第九十三話 ルールに従って行動するのは苦手?
日本の大部分の小学生は、”気をつけ”、”前にならえ”、”休め”などの指示に従って整列したり行進したりすることを、一年生から体育の授業で習います。
しかし、中国の小中学校にはこのようなカリキュラムがほとんど無いようです。
そうすると、どうなるのでしょうか?
……その結果、大人になった時に、指示に従って作業することが出来ない人達が量産されてしまうのです。
数年前に広州で自動車部品メーカーを経営する社長(中国人)と雑談をした時のことです。
社長から、
「日本の小学校は、先生の指示に従って整列して、行進の練習をすると聞きましたが、本当ですか?」
と聞かれました。
「はい。私の小さい頃にはありましたね。今はどうか分かりませんが。」
「とても良いカリキュラムですよねぇ……。中国には無いんですよ。だから、中国の若者はウチの会社みたいな工場に入社したあと、現場で指示に従って行動することがどうしても苦手で、作業性がなかなか上がらないんですよ。小さい頃に身についていないんですね。」
「ほほぉ……。」(@_@)
「私の友人が経営している会社では、入社した社員をすぐに現場に入れず、最低2週間は研修期間にあてて、毎日、朝礼で整列させたあとに、”気をつけ”と”休み”を繰り返しやらせて、さらにイヤっていうほど延々とランニングさせるんですよ。本当にハンパないですよ。ランニングで社員の体力を上げれば、キツイ現場作業についていかれるし、リーダーの指示に従って行動するという習慣も身について一石二鳥です。しかも、会社のやり方についていかれない人は、研修時点で辞めてしまって、残った人の離職率が低い!今、ウチでも導入しようかと考えているところですよ。」
「…………。」(;^ω^)
そういえば、中国の大学では、9月に入学した新入生は、すぐに約1か月間の集団軍事訓練に入ります。これは、一人っ子が多い学生を集団生活に慣らすという意味もありますが、ルールに合わせて自分を律することや、年長者や教師を敬い、指示に従って行動することを学ぶという意味もあるそうです。
これまで両親を含めて他人からまったく叱られた経験がない新入生も少なくないので、指導教官から理不尽に怒鳴られるのが、日本人の考えている以上に精神的ショックらしい……。
日本では子供の頃に体育の授業や部活で叩きこまれることを、ある程度大人になってから学ぶのは、ちょっと辛いかもね。
『中国人は順番を守らない』、『ルールを守って行動するのが苦手』と言われていますが、その原因は、このような日中の教育カリキュラムの違いにもありそうです。
昨日、香港旅行から戻ってきました。毎日雨ばかりの関東地方と違って、香港は快晴で"酷暑"。身体が暑さに慣れていないので、滞在中はいつも以上に疲れました。これまで日本製=高級品とされてきた香港ですが、最近の若者には韓国製のほうが人気があるらしいです。PMQ(地元デザイナーのショップが集まっている香港政府が運営しているビル)にもソウル市のアンテナショップらしきものが入居していました。日本もガンバレよ……。