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胖姐看中国  作者: 胖姐
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第八十二話 バカにしないでよ~~♪

今週末は、勤め先の部署内に蔓延している夏風邪にすっかりやられて寝込んでおり、一話だけしか更新できそうにもありません。皆さんも、お暑い中、体調管理にはくれぐれもお気をつけ下さい。

どこの会社にも”社風”というものがあります。

体育会系が幅を利かせている会社、東大卒しか採用しない会社……。


ある日系商社は、電話応対が、『まいど!××(社名)です!』で始まるので有名です。関東出身の社員でも『まいど!』。浪速(なにわ)商人(あきんど)(どう)まっしぐらですなぁ。

別の日系商社は、どこの都市でも、一番高いビルの最上階フロアに事務所を開設するので有名でした。理由は『我々は他社の一番上に立つ存在だから……。』だそうです。…けっ(。-`ω-)


私の上海勤務時代の知人のEさんが転職した時の話です。

彼女はそれまで日系流通企業に勤めていました。この会社の社風は一言で言って”野武士”。勝てば官軍、なんでもありの社風で、あまり知性はない………(;^ω^)

よく言えば体育会系のお祭り脳筋集団で、丁稚奉公からたたき上げたオジサン達が管理職の中枢を占めていました。

Eさんは、その中では珍しく語学堪能な知性派だったのですが、やはり社風には勝てず、何かイベントがあると、率先して燃えてしまうタイプでした。

Eさんの転職先は日系商社。どちらかというと昔ながらの泥臭い商売をするという評判の企業です。Eさんは、『前の会社とちょっと似た雰囲気だから、何とかなるでしょう。』と軽く考えていました。


彼女が転職してまもなく、会社の忘年会が開かれました。

忘年会と言っても、居酒屋やレストランではなく、ホテルの宴会場を貸し切ってのパーティーです。(バブリーだなぁ)

なごやかな雰囲気で宴会は進み、社員による演目(だしもの)の時間となりました。

入社して間もなかったEさんも、”新入社員”のお披露目で、舞台にたつことになりました。

久々のイベントに心が燃えているEさんは、


「ここで一発ドカンとかましておきますか!」


と、選んだカラオケの曲目は、一番得意な『プレイバック パートⅡ』。

中国でも未だに人気の高い山口百恵の代表曲。年代や国籍を問わず広く知られている曲なので、必ずウケるはずという予測のもとに選んだそうです。

雰囲気を盛り上げるようなイントロが流れ、そして……


「……バカにしないでよぉっ♪」


ビシッと指先を伸ばす特徴のある振り付けもバッチリ決まり、Eさんは、『やった……!(^^)!』と思わずドヤ顔で、そのまま気持ちよく歌い続けました。


ところが……

何だか見ている会社の同僚達のウケがあまり良くない。というよりも、ドン引きしている!?!?

当てが外れて若干焦り気味のEさんは、心の動揺を表に出さないように何とか曲を歌い終えて、舞台を降りました。


「前の会社だと、この曲でウケたんだけどなぁ……(´・ω・`)」


内心のガッカリ感を隠して席に戻ったEさんのところに、彼女の上司が、ビールとコップを持って近づいてきました。上司はEさんにコップを渡して、静かにビールを注ぎながら、ズバッと一言。


「Eさん、お疲れ様。……ずいぶんとお歌がお上手なようで。(´-ω-`)」


気の毒なEさんは、すっかり社風を読み間違えてしまったのでした。

嗚呼、Eさんの今後の社会人生活に幸あれ。

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