第七十五話 タクシー狂騒曲 その②
前回に引き続き、タクシーにまつわるちょっとしたエピソードを紹介したいと思います。
エピソード④ 『仕事は趣味でするもの?』
2015年の冬に久しぶりに北京を訪れた時のことです。
北京首都空港からタクシーに乗り、市内中心部にあるホテルに向かいました。
前回の北京訪問から、すでに7~8年が経過しており、街の様子はまったく変わっていました。
道幅が広がり、市内中心部は高層ビルばかりで、昔の面影はありません。
私が窓の外を見てキョロキョロしていると、運転手さんが話しかけてきました。
「お客さんは、北京は初めてなの?」
「いいえ、昔、学生だった時に住んでいたことがありますよ。街並みがすっかり変わってしまっているので、驚いてしまって……。今、どこを走っているのか、正直言って分からないです。ずいぶん高いビルが増えましたね。」
「( ̄∇ ̄;)ハッハッハ。中国も豊かになりました。私も、もう十分儲けたんで、仕事しなくてもいいけれど、知らない人とおしゃべりするのが好きだから、タクシーを趣味でやっているんです。普段、仕事で乗っているのは国産車だけど、マイカーは外車です。やっぱりヨーロッパ車が一番ですね。この前も、愛車でチベットまで妻と旅行に行きまして……。」
と、運転手さんが見せてくれた携帯の待ち受け写真は、ポルシェのカイエン(◎_◎;)
なんというバブルの香り(;^ω^)
たぶん、運転手さんのほうが、私よりも年収がはるかに高いでしょう。何をやったら、そんなに儲かるのかしら?
趣味で仕事を続けるような余裕のある身分に、私もなってみたいです(~_~;)
エピソード⑤ 『結婚していますか?年収はいくら?』
中国に暮らしていると、時々、中国人のプライバシー観念の無さに驚かされます。
初めて会った女性に対して、『あなたは何歳ですか?』なんて聞くのは当たり前です。
彼らにとっては、その場の会話を広げるネタでしかなく、少しも悪気はないのです。だから怒ってはダメだと知っているのですが、やはり、ちょっとムッとしてしまうこともあります。
タクシーに乗っている時に、決まって運転手さんに聞かれる質問がいくつかあります。
①『どこの出身ですか?』
②『何歳ですか?』
③『結婚していますか?』、または、『子供はいますか?』
④『年収はいくらですか?』
⑤『中国人男性をどう思いますか?日本人男性と比べてどうですか?』
まるでお見合いの仲人さんのようですね。どこの結婚紹介所なのかという感じ。
かつて『日本人女性に対しこんな事を聞くのは、マナー違反で失礼にあたりますよ。私はいい気持ちがしません。』と言ってみたことがあるのですが、運転手さんには、何が失礼なのか結局分かってもらえませんでした……。
それ以来、私は上記の質問を受けると、
「ごめんなさい、ちょっと体調が悪くて、あまりおしゃべりをする気分じゃないの。久しぶりに中国語を話すので、少し疲れてしまって……。」
と答えをはぐらかしてしまうようにしています。




