第八話 毛沢東主席は神様?
皆さんは『毛沢東』という人をご存じですか?
……そうです、現在の中華人民共和国を築いた一人。初代の国家主席です。
天安門に肖像画が飾られているオジサンです。
(ちなみに、彼の肖像画は、毎年、きちんと描き換えられているのだとか)
この方が活躍されていたのは、それほど前のことではありません。
でも、生きている時代から、彼は中国国内で"神様"でした。
(文化大革命時代、毛沢東からもらったマンゴー1つをを食べずにホルマリン漬けにして、博物館に展示したなど、狂気じみたエピソードに事欠かないですよ)
今でも、タクシーに乗ると、毛沢東さんの肖像画が交通安全のお守りとして飾られていたりします。
田舎地主の息子から中国大陸のトップにまで上り詰めた運の強さが買われて、厄除けの神様になっているのだとか……。
彼の悪口は、今でも中国国内で、大っぴらに言うことはできません。
私が中国に滞在している時、毛沢東の主治医の回顧録が日本で出版されました。
当時、日本語の書籍を取扱い出来た北京市内でたった一つの書店(外文書店)に早速出向いたところ、中国人の店長さんに真顔で、
「毛主席は中国では神様ですから、神様を馬鹿にするような本は、政府の輸入許可が出ないんですよ。発禁です。」
と言われました。
でも、その時、外文書店には、日本から輸入された中国の政治体制を批判する本が平積みで売られていました。(…なんでやねん!)
仕方ないので、日本の実家に頼んで郵送で送ってもらいました。(他の荷物と一緒にカモフラージュして)
無事に手元に届いたのですが、小包には明らかに開封された跡が……。
他の留学生によると、書籍が入った小包が税関で開梱されているのは、今回は見逃すけれど、次回は許さないよ、という政府の警告なんだとか。
今でも、香港で中国の体制に批判的な書籍を販売していた人達が、誘拐されて大陸内まで強制連行され、ひどい取り調べを受けているらしい、とニュースになりますが、当時から中国政府の姿勢はあまり変わっていないのです。
これから中国に長期滞在を考えている人は、せめて毛沢東の顔と、どんな偉業を打ち立てた人なのかくらいは覚えていきましょうね。
(高校で世界史を履修しなかった、という理由で、中国留学を検討していたお嬢さんが毛沢東を知らなかったことがあったので)