めてくれ〜〜〜〜〜〜!?
悲鳴を上げて逃げたのに、歌が執拗においかけて来る! 気付けば、課長が俺の先にいた……………。いや、洋服は着ていたぞ? いつもの仏の課長だった。思わず泣いたら、何故かまたあの歌が!
「掘ろう〜♪ 掘ろう〜♪ ほ、ろ、う〜♪ 穴を掘ろう〜♪」
だーかーらー!! この意味の分からん歌を、
「やーめーろ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
勢いよく、飛び起きた…………らしい。
目の前には、ぎょっとしてる姪。………………やらかした、らしい。
「谷おじちゃん、大丈夫? 途中うなされたり、泣いたり、最後は叫んでいたし……………」
可愛い姪に、こんなに心配をかけるとは………………。
「すまん、夢見が悪くてなぁ…………ん? それなんだ?」
姪の手には何故かスコップ、そして窓際には鉢植えがズラリ。
「なんだ? って、谷おじちゃん、植えてもいいって言ったから、持って来たんだよ!? まだ寝ぼけてるの!?」
…………………そういや、そんな約束してたな。姪はガーデニングが趣味で、既に、姪の家の庭は、美しい庭へと変貌していた。やりつくしてしまい、更には増えた鉢植えを置く場所にも困り始めた。のめり込んだら一直線だからな…………こいつ。んで、姪が目を付けたのが、うちの庭。両親は庭に興味ねーし、俺もねーから荒れ放題。半年前から、庭を弄り初め、今ではすっかりスッキリした庭になった。
んで、今日は自分宅から持ち込んだ、鉢植えを植えて、楽しむようだ。
つーか、やり始めた姪が、あの夢の中に流れた変な歌を鼻歌にしていたのには、顔が引きつった。
お 前 が 元 凶 か !!!
◇◇◇◇◇
次の日、会社に行くと、何故か女子連中が机を中心に、真剣に話し合いをしていた。
………………言っておくが、あのメンバーである。
「あっ! 谷田さん! いいところに!!」
「は、はい?」
思わずビクッとなったのは、許して欲しい。
「バラと百合、どっちがいいですか!?」
「は、はい〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
何を言いだすんだ!? 俺を何に誘う気だ!?
「ちょっと、それじゃ、伝わらないわよ! 谷田さん、会社の花瓶に生ける花、どっちがいいと思います?」
………………そっちかよ。
「なら、バラがいいのでは?」
顔が引きつりそうになったが、とりあえず無難に会話は終わった……………はずだった。
「ちょっと、恭平! ついでに花壇の相談にものってよ」
喧嘩仲間に無理矢理、引き込まれた俺。机には、付箋の貼られた紙。花壇についても考えていたのか。
「薔薇は、花瓶によく使うし、病気にかかりやすいし、手がかかるから、却下ね…………で、百合は綺麗だけど、背丈が高くなるし、花粉の心配があるから、無し、だから紫陽花までは決まったんだけど、他が決まらなくて」
もしかして昨日から、こいつらが相談してたのは、これについてか!?
…………………はぁ、いらん神経使ったわ。更にはあの悪夢を何度も見て、かなり寝不足気味だ。
くそっ、本当に復讐じゃないんだよなぁ!?
「紫陽花でしたら、カスミソウとかナデシコとか、鈴蘭とかどうです? 今からなら、確か夏の花がありますし、背丈の低いタイプと合わせたら紫陽花が引き立ちますし、レモングラスとかなら、紫陽花の引き立て役にピッタリだと思うんですけど…………」
と、昨日姪が言ってた事を告げると、何故か女子連中の空気が凍った。ん? なんだ!?
「恭平? あんたって、庭に興味あったっけー?」
喧嘩仲間よ、流石、分かっていらっしゃる!
「姪の趣味でな、昨日言われたんだよ!」
と言ったら、素直に納得された。
「そうよね…………花を知らない、あんたが言うから、皆でビックリしたわ」
喧嘩仲間よ、何げに失礼だな!? おいっ!!
「そういえば、あんたさっき、薔薇と百合に、随分反応してたけど、………………そういう趣味でもあるの?」
完全に、場の空気が凍った。一部の奴等は、目を光らせているが、知った事か!!
「んなわけあるか〜〜〜〜〜〜!!? お前は何を言いだすんだ!? このボケッ!」
真っ赤になって言い返したら、こんにゃろう! ニヤリと笑いやがった!!
「そんなにムキになっちゃって〜〜〜〜〜!! やだ、図星だったの〜〜〜〜〜?? あ、真衣にも教えておかないと」
おい、ちょっと待て!? あいつはダメだろっ!?
「おい、本当に違うからな!? 変な事をあいつらに言わないでくれっ!」
真衣には頭が上がらないんだよっ!!? これ以上の問題を打ち込むな〜〜〜〜〜〜〜!!!
「わぁ、谷田さん、そういう趣味だったんですね、道理で結婚しないはずだと思いました」
ギシギシ鳴る首を、そっちに向けると、新入社員の女子がいた。
あ、俺、終わったかも……………。
この日、俺に腹黒い以外の疑惑が上がった。
こんちくしょ〜〜〜〜〜〜〜!! 俺はノーマルだ〜〜〜〜〜〜〜!!!
はじめまして、もしくは、お久し振りです。秋月煉と申します。
えー………、書いちゃいました☆
あくまで風味でしたので、ガチを期待した方、申し訳ありませんm(__)m これが限界でした(;^_^A
実は、怒りと鬱憤を込めて書いたお話です(笑) イヤー、人間、怒りで書けるんですね〜。アイディアを下さった方々、ありがとうございましたm(__)m
これで、反省してくれたら嬉しいんだけどなぁ〜♪ 乙女心を踏み躙った罪は重いのです!!
さて、本日は秋月の連載作品『天と白の勇者達』を同時間、投稿しています。宜しければ、覗いてやって下さいませ〜♪