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胖姐看中国  作者: 胖姐
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第九十六話 キャベツでストライキ

中国に進出した日系企業が、一番恐れているのが、ストライキです。

労働者が、待遇を改善するためのやむを得ない行動のはずなのに、なぜか中国政府の政治的意向が裏で強く働いている……(~_~;)。反日思想が流行すると、なぜかあちこちの日系企業でストライキが発生するんですよね~。中国には、某所からの指示に応じて、ストライキを扇動する”工作員"がいるんです。ご存じでしたか?


中国で労働者がストライキに至るには、色々な要因があります。

もちろん給与が低くて、待遇が悪いというのが主な要因だと思いますが、中には、『えぇ~っ?これが原因?(゜Д゜;)』というものもあります。


私の友人のKさんは、中国江蘇省南通市にある工場に、毎月のように出張して経理や総務面の監査・指導を行っています。

ある年の春、工場のオフィスでいつものように帳簿を確認していると、前月の社員食堂の収支報告が目に留まりました。


「……ん?前月はお肉が少なくて、野菜の購入が多かったんだね。」

「あぁ~、Kさん、今年はキャベツが豊作で、市場で安く仕入れられるんですよ。だから、ちょっとでも経費を節約するために、食堂の師傅(こっく)がまとめ買いしたんじゃないですか?」


そんなノンキな会話をしていると、慌ただしい足音がして、総務課の現地社員がオフィスに駆け込んできました。


「Kさん、た、大変ですっ!!作業者が一斉に持ち場を離れました!ストライキです!」


思わず頭を抱えて、”あちゃ~”となるKさん。

とりあえず、その場にいた現地社員に、ストライキに入った作業者達の様子をみて、代表者から要求を聞いてきてくれるように依頼しました。

しばらくして、社員がトボトボと戻って来て、言いづらそうに一言。


「ストライキの原因が分かりました。キャベツです。」

「キャベツぅ??(゜Д゜;)」

「あの……Kさんは知らないかもしれないけれど、先月の社員食堂のお(かず)は、キャベツばっかりだったんです。毎日毎日、キャベツが入った塩味の炒め物ばかり。野菜ばかりで、ちゃんとしたお肉がほとんどなくて……。ウチの社員は若者が多いじゃないですか。だから、ボリュームがないお(かず)は嫌がられるんですよ。」

「……???」

「ストライキしている奴らの要求は、『キャベツはもうイヤだ、肉を食わせろ』です。」

「「「( ゜Д゜)ハァ?」」」


結局、社員食堂の師傅(こっく)は、料理の評判が悪く、野菜のまとめ買いで浮いた経費を着服していたことが分かったため、解雇となりました。

現場作業者に対しては、工場の現地責任者が、社食に対する補助金を増やし、食堂のメニューも大幅に見直すことを約束して、ストライキはようやく収束しました。


その後、Kさんの仕事内容には、社員食堂のメニューの監査・指導も追加されたということです。(;^ω^)


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