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胖姐看中国  作者: 胖姐
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第八十六話 みーんみーん

今年も蒸し暑い夏がやってきました。

何となくですが、私の子供の頃に比べて、朝から気温が高いように思います。

昔は早朝からセミが鳴くことはなかったと思うのですが、最近は朝6時頃から、もうセミの鳴き声がしています。


1990年代に私が北京に留学していた頃、街にかなり大きな街路樹があるのに、セミの鳴き声があまり聞こえませんでした。

日本人としては、セミの鳴き声が聞こえない夏は、ちょっと寂しい。(´・ω・`)

海を挟んだ隣国で、同じ東アジアなので、北京にセミが存在していないわけではないと思うのですが……。白玉をセミ型に刻んだ中国古代のお守りも、博物館でちょくちょく見かけますしね。


「中国には、あの虫はいるよね?…ほら、夏になると鳴く虫だよ。」

「???」

「茶色で、羽があって、木に止まってミーンミーンってうるさく鳴く虫だよ。中国語で何ていうのかな?」


ある日、私は家庭教師をしてくれている中国人学生に質問してみることにしました。


「胖姐さんの言っているのは、(ぢー)(りゃお)のことかな。(ちゃん)ともいうけど。」

「ああ、それそれ。(ちゃん)ですよ。私は中国に来てから、セミの声をあまり聞かないんだけど、中国にいるよね?」

「いますよ。あまり見かけないのは、捕まえて食べる人がいるからじゃないかな。」

「えぇーっ!中国人はセミを食べるの!」(◎_◎;)

「そうですよ。食材としてだけではなく、薬の材料にもなっていたと思います。私の田舎ではセミを食べませんが、地方によっては、羽をむしって茹でた後、ちょっと香ばしく揚げてから、柔らかい中身を食べます。成虫よりも幼虫のほうが食べられているので、私の同級生は、北京に来てセミの鳴き声を生まれて初めて聞いたと言っていました。なにしろ彼女の地元では、セミは幼虫の頃に、手軽なおやつ代わりに、ほぼ取りつくされてしまうので、鳴き声を出せるくらい成長したセミを見かけることは、まず無いそうですから。田舎のセミは、養殖じゃなくて天然物ですからねぇ、きっと美味しいと思いますよ。」


さすが何でも食べちゃう中国人。

セミを街で見かけないと思ったら、食材として捕獲されているからだとは……。

確かに、セミの抜け殻は、"蝉退"と言って、漢方薬の材料になっています。

私の友人(日本人)が、中国に暮らすようになって以来、ひどいアトピー皮膚炎に悩まされていました。

彼女を連れて、中国の医大付属病院の漢方外来に行った時、抗アレルギーの薬として処方された”せんじ薬”の薬材の中に、せみの抜け殻が混じっていました。

その他にも、正体不明の草や葉っぱ、小枝、毛虫の干したものなど……。まるでそこら辺の公園から落ち葉をかき集めてきたような中身だったので、我々はせんじ薬の効き目をかなり疑っていたのですが、論より証拠、彼女の症状は徐々に落ち着いて、肌も綺麗になりました。


それでも、私は、『いくら身体に良くても、虫は食べたくない。何だか生理的にイヤ(=_=)』と、思うのです。

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