表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

無題

無題5

作者: 水道水


私は人の心を読めない。

それは当たり前だけれど、結局お姉ちゃんと変わらない。

目を開けたら、幸せになれるかな?

私はお姉ちゃんに聞いたんだ。


「私の心は読めないの?」


目は今縫ってある。繕ってある。

私は理由を知らない。

でも、お姉ちゃんは開いている。

開いていると、人の心が読めるんだ。

私はお姉ちゃんに聞いてみた。


「私の心は読めないの?」


気がついたら、お姉ちゃんが居なくなっちゃった。

何処へ行ったんだろう。

「目」で心を読めば、通じ合うかな。

私は、縫い目を解いた。目は確かに開いた。

でも、お姉ちゃんの心は読めないの。


外に行けば会えるのかなと、散歩に出てみた。

外へ踏み込んだ瞬間、世界が怖くなった。

色々な人の「心」が聞こえる。

膨大な量の「心」が読める。

私は静かにドアを閉めた。


それでも人の心が聞こえる。

心は止まない。

頭が痛くなって来た。

私は電話のコードで首を絞めた。


あれ?まだ聞こえる。

意識は無いのに心が読める。

止めてと思っても止まない。

一生、このままなのかな。


お姉ちゃんが居なくなって一週間が経った。

まだ心が聞こえる。

私は未来への不安感からか、何処かが壊れた。


お姉ちゃんが居なくなって1カ月が経って。

まだ心が聞こえる。

お姉ちゃんは帰ってこない。

私はどんどん朽ちて行く。

意味の無い涙が頬を伝う。


お姉ちゃんが居なくなって1年が経った。

もう嫌だ。

助けて。

助けて。

助けて。

止めて。

止めて。

止めて。


私の「心」は壊れきって、昨日も片眼を潰したよ。

それでも心は聞こえてくる。

毎日それが増えて行く。

それでもお姉ちゃんは帰ってこない。


お姉ちゃんが居なくなって5年が経った。

私は私じゃ無くなった。

壊れてるのにまだ壊れる。

私はもう死んじゃった。

もう要らないやこの体。

赤く錆びきったそのナイフで、私は私の目を刺した。


それでも心が聞こえるの。

助けて。って言ったって、もう死んじゃったからまた今度。

本当は生きているつもりだけれど、それでもお姉ちゃんは帰ってこない。


もう10年が経ったかな。

死んだのに意識があるなんて。

信じられないよこの体。

お姉ちゃんはきっと帰らない。

私は館にひとりぼっち。

想像してみたあの世かな。

それとも現世で生きてるの?

心はまだ聞こえてくるし。

私は私を見つめて言った。


「あなたは私を読めないの?」

後半ラップっぽくなっちゃった

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ