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胖姐看中国  作者: 胖姐
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第八十一話 漢気を見せろ!

ちょっと前に、中国の遊園地が日本で話題になりました。

ミッキーマウスやドラえもん、ピカチュウなどの”ゆるい”ニセモノで満載の遊園地です。

でも、日本だって浦安市にディズニーランドが出来るまでは、あんな感じのパクリが、どこの遊園地でもあったような気がします。


確かに中国のキャラクターの可愛げのなさ、完成度の低さは、ちょっとビックリするくらいです。幼い子供だったら、怖くて泣いてしまいそうなレベル。日本は可愛いキャラクターの完成度が高すぎるのかもしれません。日本で”ゆるキャラ”と言われているものも、あえて”ゆるさ”を狙って作り込まれているように思えますので。


1993年の夏、私は留学生仲間と一緒に、北京市内にある遊園地に出かけました。

もともとは別の場所に行く予定だったのですが、車中から大きな観覧車を見かけたので、予定を変更して遊園地に立ち寄ることにしたのです。

じりじりと夏の日差しが容赦なく照り付ける北京の遊園地は、人気がなく静まり返っていました。こんな暑い日に、あまり日陰がない遊園地に遊びに行きたいなんて酔狂な人は、それほどいないのでしょう。

それでも園内のアトラクションは、一応は平常通りに運転中。

私達が係員に声をかけると、電源スイッチを入れて、アトラクションを動かしてくれました。

大きな観覧車も私達の貸し切りです。やったぜ。

まぁ、もっとも、冷房のないゴンドラの中は、まるでドライサウナの中にいるような暑さで、一周して降りる頃には、すっかり汗だくになってしまったのですが(;^ω^)


いよいよ、お待ちかねのジェットコースターに乗ってみることにしました。

同行した留学生仲間は、高所が苦手とのことなので、一人で挑戦です。

中国製品の品質を信用していない私は、コースターに乗る前に、きちんとアトラクションのメーカー名を確認しました。”TO-GO”、”Made in Japan”……おおっ、日本の株式会社トーゴだぁ。

(※注※ 株式会社トーゴは2004年に会社更生法の適用をうけました)

たぶん日本の遊園地から中古で輸入された遊具なのでしょう。ちょっと骨組みに錆がういていますが、きちんとしたコークスクリューコースターです。

ワクワクしながらチケットを購入し(日本よりもはるかに安い)、コースターの車両に乗り込みました。


『早く発車しないかな~~♪』と、ちょっぴりドキドキしながら待っているのに、なかなか発車ベルが鳴りません。周りをキョロキョロしていたら、乗り場の入口で、中国人のカップルがもめているのに気づきました。どうやら、ジェットコースターは、この人達の乗車を待っているようです。


「どうしてもこれに乗るの?私を置いて行ってしまうの?」( ;∀;)

「うん。男には一人で行かなきゃいけない時もあるんだ。すぐに帰ってくるから、俺を待っていてくれ。」

「いや!行っちゃいや!」(ノД`)・゜・。

「離してくれないか。これに乗って、俺には(おとこ)()があることを証明してくる。」


ジェットコースターに乗る=(おとこ)()をみせる、ということ??

ジェットコースターだよ?

遊園地の遊具だよ?

たった3分のことなのに、戦場に行くような大騒ぎをして、いったい何のフラグなんだい(;^ω^)


結局、シクシク泣きじゃくる彼女を残して、鼻息も荒く彼氏がジェットコースターに乗り込んできました。そして発車。

あっと言う間にコースターは轟音をたてながらコースを旋回して、出発点に戻ってきました。


「俺はやったぜ……!」

「××ちゃん、すごい!ステキよ!」


うれし泣きする女性と、ドヤ顔をする男性。

それを横目で見ていた私は、同行した留学生仲間に、


「どうしてジェットコースターに乗るだけで、あんなに大騒ぎするんだろう?安全・安心の日本製だよ?事故なんてほとんどないのに。」

「胖姐さん、分からないの?確かに機材は品質の高い日本製かもしれないけれど、こちらで組み立てた作業者と、普段のメンテナンスをしているのは、中国人だよ?中国人が中国人の技術を信用するわけないじゃん!」


……思いがけず私は恐ろしい体験をしてしまったようです。

二度と中国ではジェットコースターには乗らないことを心に誓ったのでした。

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